海外進出事例集

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製造業

キッチンメーカークリナップ社の海外向け製品開発とタイの販路開拓事例

クリナップ株式会社

2016年7月25日

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海外ビジネスの概要

1979年の香港の展開からはじまり、1983年に中国の北京に事務所、各国に販売店を広げていきました。この当時から現在まで「クリンレディ」という商品を販売しており、今年で発売33周年になる当社のベストセラー商品になっています。

現在は、中国と香港の現地法人の他、台湾は支店があります。その他、シンガポールやマレーシアといった東南アジア、韓国や香港といった東アジアに、販売店を持ってビジネス展開しています。中国と香港は主に、日本国内で使用する資材の調達を行っており、中国では加えて、現地日系ハウスメーカー向けに現地でキッチンをOEM生産して販売しています。2016年には新たな市場としてタイの販売店の開拓も行いました。

進出理由と背景

海外展開を強化してきた背景については、日本は大きな市場ではありますが、海外にはもっと大きな市場があるためです。それから、私たちは「キッチンというものは人生の中で何回も買い換えるものではないからこそ、永く愛着を持って使っていただきたい」という想いで開発をしています。この高い日本品質の商品を、日本の方々だけではなく、海外の方にも使用していただきたいと想い、海外へ展開をしています。

進出までにやったこと

まず、日本製品と海外現地で使用されているものを比べた際に、デザインに大きな違いがあり、その商品開発に取り組みました。海外のキッチンでは棚の扉は小さいサイズよりも大きいサイズが好まれます。

キッチンという場の嗜好性の高い商品の場合、こうした小さな部分ですが、重要な部分を少しずつ現地のニーズに合わせてカスタマイズしなければなりませんでした。とはいえ、日本の機能性は非常に評価されており、その部分を無くして全部ローカライズしてしまっては、日本製品の良さが出せません。そうかといって、日本での機能性の良さが各国で求められる機能性と全て一致するものでもないため、その部分の調整を、地道な現地調査をしながら行っていきました。

調査段階では、自社のターゲットになる家庭やマンションのショールーム、現地のスーパーでどんなものがどう売られているかまで、現地の視察も行いました。様々なデータがネットで調べられるようになってきてはいますが、こういったデータは生で見に行かないと出てきませんからね。

新規市場の開拓の際は、前述した現地視察と国内での事前調査を行っています。ポイントとしていることは、まず第1に、親日国であるかどうかなど、日本製を受け入れ、評価してくれる土壌が整っていること。第2に、一人当たりのGDPが比較的高い国であり、高級品を購入できる層が増えつつあるかどうかです。また、当社の製品の強みが出せる環境として、第3に高温多湿な環境ということもポイントになります。海外で主に使われている木製のキャビネットに対し、高い耐久性を持った私どものステンレス製キャビネットの強みが生きるからです。

苦労したこと

タイの販売店の開拓では、日本で集めた情報を元に当たりをつけて現地に向かったのですが、ほぼ役に立ちませんでした。最終的に販売店になっていただいたところは現地で実際に自分の足で探したところです。様々な通りを歩いては高級ショールームを見つけて訪問し、そこからアポイントに繋げてといった感じです。その結果、現地の大手販売店と繋がることができました。

当社の商材を売りたいと思ってもらえないことには始まらないので、例えばキッチン製品は扱っていなくてもお風呂を扱っているとか、ヨーロッパの商材は扱っているけれど日本の商材を扱っていないなど、どこに販売店側のメリットがあるのかを考えました。

今後の展開

今後はキッチンを完成品として輸出するだけでなく、もっと枠を広げるチャレンジをしていきたいと考えています。具体的には、キッチンの完成品を持っていくと、輸送コストがかかりすぎて競争力が無くなってしまう国や、価格が高すぎて販売が難しい発展途上国には、シンク単体といった部材レベルでの販売をするといった、新たなビジネスチャンスを探っていきたいと考えています。

当社は機能を持った商品開発が得意ですので、部材レベルでも勝負ができる商品が多くあります。また、地産地消ということが日本でも注目を浴びていますが、キッチンも現地で現地のニーズに合わせてローカライズした製品を売るようにしたいです。そうすることで、現在進出している国に対しても高級品だけではなく、中級品の価格帯にも販路を拡大することができますので。「made byクリナップ」という考え方で広めて行けるかと思います。

海外展開成功のためのアドバイス

自分の目を信じることですね。何が正しいかどうかは自分が行って体感するしかないのだと思います。今の時代、情報は溢れかえっていますが、自分が欲しいピンポイントの情報はやはり自分で探すしかありません。逆に情報が出回っている場合は、既に誰かが開拓しており、新しく入り込む余地は少ない可能性があると言えます。

また、海外では相手が社長など代表の方のことが多いため、即断即決が求められます。きちんとその場で回答できないと「この人と話していてもしょうがないのでは?」と相手の信頼を失います。

現在、私がいる海外事業部では、ある程度の決定権を持たせてもらっています。そのため、自分の判断でその場で回答が出来たので、相手の信頼を得られたのだと思っています。日本サイドに都度確認していては、ビジネスチャンスを逃す可能性が高くなります。

企業名クリナップ株式会社
業種・業態製造業
進出国
事業内容

住宅設備機器製造販売

法人設立年1954年
海外進出時期各国拠点進出は、香港(1979年)、中国(1983年)、台湾(2013年) その他販売店は、中国、香港、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム
日本法人所在地東京都荒川区西日暮里 6丁目22番22号
海外所在地

香港、中国、台湾

代表者代表取締役 井上強一
資本金132億6,734万円
電話番号03-3894-4771(大代表)
URLhttp://cleanup.jp
依頼したサポート内容

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