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市場動向 2015年10月09日

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国際的に需要が高まるイスラムファッション市場に迫る! 後編

堀 明則(Hopewill Group)

近年中東地域や東南アジアの富裕層・中間所得層の増加や、東南アジアからの訪日ビザの規制緩和、2020年の東京オリンピック開催決定に伴い、多くの日本企業がイスラム市場に目を向けている。本コラムでは、イスラム圏の経済発展に伴って成長するイスラムファッション市場の現状を2回に渡って特集する。今回はその後編。

イスラムファッション市場への参入

イスラムファッション市場へ参入するための短期的な戦略としては、ローカルブランドへの出資、もしくはムスリムファッションデザイナーと共同で新しいブランドを作り上げることが最も有益である。

しかしながら、新しいブランドを作り上げるには、ローカル市場の調査や、ハラルの基準に沿った生産ラインを確保する為の資金準備が必要であり、決して容易なことではない。

また、新興国に集中するイスラムファッションの顧客セグメントをターゲットとする為には、従来の一握りの高級層向けではなく、大衆市場向けの手頃な衣料品とすることも重要である。それ故、多国籍企業は未だイスラムファッション市場に乗り出せずにいる。短期的な投資回収は比較的困難であるが、長期的な市場においてはイスラムファッション市場の潜在性は高いと考えられる。

現在57カ国からなる湾岸アラブ諸国におけるアパレル消費額は、世界全体のアパレル消費額の7%を占め、2018年までには9%にまで拡大すると予測されている。世界全体の人口の30%を占め、20億人以上の人口を有するイスラム市場は決して無視することのできない重要なターゲット市場となっている。

イスラムファッション市場の現状

イスラム教徒の女性は、イスラム教の教えに遵守しながらも最新のファッションを取り入れたいと考えており、近年ファッションショーで見られるようになった慎ましくもスタイリッシュなファッションは、イスラム圏のファッションをリードするものとなってきている。

この動きを受け、ローカル企業が先進的な要素をイスラムファッションに取り入れ始めたが、どれも各国の現地の嗜好に合わせた仕様となっており、国外または国際的な展開を行えていないのが現状である。結果として、このようなファッションはイスラム教徒の需要に合わず、イスラム教徒の女性は満足のいくファッションを楽しむことができていない。

トルコやアラブ首長国連邦に住むイスラム教徒の女性は、米国や東欧で流行しているデザインの衣服やアクセサリーを身につけたいと考えている。しかし、イスラム教徒の間でも高い評価を得ている国際的なオート・クチュール、H&MやZARA等の国際ブランドは、殆どが体のラインに沿った仕立てや深いネックライン、短い裾丈となっており、イスラム教に沿わない仕様である。

このように、ファッションの流行に敏感なイスラム教徒の若者が増えているにも関わらず、イスラムファッションの選択肢は未だ非常に少ない。

イスラムファッション市場での成功

可処分所得の多い湾岸アラブ諸国では、富裕層のイスラム教徒に向けたオーダーメイドのイスラムファッションを提供するブランドが成功し始めている。また、イスラム教徒が少ない先進国においては、イスラム教徒向けのファッションを展開する小規模な新規事業が次々と大きな成功を収めている。しかし、これらのローカル企業には国際的に展開するノウハウがなく、未だ国外への展開に苦労していることもまた事実である。一方で、国際的に展開するノウハウを備えた多国籍企業は、イスラム教の教えに対する理解が十分でなく、イスラムファッション市場で成功できずにいる。

アメリカのダナ・キャラン・ニューヨーク(DKNY)が2014年にラマダン・コレクション(Ramadan Collection)を開催し、イスラムファッション市場における多国籍企業初の試みをし、成功を収めた。近年、成熟市場であるヨーロッパや北アメリカ地域のファッション市場における低成長率を受けて、新興国やニッチ市場への注目度が高まってきており、他の多国籍企業もダナ・キャラン・ニューヨークの成功に続こうとしている。

国際的に展開する有名なファッションブランドには、既にコスト効率の良い生産体制が整っている為、イスラム教の教えを十分に理解できれば、イスラムファッション市場において大きく展開することができるだろう。イスラム教徒は企業がハラルを遵守することを強く求めている為、イスラムファッション市場で成功するには、生産過程から最終製品となるまで全てハラル対応に配慮することが必要である。

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堀 明則ほり あきのり

(Hopewill Group)

幅広い事業範囲を武器に

日本企業、個人に対し、香港・シンガポールをハブとした、『日本からア

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