海外進出事例集

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不動産業

多角的に不動産新事業に挑戦するレオパレス21の海外展開事例

株式会社レオパレス21

2016年7月20日

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海外ビジネスの概要と進出の背景

日本の国内市場が縮小しつつある中で成長戦略として海外への展開は必要でした。2002年より国内事業の延長として、中国・韓国・台湾のような東アジアの拠点で、主に海外から日本へ来るお客様に対して日本国内の弊社物件をご紹介するインバウンド事業を行ってきました。現在、海外拠点は15拠点あり、7ヶ所は前述のインバウンド、残りの8ヶ所はタイ・ベトナム・カンボジア・ミャンマー・フィリピン・インドネシアといった東南アジアでアウトバウンドの事業を行っています。日本から各国へ進出される日系企業のお客様へ、現地の住居やオフィスをご紹介するビジネスです。

そして、今後の弊社の国際事業の柱となる事業として昨年よりスタートさせたのが、サービスアパートメント及びサービスオフィスの開発・運営です。現地のアパートやオフィスを日本クオリティで提供できるようなサービスを提供させていただいています。その第1号となった2015年10月スタートのタイのシラチャーのサービスアパートの他、フィリピンのマニラ、ミャンマーのヤンゴンにもサービスオフィスをオープンしました。さらにベトナムのハノイ、カンボジアのプノンペンにて現在建設中のサービスアパートが完成予定となっており、今後も積極的にこの事業の展開を図ってまいります。

その他、ベトナムでのオフショア開発や、パース作成を行うBPO事業と、技能実習生を協力工務店で受け入れる技能実習も行っています。また、フィリピンから介護職員を受け入れており、弊社運営の介護施設あずみ苑にて従事しております。今年2016年の2月には男子プロゴルフトーナメント「ミャンマーオープン」のタイトルスポンサーとなって大会を開催いたしました。再来年まで3年連続でスポンサーとなることが決定しており、これはASEAN地域での当社国際事業の知名度アップと、ASEAN地域での事業取組に対する強い意思表明という意味もあります。

このように私達の事業では、単なる利益拡大のためだけでなくASEAN地域の人材、スポーツ、文化活動支援につながるような取り組みも積極的に行ってゆきたいと考えております。

進出までにやったこと

現在、今後の事業の伸び代を考えて、日本からのアウトバウンド需要、さらには日本以外の諸外国からの資本流入も見込めるという点でASEAN地域をターゲットにしています。これらの国は、まだまだ生活環境面でもビジネス面でも成熟していない部分があるため、タフな動き方が求められる場面もあります。

しかし、実際に現地へ足を運ぶと、ここ数年の急速な発展には目を見張るものがあり、ASEANが持っている計り知れない可能性を体感しております。この市場の成長とともに弊社の国際事業も大きく成長していきたいという希望をもって各国への進出を決断いたしました。

決定までは、各国の情報や日系企業の進出状況などの数値調査はもちろん行いますが、現地に行って、直接視察をしなければ分からないことが多々あります。数ヶ月いかなかっただけでも、変化と成長を感じるため、新しい状況を常にキャッチアップする必要性を感じます。一般論やメディアの情報だけで判断せず、自分たちの目で見て、肌で感じたことを基に、将来的な見通しを立てながら、総合的な判断をすることが大切だと思います。

また、アウトバウンド事業に乗り出した大きな理由の1つは、私達の国内事業のお客様である日系企業の海外進出が増えてきており、このお客様の海外進出に対して応えていきたいという部分が大きかったです。参入数が多い事も大事ですが、一方でカンボジア・ミャンマーなどはこれから伸びるという部分で早めに参入していこうという観点もありました。

ある程度そういった視点で国の候補を決めたら、必ず視察にいきます。そこで、不動産市況の他、日本食やサービス業がどういう風に展開しているかを見ています。サービス業は、景気にも敏感に反応していますし、その国の人達がどのように日本のサービスを利用しているのかの状況がわかりますから。あとは、ホテルのクオリティや交通手段も見ています。アジアであれば1泊3日という短い時間だったとしてもやはり自分の目で見にいきます。

