海外進出企業インタビュー
掲載日:2024年7月10日
スペシャル
日本と世界を繋ぐカスタマーサクセス | アディッシュ株式会社
アディッシュ株式会社は、カスタマーサクセスを中心としたBPOサービスを提供し、外資系クライアントのビジネスを支える存在として成長を続けています。同社の成長の背後には、バイリンガルチームを中心とした外国人採用戦略が大きく寄与しています。
今回は、アディッシュ株式会社の大橋シェリー様に、同社の事業内容や外国人採用の背景、文化や言語の違いに対する対応、そして成功に至るまでの具体的な取り組みについて詳しくお話をうかがいました。
プロフィール
アディッシュ株式会社
大橋 シェリー
タイでの長い生活を経て、英語を母国語とする大橋さん。日本の大学に進学し、新卒で外資系エージェントにて2年半の営業経験を積みました。日本企業での転職を目指した際には日本語の壁に苦労しましたが、アディッシュ株式会社で採用のバイリンガルチームに配属されてから約2年が経ち、現在は入社後のギャップが生まれないよう部署の垣根を超えたつながりを持つ、エンプロイーサクセスという部にてバイリンガルに限らず採用全体を担当しています。
グローバル市場への挑戦と成長の背景
- 取材者
- 今日はアディッシュ株式会社の大橋様にお話をうかがいます。まず、貴社の事業内容や海外ビジネス事業開始の背景について教えてください。
- 大橋さん
- アディッシュは、代表の江戸が前職で立ち上げた3つの事業を承継し、2014年10月に設立しました。メインとなる事業はカスタマーリレーション事業で、カスタマーサポート事業の運営歴は長く、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)ビジネスに強みのある会社です。
外資系企業が日本に進出するにあたり必ず直面する課題がローカライズやアフターフォローです。
世界的に見ても参入のハードルが高い日本市場にせっかく進出しても、商品・サービスを購入した顧客の問い合わせに対応しきれず、顧客をキープし続けなければいくら投資しても事業拡大はしません。
カスタマーサポートは重要な役割なのです。
当Fintechクライアントもローカルでのカスタマーサポートの課題感を抱えておりました。高い日本語レベルでのユーザーサポートを立てたいという要望があり、日本での立ち上げ中でアディッシュがカスタマーサクセスを請け負うことになりました。海外ビジネスがメインではなかったのですが、クライアントは急成長しています。
グローバル人材の採用戦略とその成功の秘密を探る
- 取材者
- なぜ外国人を採用するようになったのですか?
- 大橋さん
- 取引先である外資系クライアントが求めるサービスレベルや対応について、日本人ではなく、海外でのビジネス感覚を持った人材でないとわかりづらいニュアンスや伝わりづらい部分がありました。そこで、よりスピード感を持ってクライアント商材を理解できるバイリンガル人材に注力し、日本語が話せる外国人人材を採用するようになりました。
取引をする外資系クライアントがユニコーン企業で急成長していた背景もあり、このバイリンガルチームは採用開始当初の2017年は5名チームだったのに対して、現在では70名規模まで拡大しています。
- 取材者
- 直近の採用者について教えてください。
- 大橋さん
- 直近では10名ほど入社が決まっており、出身国は多種多様です。社内では日本語、英語、中国語、韓国語、タガログ語、ロシア語など、様々な言語が飛び交うことがあります。共通点としては、英語と日本語のバイリンガルであることです。
また、カスタマーサクセスの経験がなくても、3か月の研修を通じて育成しており、20代前半から半ばの第二新卒層を採用しています。
多国籍チームが共に働く現場での、文化や言語の違いへの対応策
- 取材者
- 外国人採用による文化や言語の違いで戸惑うことはありませんでしたか?
- 大橋さん
- どの企業でも直面するかもしれませんが、マネジメントに苦労しました。
例えば現場のマネージャーは外国籍が多く、日本人は少ないですが経営層は日本人です。また、国によってマネジメントに対する考えや方法が異なり、それぞれの個性もあります。
これまでオーストラリア、マレーシア、イギリス、アメリカ、韓国、日系ブラジルなど、それぞれ異なるバックグランドを持つマネージャーがいました。頭では前提とする考えや文化が違うことを理解していても、都度その場の課題に応じて多角的にアプローチする必要がありました。
- 取材者
- 言語を採用の必須条件に入れていますか?
- 大橋さん
- 取引先の外資系クライアントに対しては英語、カスタマーサクセスの仕事と社内では日本語を使用しています。サービスの強みでもあるので、当社では日本語のレベルは譲れない条件として採用を行っています。
新たに加わったメンバーとそのオンボーディングプロセス
- 取材者
- オンボーディングはどのように行っていますか?
- 大橋さん
- 入社時には会社全体の説明を行い、その後業務に関する座学の研修を実施します。
当社におけるカスタマーサクセスの業務は、すぐに解決ができない問題に対して臨機応変に対応したり、原因分析を行わなければならないため比較的難易度が高いです。
そのため座学の研修後にはケーススタディを行い、その後OJTに入ります。独り立ちできるまでサポートし、3か月の研修を経て、最後にテストを実施します。合格をしたら晴れて現場に配属となるため、アディッシュではこのプロセスを「卒業」と位置づけています。
- 取材者
- 様々な国籍の方が一緒に働く上で、気をつけていることや工夫していることは何ですか?
- 大橋さん
- 「入社して気づいたら2か月経ったが、一部のメンバー以外話したことがない」といった状況を避けるため、同期メンバー以外の社員ともタッチポイントを設けています。全体でイベントを企画したり、間接部門・管理部門を中心にエンゲージメントを高める取り組みをしたり、堅苦しい会ではなく、ラフにコミュニケーションを取る機会をつくることを心がけています。
- 取材者
- 入社前に取り組んでいることはありますか?
- 大橋さん
- 入社前にはビザの更新状況の確認や住環境についても気にかけ、同じ出身国の先輩社員から住む場所や物件の見つけ方など情報共有を行ってスムーズな入社サポートをしています。
『開国エンジン~縁人~』を選んだ理由と成果
- 取材者
- 『開国エンジン~縁人~』を利用した理由は何ですか?
- 大橋さん
- 基本的にはエージェントに依頼をして採用活動を行っていましたが、採用期限に目標人数の入社を間に合わせることに苦労しています。『開国エンジン~縁人~』の菊地さんは、外資のエージェントでの経験があるため当社が求めるターゲットを理解した上で、複数のエージェントからグローバル人材をセグメントし、当社にマッチする人材を集めてくれます。既に4名の採用が決まり、大変貢献してもらっています。
- 取材者
- これまで外国人採用をしていない日本企業が困りそうなことは何ですか?
- 大橋さん
- ビザの問題は大きいと思います。外部に依頼する場合、費用がかかり、期間もかかる可能性があります。アディッシュではビザの更新を外部委託せず、社内で対応しています。
と言っても、完全に会社がフォローしているというわけではなく、入社者と連絡を密に取りながら社内の対応が必要な部分は対応し、入社者で対応できることは協力をしてもらっています。日本企業は完璧な受入準備をしなければと考えがちですが、入社者と協力しながら進める姿勢が大切だと思います。
- 取材者
- 協力しあう、一緒につくるという考えも大切ですね! インタビューにご協力いただきありがとうございました!
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