Digima〜出島〜

海外進出に関わる、あらゆる情報が揃う「海外ビジネス支援プラットフォーム」

海外進出に関わる、あらゆる情報が揃う「海外ビジネス支援プラットフォーム」

海外ビジネスサポート企業はこちら

検索フィルター

検索コンテンツを選ぶ

検索したいコンテンツを選んでください

国を選ぶ

検索したい国を選んでください

業種を選ぶ

検索したい業種を選んでください

課題を選ぶ

検索したい課題を選んでください

海外ビジネス コラム

商習慣 2015年06月08日

  • share

まるで一流商社マン!地方政府のトップがビジネス上手な理由

島田 敏史(株式会社LIO)

最近ではそこまでではなくなったようですが、中国に進出した日本企業の担当者がしばしば指摘するのが、「地方政府のトップ(書記・市長)はまるで一流の商社マンのようにエネルギッシュで力強い」「日本とは大違いだ」という点です。今回はこの点について、若干ご説明します。

地方発展が“出世”の必須条件

中国は非常に広大な国土を有しており、統治にあたって複数の行政単位に区分けされています。具体的には、鎮、県級市、地区級市、省という順で大きくなっていきます(なお、広東省など特に発展している省は、その省だけで東南アジアの一国に匹敵するほどのGDPを上げています)。このいずれの行政単位に所属するにせよ、中国共産党の役人が出世するにはその地方での成功が必要不可欠となります。

地方発展の黄金方程式

この“成功”を判断する指標となるのが、GDPや税収といった経済指標です。

各地方政府のトップはここでよい成績を残すべく、努力を重ねてきました。当初は何もなかったただの農地を地方政府が安く収用し、道路や鉄道などのインフラを整備し(地価上昇=政府の持つ土地使用権の価値も上昇)、さらに、外資企業を誘致して当地に産業を作り(雇用の創出と外貨の獲得)、それらを中心として都市開発を進める(更なる大都市化)。この「土地収用⇛インフラ整備⇛外資誘致⇛都市開発」は地方政府の勝ちパターンの王道で、中国全土で見られたものです。

「外資誘致」が勝利の決め手

これをよく見てみるとわかると思うのですが、ポイントとなるのは「外資誘致」の点です。これが成功しなければ何ら発展は見込めませんし、逆に、優良な外資企業を誘致できれば、それだけで地方の発展が見込めます。座して待っていても外資企業は来てくれませんし、ましてや優良な企業が他の地域に行ってしまっては、出世レースで負けてしまいますので、必然的に地方政府のトップは“営業”に注力することになるのです。

安易に信じないよう注意が必要

上記を踏まえると、地方政府のトップも地方発展のために必死なのだなと考え、信頼してしまうというのも、心情としては理解ができるのですが、ここでも若干注意が必要です。というのも、地方発展のためには外資企業がそこに居続けてくれなければ困ることから、「誘致」段階では非常に優遇された条件になっているかもしれませんが、「撤退」に関して非常に厳しい条件が付されているかもしれないからです。

また、そもそも「地方政府の役人」であるという点が真実であるかどうかもよく確認する必要があります。政府の役人になりすまして、日本企業を安心させ、お金を巻き上げようとする詐欺業者である可能性も否定できないからです。

中国でビジネスをする場合、日本では想定し得ないようなトラブルに巻き込まれる可能性が十分にあります。契約書のチェックや事実確認の調査などはしっかりと実施するようにしましょう。

※なお、弊方では過去に同様の状況において慎重に調査を実施した事例があり、その記事(「【事例で学ぶ競合調査】政府主導の巨大事業!?それってホント?」)を公開しています。もしよろしければ、こちらもご参照ください。

このコラムの著者

このコラムニストにメールで問い合わせる

島田 敏史

(株式会社LIO)

中国調査・法務サービスの専門家

LIOは、中国に関する調査サービス、法務サービスを提供しています。

コラムニスト詳細

ジャンル別 新着コラム