有料職業紹介事業は、厚生労働省の許可を得て行う事業であり、職業安定法を順守して活動を行いますが、この職業安定法は、日本国内で行われる行為に適用されるものであり、職業紹介活動の一部が国境を超え海外で行われる場合は、相手国の法律が適用されます。

また、日本では海外にわたる職業紹介を行う場合、事前に必要な手続きを行わなければなりません。海外相手国において職業紹介を行うことが認められている事業者と事前に業務提携を行い、取次機関としての届出を日本で行って、許可を得る必要があります。弊社は平成24年2月に中国を相手国とした海外にわたる職業紹介の申請を行い、許可を頂きました。現在、中国ローカル事情に精通した人材紹介会社と提携しております。

日本国内で弊社に登録された求職者が勤務地として、日本だけでなく中国も検討される場合、弊社が中国求人についても説明すると共に、日本との条件面の違いや、処遇面の違いについてもお話し致します。一通りご説明が終わり、求職者が応募を希望されると弊社から求人企業を担当する中国の提携先取次機関に、その方をご推薦致します。日本側のサポートは紹介までで終わり、という訳ではなく、求人企業との面接や工場見学の調整、雇用条件交渉や、ビザの手続き、入社手続きに至るまで求職者の方が不安に感じないよう出来る限りのサポートに努めております。

設立以来、長年にわたり国内企業を対象とした人材紹介を中心に行ってきましたが、昨今のメーカーの海外進出に伴い、海外で働きたいという転職希望者が年々増加し、対応するサービスとして海外にわたる職業紹介の認可を取得しました。こうした背景の中で弊社ビジネスの海外進出も必然的な流れだったように思います。

特に、日本のメーカーに長年勤務し豊富な経験を持ちながら退職を余儀なくされ、長期間離職状態が続いたシニアエンジニアの方が、中国の企業に就職が決まり、その後、若手中国エンジニアの指導者として数十人～数百人の部下を持ち、活き活きと活躍していることを電話でお聞きした時はとても嬉しく、私どものビジネスの必要性を改めて感じました。今後はもっと転職支援をグローバルな視点で捉えていかなければならないと考えております。

海外にわたる職業紹介の許可を頂くことは容易なことではありませんでした。日本と中国という関連法令が違う国の橋渡しをするために、日本国内の法律だけでなく、中国の法律についても理解を深めなければなりませんでしたし、それが、職業紹介を行う上で合法的なものであることを証明しなければなりませんでしたので、自社で全て対応することには限界がありました。

問題解決できずに困り果てた末辿り着いたのが、『Digima～出島～』の「海外法務サポート」でした。いくつか法律事務所の方々にご相談し、最も明確に解決策を提示して頂いた法律事務所に依頼致しました。その後、申請書類作成や業務提携契約書に関する助言、中国関連法令の和訳解説などを行って頂いたおかげで、短期間で許可を取得することができました。今でも、当時アドバイス頂いたことが日々の業務の中で活かされており、大変感謝しておりますので、また別の国への進出の際に活用させて頂きたいと思っています。

日本国内の求職者で、勤務地として海外を検討される数はまだまだ少ないと思います。生活習慣、文化、そして法律も異なる国に生活基盤を移すことは容易なことではありませんが、一方で、昨今海外に強く惹かれ海外転職を希望する方が着実に増えてきているのも事実です。しかし、まだ海外転職支援のためのプラットフォームは、国内転職支援のプラットフォームに比べて充分ではないと感じています。

だからこそ、ローカルの事情を把握し、きめ細かく求職者の転職支援に対応できる職業紹介のニーズはこれから高まってくるのではないかと期待しております。今後は、東南アジア諸国へのサービス拡充や、海外拠点の展開によってワンストップで国境を超えた転職支援を実現させたいというビジョンを持っております。

求人要項の情報量について日本と中国では大きな差があることに驚きました。日本では、求人情報の中で「求める経験・スキル」や「求める人物像」「待遇」などについて求人企業がかなり細かく定義されるケースが多いと思いますが、中国から頂く求人情報は抽象的なケースが多いと感じます。事前にできるだけ多い情報があった方が求職者は判断しやすいですし、ミスマッチによる離職を防ぐことにもつながりますので日本のサービスの良い部分を海外ビジネスでも活かしていきたいと考えています。

私たちのやり方も日々ブラッシュアップしていくことが必要であると思っておりますが、海外の提携先には書式の共用化や、電話やメール、skypeなどをうまく活用してコミュニケーションを図るなどの工夫が必要不可欠であると思います。