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海外ビジネス コラム

法律・制度 2017年12月15日

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韓国の重要取引契約書に対しては「公証制度」を活用しよう

崔 賢允(Choice Research & Consulting (Choice Law Office))

韓国で「公証」のように一般的に使用されながらも、その意味が正しく知られていない法律用語も珍しい。公証(公證)とは、特定の事実または法律関係が実際にあったかどうかを正式に証明する行為をいう。公証には、ドキュメントを公正証書で作成する方法や、すでに作成されている書類を認証する方法などがある。

今回のコラムでは、韓国の公証制度とそれに関連した必須常識を紹介する。

1.公正証書を作成すれば、すぐに強制執行が可能である。

韓国公証人法(第2条)は、公証人の職務を三つに分けている。

公正証書の作成、私署証書または電子文書の認証、その他の事務などである。公正証書の作成とは公証人が当事者の意思を確認し、法律行為や権利についての記事を直接作ってくれるのだ。その効力も強力である。もちろん、法律で定める要件を完全に備えていなければならない。

公正証書の作成における範囲は、金銭消費貸借公正証書、手形公正証書、公正証書による遺言などでその範囲は大幅に制限されている。金銭消費貸借公証では元金に加えて、約定利子と遅延賠償を受けることができ、消滅時効が10年である。一方、手形公証は元金だけ受けることができ、消滅時効も3年に過ぎない。

公正証書には、強制執行を認諾、すなわち認識し承諾するフレーズを入れて置かなければならない。約束が履行されない場合には、公証役場で執行文を発給を受け、すぐに強制執行をすることができる。たとえば金銭消費貸借公正証書に「債務不履行時には、すぐに強制執行をされても異議がないことを認諾する」というフレーズを入れておけば、別の訴訟がなくても債務者の財産を差し押さえ、回収、強制競売することができる。所要時間とコストも減る。

2.私署証書の認証も活用幅が広い。

「私署証書」とは、私的に作成した文書をいう。私署証書の認証とは公証人がその文書が当事者の意思によって作られた事実を確認してくれるものであり、公証人が直接文書を作成するものではない。

上記の公正証書作成の対象ではない、一般的な契約書や文書の公証はすべて私署証書の認証を意味する。注意すべき点は、私署証書の認証の場合は、強制執行をすることはできない。

公証するかどうかが契約の効力に影響を与えるわけではなく、契約書に私署証書の認証を受ける過程を経て、当事者の意思をより明確にすることができるのである。後で契約書が偽造されたとか、自分の意思とは無関係に作成されたと主張してきた場合などには、裁判で強力な証拠力を持つこととなる。加えて契約書が紛失した場合にも、公証役場に行けば原本を確認することができ、正本や謄本の発給を受けることができる。

3.公正証書の作成が困難な場合は、「提訴前和解」を利用したりもする。

「提訴前和解」とは日本の「訴え提起前の和解」に該当する。以前は金銭や手形など、一定の量の支払を目的とする場合にのみ公証を使用できたが、2013年に公証人法が改正され、建物や土地など物件の引渡しを求める場合にも、公証を利用できるようになった(公証人法第56条の3)。しかし、いくつかの実務的な問題のためにあまり活用されていなく、代わりに「提訴前和解」が多く用いられる。

提訴前和解は、紛争が生じた場合、訴訟に提起する前に法廷で合意するものである。合意内容が記載された和解調書は判決文と同じ効果を持っており、その内容の通りに強制執行も可能である。たとえば、賃貸借契約締結と同時に締結する提訴前和解を通じ、強制退去を容易にすることができる。

しかし、何の紛争もないにも拘らず将来賃貸借が終了したあとの強制執行を目的とするので提訴前和解の元の趣旨を外れるという批判も多い。また、提訴前和解の当事者である賃借人が無断で占有を第三者に渡すと強制執行が困難になることもある。

以上のように公証は、各種類ごとに法的な意味と効果も多く異なる。このような区分に注意し、少なくとも重要契約に対しては専門家の助力を受けて公証制度を活用することをお勧めしたい。

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崔 賢允

(Choice Research & Consulting (Choice Law Office))

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