海外進出事例集

DSC_1512_02

製造業

世界のエコブームに「メイド・イン・ジャパン」で挑戦、変化し続ける創業100年企業の海外進出

服部製紙株式会社

創業は大正3年(1914年)。
合成界面活性剤不使用の重曹電解水を使い、人にやさしく・水環境に負荷をかけないウエットクリーナーなどの、地球環境に配慮した多数の自社オリジナル商品を開発・販売している。
経営理念は【水の力と紙の可能性を創りだし 「感動」を明日につなげる企業を目指します。】

2017年5月23日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

創業は大正3年(1914年)。
合成界面活性剤不使用の重曹電解水を使い、人にやさしく・水環境に負荷をかけないウエットクリーナーなどの、地球環境に配慮した多数の自社オリジナル商品を開発・販売している。
経営理念は【水の力と紙の可能性を創りだし 「感動」を明日につなげる企業を目指します。】

事業概要 〜レッドオーシャンからの脱却〜

海外進出事業を担当しております専務の矢野雅司と申します。
弊社、服部製紙は、社名では“製紙”と謳ってはおりますが、いまや本来の製紙会社の事業内容とは、だいぶ変化していますね(笑)。事業概要としては、製紙部門は全体の3割程度で、従来の製紙事業とは異なる部門が7割を占めています。

おもな事業としては、環境保全をコンセプトとした自社商品の開発と販売になります。
具体的には、環境に優しい重曹電解質を用いたキッチンクリーナーやトイレクリーナー、美容分野で使用される強酸性電解水を含んだウェットティッシュなどが、現在の弊社の主力商品です。
また、環境保全団体であるWWF(世界自然保護基金)とライセンス契約を結んだトイレットペーパーの販売など、取り扱う商品の多くが、環境を配慮したものになっているのが特徴と言えます。

創業は大正3年(※設立は昭和25年11月)。今年で103年目を迎えました。創業時は“手すき和紙”を取り扱うことからスタートしましたが、その後も紙テープや七夕紙なども併せて製造し、戦後の高度成長期を経て、トイレットペーパーという大きな市場に参入を果たしました。

しかし、大手を含めて多くのライバル企業がひしめき合う中、やがて市場における低価格競争に直面し、私たちのような小さな会社は、次第に事業転換の選択を迫られるようになっていきました。

そこで、3代目となる現在の代表(服部正和氏)が、試行錯誤と紆余曲折を経て導き出したのが、先述の「環境に配慮した自社オリジナル商品の開発と販売」だったのです。

進出理由と背景 〜オリジナル・エコプロダクトによる初の海外進出〜

現在のエコをメインに据えた業態になって20年ほどになりますが、5、6年ほど前から、エコ関連商品の売上も上向きになり、主婦層を中心としたお客様から直接お手紙を頂くなど、徐々にリピーターの方々が増えてきた手応えを持つようになっておりました。

それと同じ時期に、弊社の代表が、あるお客様から、中国最大の商業貿易流通グループである百聯(バイレン)の関係者を紹介していただけるお話を頂戴しまして、「よい機会だから中国に行ってみよう」と、代表とふたりで中国に赴いたのが、現在にいたる海外進出のきっかけですね。

今でこそ年に20回ほどは海外へ商談に赴きますが、当時は海外出張そのものがありませんでした(苦笑)。ただ、その頃から、主婦層を中心に国内で少しずつ浸透してきた自社の環境保全商品を、海外のお客様にも使ってもらえたら…という意識は常にありましたね。

私自身、それより20年前に一度だけ中国に行ったきりでしたので、久しぶりに訪れた中国は、特に上海の印象は、想像以上に発展していて、文化的な基準も日本とほとんど変わらないように思えました。
また、いわゆる富裕層と呼ばれる沿岸部のお金持ちの方々もたくさんお見かけしましたし、何より人口の数が桁外れであることが、街を歩いていても肌で実感できましたね。

実際の中国進出における販路としては、高級スーパーと百貨店をベースに、そこを訪れる上海在住の日本人をメインターゲットとしました。
さらに現地の百貨店に置いてもらうために、まずは店頭販売を実施する必要があり、中国人研修生の女性を現地採用して、彼女にお手伝いしてもらいつつ、お店に商品を入れるような形で、弊社の中国進出はスタートしました。

