時事 2014年03月17日
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【海外進出白書2013年版 解説】マレーシアのグラフに隠された本音は?
マレーシアのグラフがバランスのとれている理由とは?
海外進出白書2013年度版マレーシア編では図のような進出業種トレンドが発表されました。
アジア他国に多い特定業種への偏りもなく、製造業・サービス業・先端産業などありとあらゆる業種の進出に適した国だという結果が読み取れます。
確かに、例えば進出製造業からすると、親日的で真面目で気性が穏やかな現地人を日本のおよそ1/2の人件費で採用できるという観点があるでしょうし、反対に進出した飲食・小売・サービス業にとっては、国民の所得が上昇し、今やシンガポールについで富裕層の多いこの国は格好のマーケットとして映るでしょう。
事実ほとんどの業種において日本資本100%で進出できるというマレーシアならではのアドバンテージも大きく、一見するとバランスが取れ、あらゆるジャンルのビジネス業態の進出にも向いている、というのはあながち間違いではありません。
誘致したい企業、本音では誘致したくない企業
しかし、現地にいる専門家としてここでコメントしたいことは、「出したいビジネスと進出のしやすさは相反した部分がある」ということです。
それはどういうことかというと、マレーシア国から見た場合、外国からの投資は総じて歓迎はしてはいるが、特別な特典を付与してまでも誘致したいビジネス領域がある一方、現地産業保護のために本音ではあまり誘致したくないというビジネス領域が両極端に存在しているということです。
前者は、IT・マルチメディアやハイテク、専門コンサルティング、高等教育、高度医療などマレーシアがあまりノウハウを持ち合わせていない領域での技術移転や雇用などを期待したいジャンル、反対に後者は、低資本・少人数で立ち上げられる小規模な飲食店や卸売小売業など、すでにマレーシアでは自国民の多くが生業としており、外国資本との競争にさらされやすく、国として自国民の保護をしていくべきジャンルとの2つに分かれます。
前者で象徴的なのは、IT領域産業のマルチメディアステータス(MSC)で、法人税の10年間無税化や外国人就労ビザ枠の無制限発給など、これでもかという大盤振る舞いで外部の先進国にラブコールを送っています。反対に後者の現地保護領域では、例えば飲食店や小売店は1店舗ごとに100万リンギ(約3200万円)の最低払込資本金を積んで、「高級店」として申請しないと、卸売小売ライセンスと日本人オーナーや駐在員のビザ自体を申請させないという高いハードルが存在します。
現実的には当社にここ数年ご相談いただくのは圧倒的に後者領域が多いのですが、多額の最低払込資本金規定の存在を知り、断念されるオーナーさんが非常に多いのが残念な状況でもあります。
ラッキー、アンラッキーという表現は語弊があるのかも知れませんが、マレーシア進出を考え出した際に、自身のビジネスは果たしてどちらの領域に属しているかによって難易度や準備すべき項目が大きく変わるということに留意することが必要でしょう。
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