苦労したこと

決めたことが日本のようにうまくいかない事は多々あります。不動産業は特にライセンスが通りにくいことも有り、国によって外資規制が異なりますので、国によってスキームを変えながら事業運営していくことが求められます。例えば、事前の調査ではライセンスがとれると言われていたにも関わらず、いざ申請をするとライセンスがおりずに再申請を行わなければならなくなり、開設が遅れたというケースもありました。インドネシアのジャカルタは、今は規制が緩みましたが政策としても厳しくなったタイミングだったため、1年程ライセンスの取得に時間がかかりました。逆にカンボジアは、申請が通りやすいなど、自由経済の国はそういった参入のしやすさで選ぶこともあります。

その他、進出後に苦労したことは国ごとにプロモーションに対する考え方や手法がとても違った点です。最初は日本で成功したやり方を持ち込もうと思っても、理解されるまでに時間がかかりました。しかし、失敗を繰り返してわかったのは、「日本式の細かいマーケティング能力」、「ホスピタリティ溢れる対応」はどこの国でも最終的に重宝されるということです。またアメリカでは、アドテクノロジー分野がかなり発達しているので、アメリカでのノウハウを韓国・台湾でも共有することができた点は、強みになりましたね。

今後の展開

ASEAN地域を中心に、現地物件の紹介だけでなく、サービスオフィス・サービスアパートの開発・運営に注力しながら事業規模の拡大を図って参ります。現在弊社の海外拠点は15拠点ですが、今後はまず20拠点を目標に積極的に展開したいと考えております。また、海外不動産投資事業やASEANの人材を活用した新事業など、幅広く可能性を模索しながら、型にはまらないレオパレス21の国際事業展開を推し進めて参ります。事業ですから、継続していかなければなりませんので、スピードを重視しつつ、戦略的に進出していきたいと思っています。

次に決まっている部分でいうと、シンガポールを準備中で、こちらはアジア全体のハブとして考えています。1つの国というよりASEANを1つのくくりの中でみています。今後は、他東南アジアもさらに展開して足元を固めていく予定ですが、アジアに限っていませんので、その他の国も不動産業に関わらず、投資事業としてチャンスがあれば見ていきたいと思っています。

海外展開成功のためのアドバイス

弊社もこれから海外展開を加速させていく段階ではありますが、前述もしているように、海外ビジネスでは日本以上にスピード感が要求されると実感しています。意思決定の遅れはビジネスチャンスを逃してしまうことにつながります。また、変化への対応も重要と考えます。海外では事前にイメージしていた通りに事業が進まないことも多々あります。それらの状況に柔軟性のある対応ができるかどうかが重要です。「スピード」と「柔軟性」。これらが海外展開において重要な事項だと思います。出てからはやってみないとわかりませんから。現地に行けば新しい事も発見できますし、全部が成功できるとは限りません。時間がかかるものなので、先に考えているよりもまずやったほうがいいと思っています。

そして、海外に出てみると日本では気付かなかった、「不便・不満・不安」が見えてきて、新しいサービスニーズに気づくことがあります。それが新規事業の検討に活かされる場面が多くあります。また、日本とのシナジーを大切する一方で、現地の日本人だけを対象にした狭いマーケット目線ではなく、現地に進出してくる、欧米や中華圏マーケットも狙えるような多角的なビジネス視点を持つことが重要だと考えています。日本人マーケットだけ考えると、事業のスピードも幅も広がらないですし、条件が限られてしまうので、クオリティを落とさず、多国籍に対応できる考え方が重要です。

企業名株式会社レオパレス21
業種・業態不動産業
進出国
事業内容

■アパート・マンション・住宅等の建築・賃貸管理及び販売
■リゾート施設の開発・運営
■ホテル事業
■ブロードバンド通信事業
■介護事業、他

法人設立年1973年8月17日
海外進出時期2004年
日本法人所在地東京都中野区本町2丁目54番11号
海外所在地

韓国・中国・台湾・タイ・カンボジア・インドネシア・ベトナム・ミャンマー・フィリピン

代表者代表取締役社長 深山 英世
資本金752億8,236万円
電話番号03-5350-0001(代)
URLhttp://www.leopalace21.co.jp/
依頼したサポート内容

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