- ホーム
- タイ
- タイ進出インタビュー
- 海外進出に必要なプロセスを「Digima〜出島〜」で大幅に短縮! | 株式会社ジョリーグッド
タイ現地のビジネスパートナーをご紹介いただくことで、スタートアップとして重要視している海外展開のスピードを速めることができました
ジョリーグッドさんの事業について教えてください。
我々の事業は大きく分けて2つありまして、1つめが「VRを活用した医療教育分野のプロダクト」。具体的に言いますと、大学や病院などの医療教育の場で、医学生や看護師、医療従事者がリアリティの高い臨床体験や患者体験をしているかのような経験を積める、医療VRコンテンツの開発・提供になります。
そして、2つめが「VRを活用したデジタルヘルスケア領域を支援するプロダクト」になります。具体的には、うつ病などの精神疾患の患者さんの治療やリハビリをサポートする専門的なVRコンテンツの開発・提供になります。
1つめの医療教育に関しては、すでに日本全国の大学や病院に医療教育の教材としてVRが導入されており、国の事業にも採択されている実績があります。幅広い実症例の医療VRコンテンツを、医療機関や医療教育機関はもちろん、医療機器・製薬メーカーの方々も対象とした、VRサブスクリプションサービスです。病院、学校の垣根を超えた医療教育プラットフォームの構築に携わっています。
そして2つめのデジタルヘルスケア領域に関しては、大手製薬会社と業務提携し、精神疾患をもつ患者さんを対象にしたVRコンテンツを提供しています。具体的には、患者さんが社会で人々と関わって生きていくために必要なソーシャルスキルを身につけるために、VRを活用したソーシャルスキルトレーニング支援プログラムです。精神疾患をもつ患者さんと社会参加の架け橋になるようなVRソリューションの提供を目指しています。
VRを活用した医療教育およびデジタルヘルスケア領域ということですね。
そうですね。医療教育に関しては、自分たちが必要とするコンテンツをセルフ制作できるシステムもあります。セルフ制作をしたコンテンツは、医療教育VRのクラウドに公開され、同様のコンテンツを必要としている、他の医療機関にシェアできるシステムです。
要するに、「VRの医療教育サブスクリプションプラットフォーム」ですね。
我々のVRプロダクトは、VRを装着した人が医師や看護師の本人に〝憑依〟した感覚になれるのが特徴です。医学生や医療従事者を対象とした「バーチャルな医療教育用のVRコンテンツがクラウド上にアップされているプラットフォーム」…とイメージしていただくのが一番分かりやすいかなと。
では、なぜ海外の医療教育VR市場に目を向けられたのでしょうか?
おかげさまで国内市場にて順調に事業成長を遂げているのですが、国外に目を向けると、世界の医療教育市場はより急激な成長を遂げており、約5年ほどで22兆円の市場規模になると言われています。
すでにVRは医療教育に不可欠なものとされており、医療VR市場はその医療教育市場の約17%である3.9兆円になると予測されているほど大きな市場なのです。
大きな市場があるということは、大きな課題が眠っていることと同義です。将来の市場が持つより大きな課題を解決するためにも、海外に出て挑戦する価値が我々にはあると考え、2022年の初めより海外事業をスタートさせました。
「Digima〜出島〜」にご相談いただく前から、すでにタイとアメリカでの進出実績をお持ちだったとうかがっています。
はい。まずはアメリカと東南アジアを中心に、「日本の医療教育分野と同じ課題を持っているのか? 課題があるとしたら、我々のVRプロダクトで解決できる余地はあるのか?」といった視点を持って、最初は現場の肌感をつかむために、実際にアメリカ、タイ、インドネシア、シンガポール、ベトナム、台湾…といった国々を文字通り飛び回りました(笑)
幸いなことに、アメリカのボストンとタイに関しては、最初の出張で、我々の医療VRに価値を感じてくださった現地の大学の専門家の方々と巡り会うことができたんです。
その結果、今年(2023年)3月には、ハーバード大学附属病院であるブリガム・アンド・ウィメンズ病院との救命救急VRをはじめとする多数の分野のVR開発に着手することできました。そして、他大学とのプロジェクトも進行中です。
またタイでは、国内トップの医科大学であるマヒドン大学で我々のVRプロダクトを導入していただくことができました。そして、タイで開催された医学会議「JITMM2022」にて、マヒドン大学と順天堂大学とともに登壇し、日本とタイを繋ぐ二国間医療VRセミナーを実施しました。
そのような状況でなぜ「Digima〜出島〜」にお問い合わせいただいたのでしょうか?
