商習慣 2012年10月16日
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中国事業、撤退は設立より遥かに難しい!
この所の尖閣問題から来るリスク増加などにより、撤退をお考えの企業も相当数出てきておられます。
私どもの所に撤退処理のご相談にこられるケースも増えているのですが、冷静にお考えになって頂く様にアドバイスしています。
撤退は設立より遥かに難しく、当初作られた合弁契約や定款の中身によっては、撤退したくても撤退できない場合もあります。
勿論、その企業の状況により一社一社違いますし、状況によっては撤退が適当だと思われるケースも有ります。
特に、安い労働力目的で進出されておられる場合で、中国の市場を獲り切れていない場合で、将来的にも難しいと想定される場合、且つ撤退コストが嵩まない場合は有望な選択肢だと言えます。
また、中国では、法律の定めにより、全会一致項目と言うのがあります。
重要項目について、董事(取締役相当)全員の賛成が必要となります(1名でも反対者がいれば決議できません)。
撤退についてもこの対象となっており、全会一致が必要です。
一般的に合弁先は一定のメリットを享受しているはずですから(そうで無ければ利害意識に強い中国企業が合弁を続けているはずが有りません)、合弁先から来ている董事に賛成と言わすのは非常に難易度が高い作業になります。
独資の場合は、それに比べると意思決定自体はできますから、随分楽です。
私も多くの会社を作ってきましたが、その殆どは独資。
制限職種でさえ、市長などの特別認可を取りながら可能な限り独資に変えて来ました。
講演会などを通じ、全会一致項目や合弁のリスクも説明して来たのですが、今その話をしても仕方がありませんので、現実として合弁になっている場合は、それに応じて対応策を考えてゆくしかありません。
何れにしても、当局の許可も必要ですから、手間も掛かるし、難しい話ではあります。
棚ざらしにあって清算処理が長期に渡る場合もありますし、税務当局のチェックの過程で、追加の税金等と言う話さえもでてきます。
結果的に、撤退コストが高すぎて、残しておいた方が良かったということになる場合もあります。
以前、依頼され関わった撤退案件については、私自身が当局のトップと懇意にしていたため凌げたと言う話ですが、当局としては、別の売却先を探して継続できないか、あるいは将来的に使い道が出るまでしばらく放っておくかというような判断になっていました。
何とか早めに承認してやって貰えないかと頼み込み、何とか判子を押して貰いましたが、ルートが無ければ相当に苦戦していた案件でした。
一般的には清算作業自体は、半年~1年掛りでの作業となります。
私の知人の独資会社の事例では、地方税と国税の両方でクレームが入り、結果的に1年5ヶ月掛かってようやっと清算に漕ぎ着けました。
勿論、清算でなく、持分を相手に買って貰うという手法もありますし、他の中国企業に売却すると言う方法もあります。
社員の雇用の担保や経済保証金の発生を抑えると言う意味では、こちらも有効であり、撤退方法自体も総合的に考える必要がありますが、これも、その撤退予定企業の利用価値自体で変わってきます。
また、将来的な市場を狙っておられる場合は、やはり慎重に検討する必要があります。
結果として、中国市場には浸透してきたのだが、既に工場は撤退済みで中国国内では生産しておらず、他の国から中国に輸出する羽目になってしまって、コスト競争力が無くなったと言う話でも困ってしまいます。
勿論、もはや中国市場はやらないんだと言うことであれば、それは企業方針、私がとやかく言うことでもありません。
また、現在の状況は非常にリスキーに見えますが、もともと違った社会構造の国で商売する話であり、私から見ると今回のことも不思議ではありません。
或いは、こういったリスクが無くとも違うリスクが出てくるもので、結果どこの国に行ってもリスクはあります。
また、今回の件については、日本側の方法論も悪く(一番中国で反日機運が高まる日の前に発表するなど不手際が目立ちます)、本来ここまで火が付く話ではなかったのではとも思われます。
そういった様々な状況、自社の環境、将来的な市場の読みなどを総合的に判断して頂き、慎重に決めて頂ければと思います。
お解りにならないところや、リスクなど不明な点があれば、是非とも専門家にお尋ね下さい。
この問題については特にセンシティブで、最初のアプローチを失敗すると余計に難しいことになってしまいます。
尚、当社は信頼できる中国現地弁護士とも組んでおり、撤退コンサルティング(或いは継続の為のコンサルティングも)お受けしております。
冷静にご判断頂き、長期的に見て、より各社様にメリットのある実現性の高い決断を降して頂ければと思います。
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