海外進出企業インタビュー
掲載日:2024年6月21日
スペシャル
グローバル人材が拓く新たなビジネスチャンス! | 株式会社森乃園
株式会社森乃園は、中央区日本橋人形町にある110年以上の歴史を誇るほうじ茶専門店です。
3代目の渋谷さんは、売買仲介の営業マンとして活躍していた異色の経歴を持ちます。歴史あるほうじ茶専門店の閉店を惜しみ、独立して不動産事業を続けながら、ほうじ茶専門店を立て直すための改革に取り組みました。引き継いだ時の売上から10倍の売上にすることに成功し、ほうじ茶専門店を立て直しました。
そして、新たなビジネス展開として、外国人市場に目を向け、グローバル人材を活用した東京の高級不動産に特化した売買仲介ビジネスを開始。その挑戦と成功の裏側には、渋谷さんの戦略とビジョンが光ります。今回は、渋谷さんにその背景と今後の展望について詳しくお話をうかがいました。
プロフィール
株式会社森乃園
代表取締役
渋谷 仁志
大正3年から続く歴史あるお店を引き継ぐ
- 取材者
- 本日は株式会社森乃園の渋谷さんにお話を伺います。まず、会社設立や海外ビジネス事業開始の背景について教えてください。
- 渋谷さん
- 私はもともと不動産業界で営業マンとして働いていましたが、森乃園の2代目から閉店を考えているという話を聞きました。大正3年から続く歴史あるお店がなくなるのはもったいないと感じ、森乃園のほうじ茶専門店の立て直しに着手しました。
経営を安定させて、黒字化するまでは大変でしたが、自分なりの新しいほうじ茶を開発し売上を倍増することが出来ました。現在も味にこだわり、一人一人のお客様を大切にして営業しています。
- 取材者
- 不動産事業とほうじ茶専門店の両立は大きな決断ですね。不動産事業はどのように進展しましたか?
- 渋谷さん
- 当初、不動産売買仲介は都内の居住用目的の方向けに行っていましたが、近年の価格高騰により都内の物件は共働き夫婦でローンを組んでも、手の届かない価格になってきました。3LDKマンションは1億円を超える事が多く、もう都心でマンション紹介が出来なくなりました。
一方で、台湾・中国・香港人からの問い合わせが増え、外国人が都内のマンションを購入するケースが増加しました。日本の不動産は安全に取引が出来る制度が整っています。また、資産性も高く、売買が自由に出来る点も海外から魅力的な市場となっており、東京の物件をキャッシュで購入する外国人が増え続けています。この市場にビジネスチャンスを見出し、外国人向けの不動産仲介ビジネスを開始しました。
現地のつながりを活かし、集客力で課題を解決!
- 取材者
- 外国人採用に踏み切った背景について教えてください。
- 渋谷さん
- 外国人向けの不動産売買仲介ビジネスを開始する際に、文化の違いや考え方の違いを日本人が理解して物件を紹介することは難しいと感じ、非居住者へのアプローチ、集客はネイティブの方に任せる方が良いと判断しました。そこで、日本に興味があり、将来日本に永住したいと思っている日本語が堪能な外国人を採用しようと考えました。
まず、事業を開始するにあたり、日本の大学を卒業した香港で生まれ育った人材を採用しました。不動産業界未経験ながらも、日本に住みたいという気持ちが強く一生懸命仕事に取り組んでくれています。そして、自ら考え香港人へ物件を紹介し、購入していただくことが出来ました。売主は日本人が対応した方が契約引き渡し時にトラブルが少なく行えます。
一方、買主への物件紹介はネイティブ社員に任せるという明確な役割分担がうまく機能したこともあり、現在は外国人採用を積極的に行っています。
若手グローバル人材の採用で未来を築く
- 取材者
- 外国人を採用することで、文化や言語の違いによる戸惑いはありませんでしたか?
- 渋谷さん
- 面談の段階で、日本語の理解力が採用するかしないかを判断する重要な点でした。そのため、採用の段階でその点を確認したこともあり、意思疎通に問題はありません。しかし、契約は日本語の為、難しい言い回しは売主への説明は日本人がした方が良いと思います。そして、契約単語は、出来る限り分かりやすい文章にして説明しています。
また、日本の文化やこれまでの当社のやり方にすべてあてはめようとするのではなく、働きやすい環境を用意しています。具体的な例を出すと、出社して毎日顔を合わせる文化ではなく、基本的にはリモート勤務でフレックスな働き方を導入しています。目標設定も本人の希望する年収に基づいて設定し、納得のいく形で行っています。コミュニケーションの面でももともと、日本が好きな人を採用しているので、大きな問題はありませんでした。
- 取材者
- 直近採用をしたグローバル人材について教えてください。
- 渋谷さん
- 最近は20代の若手を中心に、台湾やカナダ国籍の中国人を採用しています。不動産業界の経験は必須ではなく、当社のスタイルを理解し、吸収してもらえることを重視しています。また、日本に永住を考えている人を採用することで、長期的な働き方を期待しています。将来的には独立し、自分自身で不動産会社を経営してもらえるまでになれば良いなと思っています。
理想のグローバル人材を見つける
- 取材者
- 現在の採用手法、今後の計画について教えてください。
- 渋谷さん
- 現在、開国エンジン~縁人~を利用して採用活動を行っています。グローバル人材の転職希望者を扱うエージェントと連携し、適切な人材を見つけてくれます。採用したいターゲットを理解してくれている担当がいるかどうかは重要で、求めている人物像や能力・語学レベルを同じ感覚をもって判断してもらえることが本当に助かっています。
今後は東南アジアを中心に不動産仲介ビジネスのチャンスがある国を調査し、進出先の各国に1人ずつ配置できるようにしたいと考えています。
- 取材者
- インタビューにご協力いただきありがとうございました。今後あらゆる国籍のバックグランドを持つ方が日本で活躍し、さらに事業が加速する未来が楽しみです。