タイ現地の病院ネットワークの開拓と、タイ現地のビジネスパートナーを見つけるためです。
そもそも海外の病院関係者と誰とも接点がない中、それこそ身ひとつで日本を飛び出して、開拓したり、日本の大学・病院の先生に紹介いただいたりし、海外大学・病院との接点をなんとか作っていきました。
その中で、マヒドン大学さんへの医療教育VRセルフ制作ソリューション「JOLLYGOOD+make(ジョリーグッドプラスメイク)」の4拠点への導入が決まり、VR教材をセルフ制作できる環境を共同で構築するほどの提携が進んでいます。
ただ今後更にタイでの事業を拡大させるためには、自分達自身で現地病院のネットワークを開拓し、現地市場の肌感を持っているビジネスパートナーを開拓する必要があると考えたんです。
「Digiima〜出島〜」にご相談いただく前はどのような状況だったのでしょう?
それこそ最初はLinkedIn(リンクトイン)を使って、たくさんの方達に連絡をとり、現地開拓を試みたのですが、抜本的にコニュニケーションプロセス削減できないかと考えていた際に、「Digima〜出島〜」さんを見つけて、ご連絡させていただきました。
及川さんの課題解決に「Digima〜出島〜」はどのように貢献できましたか?
「Digima〜出島〜」さんにご相談することで、自分たちの課題を解決するのに必要なコミュニケーションプロセスを大幅に短縮できたと思っています。
我々はスタートアップでありとにかくスピードを重視しています。先ほどお話したように、LinkedInでたくさんの方に連絡をとり、良い繋がりはできましたが、より多くの方とコミュニケーションを取るために、どうすればスピードアップできるか? さらに既存のコミュニティの枠を超えて新しい繋がりを得るにはどうすればいいのか? そう考えたときになんらかのショートカットが必要だったんです。
「Digima〜出島〜」さんにご相談した際は、そのとき我々が置かれていた状況をコンシェルジュの方に説明して、タイ現地の病院ネットワークの開拓と、タイ現地事業の業務委託(ビジネスパートナーの紹介)をお願いしたい旨をお伝えしました。
結果、我々のニーズにあったタイ進出の専門家であり支援企業である「アセアンジャパンコンサルティング株式会社」さんをご紹介いただき、現在では、タイ現地のビジネスパートナーとして同社と提携することで、タイの医療VR市場の新規開拓を共に進めることができています。
「Digima〜出島〜」さんにご相談することで、我々が海外展開で重要視しているスピードを速めることができたと思っています。
アセアンジャパンコンサルティングさんとは、実際にどのようなコミュニケーションを?
直近だと現地病院との商談にご同行いただきました。その際もタイ独自の商談における習慣ですとかプレゼンのポイントですとか、現地ビジネスを経験していなければ分からないことを色々アドバイスいただきました。
印象に残っているのは、まだ正式な契約を結ぶ前から、担当者である阿部さんの方から、「こうしたほうがいい。ああしたほうがいい」といった、我々が求めているような情報を積極的に共有いただけたことですね。
現状、実際に海外を飛び回っている自社メンバーがまだ少数なので、そのような貴重な現地情報を我々に惜しみなく提供していただいたことが非常にありがたかったです。
まさに〝少数精鋭〟で海外事業を展開されていますが、及川さんご自身は、どのような経緯で海外ビジネスに携われたのでしょうか?
