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- 『お好み焼』という「鉄板粉もの文化」を世界に広げる【オタフクソース】
海外進出当初から掲げる不変のテーマとは?
最初に海外進出を果たしたのはアメリカで、約20年前に現地法人を立ち上げました。
現在は、アメリカ以外に、中国、マレーシア、台湾、韓国といった国々で事業を展開していいますが、海外での販売額がもっとも高い国はアメリカです。次が中国で、台湾、韓国と続きます。
海外事業においては、それらの国の売上がおよそ6〜7割程度を占めており、さらには欧州向けの輸出にも力を入れています。
国内では「お好み焼・たこ焼・焼そば店」の店舗数は約16,000店(総務省・経済産業省 平成28年 経済センサス 活動調査より)、当社推計ですが、海外における「お好み焼」をメインとした専門店の数は約330店とされています。
もともと「オタフクソース」は、創業当初より、広島という地方都市を拠点として事業を行ってきました。そして、現地で愛されているローカルフードである「お好み焼」に関連する商品やサービスを取り扱っていることもあり、海外進出において、「いかにお好み焼という食文化を広げていくか」というのは、常に私たちが掲げてきたテーマでもあるのです。
商品作りの原点はB to Bにあり
現在はアメリカと中国とマレーシアに現地工場を持っています。海外向けの商品構成は全体の75%が業務用ですが、アメリカや中国では、それぞれ現地の味覚に合わせた商品の開発・販売を行っています。
中国やアメリカは、ファストフード的な店舗が増えています。特に中国の場合は従業員の賃金コストも上がっているため、昔のように長いキャリアを持つ職人が調理を担当するというケースは減りつつあるのが現状です。そのような現場においては、オペレーションの効率化が、既存の完成した調味料ニーズの高まりにつながります。
そもそも、現在日本で販売している「お好みソース」は、戦後の広島で、お好み焼店様一軒一軒を訪問し、店主の方々の声を聞きながら作り上げていった商品です。そのような業務用として開発した商品を元に、一般家庭のニーズや用途を考慮した上で改良を重ね、小売り用の商品として市場に売り出していったという歴史があるのです。つまり私たちの商品作りの原点はB to Bにあると言えます。
そのように、当社では早い段階から「業務用と家庭用という異なる2つのリソース」を元に商品開発を効果的に展開するフローが確立されており、海外におけるローカライズでも、そのノウハウを活かしているのです。
「お好み焼」の作り方や食べ方を教える啓蒙活動に大きな意味がある
これは「お好み焼」に限ったことではありませんが、海外の方々にとって日本独自の商品やサービスの入り口となるのは、現地の日本人向けマーケットです。そのため、日本人向けマーケットと関わりのある現地のお客様こそが、最初にアプローチすべきターゲットだと考えています。
だからこそ、私たち自身が、海外の現場で実際に鉄板の前に立ち、現地の方々に向けて「お好み焼はこうやって焼くんですよ」「こうやって食べるものなんですよ」と、美味しい作り方や食べ方を説明する啓蒙的な活動を行うことには大きな意味があるのです。
以前、中国・広州市に国際事業部のメンバーを派遣した際、まずは現地スタッフにお好み焼の味を知ってもらおうと、その場で焼いて提供したことがありました。ひと口食べた現地スタッフの最初の感想は「(味が)濃くて辛い…」。しばらくすると「味がしない」という意見も出てきたんです。
「そんなに味覚が違うのかな?」と、疑問に思ったメンバーが食べる様子を見ていたら、彼らは、ソースがかかっているお好み焼の上の部分から順に食べていたのです。下の部分にはソースがかかってないわけですから、最初は濃かった味が次第になくなっていくのも当然ですよね(苦笑)
結局のところ「食べ方」を知らなかっただけなんです。だからこそ、どうやって作って、どのように食べるのかといった基本的なところから理解を深めてもらうことが大事なのだと痛感しました。
私たちの主力商品は「ソース」ですが、それ単体ではなく、それぞれの地域の食文化なども加味しながら、惣菜の販売や実演販売などを通じて、「お好み焼」という具現化した商品を現地の方々に広めることを心がけているのです。
その国のルールや規制に沿った商品開発を
アメリカ・ロサンゼルスを本拠地とする「Otafuku Foods」では、2015年よりニューヨーク駐在を設けており、現地駐在員がスーパーでの試食販売やレストランでの指導に努めることで“OKONOMIYAKI”の普及に尽力しています。