海外進出ならではの難しさ 〜震災および国際政治問題の影響〜

多かれ少なかれ、海外進出には困難はつきものだと思いますが、やはり最初に進出したということもあって、中国については、なかなか難しいことがあると実感しましたね。

当初は現地の百貨店だけでなく、いずれは百聯(バイレン)系列のスーパーにも置いてもらうことを目的としていました。それで約1年間の計画を立てたのですが、事業が動き出したとたんに、2011年3月に東日本大震災が起こりました。
現地でお世話になっていた卸売の会社が、おもに食品を取り扱っていたこともあって、日本の製品は実質的に中国へは輸入禁止の状態になってしまったのです。

そんな状況を打開するために、次は現地の代理店との繋がりをなんとか探し出して、改めて商品を輸入してもらうことができました。

やがて、ようやく軌道に乗っていきそうかな…思った矢先に、次は尖閣諸島の問題(2012年8月)が大きく取り上げられる事態になってしまいました。

それまでは、中国人研修生の女性にがんばってもらっていたのですが、尖閣問題を発端とした世論の影響もあって、彼女が、家族や親戚筋から、日本企業で働いていることが問題視されて、辞めざるを得ないような状況になってしまって…。

そのような度重なる事態を受けて、私どもとしても中国への進出を諦めかけた時期もあったのですが、幸いにも新しく働いてくれる現地の中国人の方を紹介していただきまして。
私どもが中国に商談に行く時だけ、現地企業とのアポを取ってもらったり、通訳やアテンドをお願いしてもらう契約を結ぶことができたんです。

その方は今では弊社の現地駐在員として正式に働いてもらっています。

さらなる横展開へ 〜メイド・イン・ジャパンの強み〜

最初の中国に加えて、現在では、アジアですと、台湾、香港、ベトナム、韓国、タイ、フィリピン。さらにアメリカとカナダに商談に赴いたり、実際に商品を卸したりしています。

アメリカではシカゴの展示会に出展していて、すでに5回目となっています。市場規模の大きさも魅力ですが、私どもが取り扱っているような環境保全を謳っている商品に対する意識も高いですし、現地ではすでにナチュラルというキーワードが注目されていますね。

アジア諸国は、欧米と比較すると、環境に対する意識はまだ低いかもしれませんが、その分伸びしろがあると思っています。中国を筆頭に、台湾や韓国もまだまだ可能性があるはずです。

また弊社は、美容系のフェイスマスクも取り扱っているのですが、世界で一番フェイスマスクの1人あたりの使用量が多いのが台湾らしいんです。もちろん人口比率から見ると、全体として多いのは中国だと思うのですが、共通するのが“メイド・イン・ジャパン”の持つブランド力が強いということですね。

例えばパッケージについても、アメリカやカナダでは、現地の代理店から、英語表記であることを要望されるのですが、逆に中国を含めてアジア諸国では、日本語表記の方が、メイド・イン・ジャパンとしての品質が信頼されやすいとされていますから。

成功へのアドバイスと今後の展望 〜商談後のコミュニケーションの重要性〜

海外進出についてのアドバイスなどは、まだまだ人様に進言できるような立場ではないのですが、あえて申し上げますと、基本的には日本の商売と変わらないものの、中国も台湾も韓国も香港も、みなさん商談後にはお食事に誘ってくれるのですが、可能な限りご一緒するようにしています。
特に中国の方は、食卓を囲んだ後だと、色々お話がスムーズに進む印象がありますね(笑)。

今後の展望としては、今のところ海外営業は役員のみで、時々営業担当を連れて行くくらいで、ほとんどが私と代表が現地に赴いているのですが、ゆくゆくは若い人間に任せていきたいと思っています。
年齢を重ねるにつれて体力的に厳しく感じることもありますが(苦笑)、やはり現地のお店の棚に、自社の商品が並んだ時が一番嬉しいですね(笑)。

企業名服部製紙株式会社
業種・業態製造業
進出国
事業内容

キッチンペーパー / ウェットティッシュ
化粧品(フェイスマスク)/ その他の開発・製造・販売

法人設立年昭和25年11月
日本法人所在地愛媛県四国中央市金生町山田井171番地1
海外所在地

中国
中国上海市,中国(上海)自由貿易試験区泰谷路207号4層NI部位

代表者代表取締役社長 服部正和
資本金83,500,000円
電話番号0896-58-3005
URLhttp://www.hattoripaper.co.jp
依頼したサポート内容

この事例が役に立つ!と思った方はシェア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
海外進出無料相談サービス