私自身、もともと総合商社の出身でして、中南米向けに日本の鉄鋼製品を輸出する業務を担当していました。それと付随して戦略企画の部署で事業計画の策定にも携わっていました。そのときの経験が現在の業務に大いに役立っていますね。
そんなご経験を持つ及川さんの視点で、今後海外ビジネスを検討している方に向けてアドバイスをいただけますか。
手探りな部分もありますが、我々の強みとしては、プロダクトがしっかりと評価をいただいていることだと思うんです。海外の商談で実際にVRゴーグルをかけていただくと、それこそみなさん全員と言っていいほど、驚きとともに絶賛していただけるんですね。
現在、医療人材不足が大きな課題としてあり、その要因のひとつが医療教育の非効率性にあると思っています。医療教育はいかに現場で経験値を積むかが大事なのですが、臨床実習には非常に大きなコストが必要です。そんな現状の中で我々の医療VR教材が高く評価されているのだと思います。
ですから、たとえ市場が海外であっても、世の中の課題を解決するプロダクトを開発することができれば、必ず市場に受け入れてもらえるはずです。そう信じて我々も日々の活動を続けている次第です。
最後にジョリーグッドさんの海外事業における今後の展望をお願いします。
現在、海外事業としてタイとアメリカでの販路開拓を行っています。当初の計画では3年はかかると想定していましたが、開始1年で実績を得ることができ、医療課題は、世界共通であることを実感しています。
短期的には、今回「Digima〜出島〜」さんよりご紹介いただいたアセアンジャパンコンサルティングさんにご協力いただきながら、現地の事業を徐々に拡大していくことになります。
長期的には、先述した「国境の垣根を越えた医療教育プラットフォームの構築」を進めていきたく思っています。アメリカの医療従事者がクラウドにアップロードしたVRコンテンツをタイの医療従事者が体験し、タイのVRコンテンツを日本で…といった、世界各国のユーザーがそれぞれのコンテンツをアップロードし、お互いに自国の医療に役立てるというような循環型のプラットフォームとしてデファクト化できれば嬉しいですね。
先ほど申し上げたように、我々のVRプロダクトは日本のみならず世界の課題を解決できるものだと自負しています。ジョリーグッドでは一緒に海外事業を手伝ってくれる方を募集しています。医療への貢献はもちろん、世界への貢献と、双方の課題を解決することに関心がある方はぜひご連絡ください。それと同時に、世界各国の現地事業の立ち上げをゼロから手伝っていただける海外ビジネスパートナーの方も大歓迎です。そのような意欲ある方々と一緒に、世界の医療教育の現場が抱える課題を解決していければ、これほど嬉しいことはありません。
【アセアンジャパンコンサルティング株式会社 | 阿部 俊之 様からのコメント】
今回ジョリーグッド様のサポートとしては大きく2つあり、1つ目は、バンコク市内の私立病院を中心とした、タイ現地の医療業界ネットワークの開拓。2つ目が、それらネットワークの開拓から、商談および受注に至るまでを代行する、いわゆるタイ現地のビジネスパートナーとしての役割となります。
私どもアセアンジャパンコンサルティングの支援サービス内容は、市場調査、海外視察、会社設立、法人登記、翻訳サービス、事業買収・提携コンサルティング…と多岐に渡りますが、もっとも得意としているのが、タイ・アセアン各国の様々な業界に対応した市場調査・動向調査となります。
ジョリーグッド様の海外事業支援においては、タイ現地のビジネスディベロップメント(事業開発)をおもな業務とし、先述した弊社の多岐に渡る支援サービスを細分化して提供させていただいております。
日本とタイの医療業界でもっとも異なる点として、医療サービスの格差が挙げられます。日本は国民皆保険制度があるおかげで比較的平等なサービスを受けられますが、タイの場合はお金をたくさん払えば払うほど高度な医療サービスが受けられるという実情があります。
弊社では製造業から農業、医薬品、食品、衣料、娯楽、サービス業まで多様な業界の調査を行っていますが、先述した医療サービスの違いを始め、どんな業界でも日本の市場との違いを知ることは、海外ビジネスの最初の一歩であると言っても過言ではありません。
2007年の設立以来、タイおよびアセアン地域に進出する日本企業の海外事業を長きに渡ってサポートして参りましたが、そんな中で感じるのが、あくまで一部の企業様ではございますが、タイ現地の市場分析を重要視せず、自社のプロダクトおよびサービスありきで勝負しようとなさる企業様がいらっしゃることです。
海外進出における市場調査とは、自社の海外事業のチャンスとリスク、および持続可能性を判断するための重要な施策のひとつです。海外という未開の市場を検討されている企業様ならなおのこと、客観的なデータと企業情報からなる「市場調査の持つ重要性」をご理解いただければ幸いです。