また中国に設立した青島工場では、現地ユーザーのニーズに合わせて様々な調味料開発と生産を行うと同時に、現地にお好み焼研修センターを設け、開業される方向けの研修などを行っています。
現地向けの商品開発においては、まずは、その国のルールや規制に従うことを基本としています。国によっては、肉のエキスやアルコールを使用してはいけないなど様々な決まりがあるので、現地のルールに則った原材料の構成を考慮しなければなりません。
また、現地企業の方々にヒアリングしながら、その国ならではの食文化や好まれる味覚を研究し、開発に反映しています。あとは、トレンドですね。例えば、健康に配慮した商品や、最近ではグルテンフリーなど、その時々で変わるお客様のニーズも意識しています。
2016年に進出したマレーシアではマレーシアJAKIMより「ハラール認証」を取得
2016年に現地企業との合弁会社として設立した「OTAFUKU SAUCE MALAYSIA SDN.BHD.」においては、翌年(2017年)の春、現地工場で製造するソースが「イスラム法に則って生産・提供されたものであること」を証明する「ハラール認証」を得ることができました。認証を受けたマレーシアJAKIM(マレーシアイスラム開発局)は、世界初の政府機関による厳しい認証として知られています。
ハラールに関する知見が乏しい中、そのような信頼性の高い認証を得ることができたのは、現地のパートナー企業がいてくれたからこそだと思います。おかげさまで、ムスリムの方も安心して口にしていただけるハラール認証調味料として現地で商品を販売することができています。
2018年4月 初の海外支店を台湾の台北市に開設
近年、日本を訪れる台湾人の方々が増加するのに比例して、お好み焼、焼そば、たこ焼といった日本の粉もの文化は認知度を高め、現地でもお好み焼専門店が増えてきています。
おかげさまで台湾での売上はここ5年間で約2.8倍に伸びており、今後もより現地の方々に密着した活動を強化するべく、今年(2018年)4月には、初の海外支店を台湾の台北市に開設しました。
台湾国内にはお好み焼専門店が約40店舗存在しており(2018年4月現在)、老舗店舗から、現地の若者向けの新しいお店など、現地の幅広い層から人気を得ています。さらに近年は、現地での開業支援や営業活動において、多数のお問い合わせをいただくようにもなってきており、そういったお客様の声に応えるべく、日本で定期的に開催している「お好み焼提案会」(※オタフクソースの社員がメニュー提案や情報提供などを行う専門店舗向けの提案会)を2017年に台湾にて開催した際は、30を数えるお好み焼店様にご来場いただくことができました。
また、広島を本拠地として全国の拠点で展開している「お好み焼研修センター」「お好み焼教室」にも、毎年たくさんの外国人観光客国の方々にお越しいただいています。海外の方々に「お好み焼」を知っていただくチャンネルは、年々広がっている実感があります。
日本の食文化を世界に拡げる普及活動
海外進出においては、市場を開拓することが第一の目標ですが、それと同じくらいに、お好み焼・焼そば・たこ焼等の「鉄板粉もの文化」を広く知ってもらうことも重要です。そういった意味では、私たちは海外事業を行うと同時に、日本の食文化の普及活動も担っていると言えます。
さらに言えば、食文化だけでなく、私たちが持っている「鉄板粉もの文化」に関する多種多様なリソースが、世界各地の企業やお客様にとってプラスになっていく。長い目で見れば、そのようなサイクルを生み出していくことが、私たちにとっての“成功”と言えるのかもしれません。
企業名 | オタフクソース株式会社 |
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業種・業態 | 製造業 |
進出国 | |
事業内容 | ソース、酢、たれ、その他調味料の開発・ 製造・販売 |
法人設立年 | 1952年10月(創業1922年11月) |
海外進出時期 | 1998年1月 |
日本法人所在地 | 〒733-8670 広島県広島市西区商工センター7丁目4-27 |
海外所在地 | 【台湾】日商御多福食品股份有限公司 台北分公司:台北市中山區南京東路2段101號10樓 《以下 グループ会社》 |
代表者 | 佐々木 直義 |
資本金 | 1億円 |
電話番号 | 082-277-7111(代表) |
URL | https://www.otafuku.co.jp |
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