海外ビジネス コラム

商習慣 2017年02月23日

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「情報はただではない」――海外ビジネスで特に注意すべきこと

永井 政光(NM AUSTRALIA PTY LTD)

インターネットの普及に伴い、一昔前に比べて、情報を手に入れることが飛躍的に容易になりました。テレビや新聞などでしか情報を得る手段がなかった地球の裏側の情報も、部屋に座っていながらにして、リアルタイムで手に入れられるのも、インターネット普及のおかげです。ただ、インターネットの世界に落ちている情報は玉石混交。これらはあくまでも無料のツールから手に入る情報であって、正確性に欠ける場合が少なくありません。本当にビジネスをする上で必要な要素、コアになるべき情報は、インターネットでちょっと調べたくらいでは、簡単には手に入れることはできません。

私は職業柄、オーストラリアの商法、法律など様々な方面の情報を知っています。これらは、自ら数々の失敗を繰り返し経験し、自分自身を人体実験にした結果、血肉となった情報、つまり知識です。また依頼のあるなしに関わらず、定期的に情報収集を兼ねた社内独自に調査も行ます。その調査の信憑性を確認目的とした、比較対象の情報を得る為に、リサーチ専門の企業から情報を購入する場合もあります。他にも、お客様のご依頼により特殊な専門性が必要と判断される項目については、専門家にアドバイスを求める可能性もあります。その全てに料金が発生します。外国では、料金を支払わなければ正確な情報は手に入りません。

外国人は 「情報=お金」 という認識があり、専門家と直接話すだけで時間給が加算されます。ただ座っているだけでも時間給が取られますし、専門家と話す場合でも、事前に自分自身である程度理解していないと、情報を小出しにされより多くの費用を払う羽目になってしまいます。(その高額な請求額に賛否両論はありますが、「情報にはそれ相当の対価を支払う」 必要性はみんな理解しています)。

それでは日本人はどうかというと、残念ながら 「情報は無料」 と考えがちの人が、まだまだ多いのが現状です。海外進出を考えられている企業が増え、近年日本からの問い合わせが急増しています。ローカルな位置づけだったオーストラリアに目を向けていただけるのは非常に嬉しいのですが、情報の価値を理解していただくことに苦戦をしています。
 
たとえば、「このビジネスを立ち上げたい。どのくらいの費用が掛かるのか見積りを出してくれ」そんな依頼を受けましたが、ビジネスが特殊性を含んでいたり、加えて、オーストラリアで立ち上げるには各種様々なライセンスを取得する必要がある場合も多くあります。「ビジネスを行ううえで必要なライセンスは何か」「申請料金は」「ライセンス取得に必要な条件は」 などなど。「見積りを下さい」 と気軽に言われても、いい加減な返答はもちろん出来ませんので、それを伝えるに当たって、各種団体への問い合わせはもちろんのこと、取得について熟知している専門家のアドバイスも仰ぐ必要があります。

正確な見積り金額をはじき出すには正確な情報が必須。それを収集するには膨大な労力と時間と、お金がかかります。私は、見積り金額をお客様に提出する前に、まずはこのことをきちんと説明し、契約を交わした後からでお願いをしております。たいていの外国人のお客様はすんなりと了承されますが、これが日本人となると、「何で見積りを出してもらうのに料金が発生するのか。契約を交わす必要があるのか」 となってしまいます。これがもし問い合わせ先がオーストラリア現地企業であったのであれば、「あっそう。払えないのであればこれで、サヨナラ」 その時点で全てが終了か、待てども暮らせども何ら連絡のない状態が続くかの何れかになります。(もっともきちんと契約を交わし、料金を支払ったとしても、こちらの方から合間を見てせっつかないと回答が得られない事もあるお国柄です)

オーストラリアでは、何らかの依頼を行う場合には、ちょっとした問い合わせでも料金が発生します。まず料金の支払いありき。支払いをしないと何も始まりません。

約束手形などの文化がある日本からすれば驚くべきことですが (逆に世界から見れば約束手形の存在自体が理解不能で、あり得ない存在でしょう)、オーストラリアでは 「最初に料金を貰っておかなければ、とりっぱぐれをしてしまう」 と考えるのが当たり前です。「信用」 という文化が根付いている日本では成り立つことでも、こちらではそのままは成り立たないのは、オーストラリアが多民族国家で様々な人種が入り混じっており、根本的な文化の違いがあるからだと言えます。

私の社内でも、現地や諸外国の企業同様にドライに対応する方法も意見として挙がってはいますが、人生の半分以上海外で生活をしているとは言え、私もやはり根っこは日本人。しかも同じ日本人が困っているとなると、どうしても判断が甘くなります。オーストラリアに進出したい方がこちらの風習に適応するやり方を模索されるのと同様に、私自身、明確な線引きをどうするか模索している今日この頃です。

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永井 政光

(NM AUSTRALIA PTY LTD)

<オーストラリアビジネスの専門家

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