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海外ビジネス コラム

時事 2013年03月15日

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【特集 各国の治安状況】進出時も安心。マレーシアはアジア優等生

鵜子 幸久(桜リクルート社(マレーシア))

「最も住んでみたい国」6年連続1位

ロングステイ関連団体が行っている、海外移住希望地の調査ではマレーシアは「最も住んでみたい国」として6年連続1位となっています。もちろん、物価や生活インフラ、教育体制やビジネスチャンスなど重要な要素はたくさんありますが、それより前に「治安がいいかどうか」というのは日本人の大きな関心事のようです。マレーシアが隣国シンガポールとならんで治安のいい国であることは有名です。そのことは周知の事実になっているので、ことさらにここで強調することではないと思います。

10年ここで暮らしてきた実感や事実を織り交ぜて正確に書くと、コソ泥やスリ、ひったくりは日本並みに多くいます。反面、凶悪犯罪は日本よりはるかに少ないと思います。振り込め詐欺などの知能犯罪に至っては、まだ国民の頭がそこまでプロデュースできないようでほとんど存在していません。繁華街で女性だけが夜歩きしても、日本と同じく大丈夫です。しかし、治安の悪いエリアでは、これも日本と同じく危険な目に合うこともあります。また主に犯罪を犯しているのはマレーシア国民ではなく、200万人いると言われている発展途上国からの外国人であることが多いのが事実です。

 

そもそも「治安がいい」というのはどういう状態?

そもそも、「治安がいい」というのはどういう状態を指すのでしょうか? 私の持論では次の4点に集約されると思います。

1.政治が安定している

2.国家権力、警察力が強大である

3.国民のメンタリティが穏健、争いを避ける

4.国民が貧しくない

1~4、すべてが欠けると治安が悪いという状況を引き起こします。たとえば北朝鮮やかつてのミャンマーなどは1や4はダメでも「2」が強大なためそれが大きな抑圧となって犯罪が起こらないような仕組みになっています。ラオスなんかは政情がしっかりしていなくても「3」の国民気質があるのでこれまた平和です。ブルネイは「4」の最たる国で、国民全員がお金持ちなので、犯罪を考えるに至らないという状況です。マレーシアは上記の1~4をすべてほどよく満たしているという点で、「治安」の優等生と評価され、それが移住人気ランキングに表れているかと思います。

実はこの国の警察力は非常に強大です。ポリスは凶悪犯罪者をその場ですぐに射殺できます。また行動よからぬ者をいきなり逮捕して抑留キャンプに送れる「治安維持法」もつい最近までありました。なので国民はそういうことを恐れて、なかなか「犯罪」ができないのです。

反面、国民気質は非常に穏やかで、怒ったり争うということをしません。私がこの10年で見たマレーシア人の大ゲンカはたったの2回です。またアジアではレアな「車のクラクションが聞こえない国」であることがそれを物語っています。その反面、かなり打たれ弱いところがあり、従業員を叱るとその場で泣いたり、すぐに会社を辞めてしまうことがあります。

 

まずは足と目で正しい現実を知る

少し脱線しましたが、ともかく日本人はステレオイメージをすぐに持ちすぎてしまうと思います。偶然見たひとつのニュースで、「イスラム国は非常に危険だ」とか、「アジアは凶悪犯罪が多いが欧米は安全だ」と、勝手に思い込んでトータル的な結論をすぐに出してしまう傾向があるのです。たしかにシリアや北アフリカの一部が非常に危険な状況であることは事実ですし、東南アジアの中でも夜の一人歩きはやめておいたほうがいい国やエリアがあることも事実です。ただそれを以て、アジア全体がそうだと結論づけるのはまさに子供の思考です。それは反対のことを言えば、日本のことをよく知らない外国人から、「日本人は刀をさして、毎日スシとテンプラを食べている」と決めつけられて心外な思いをするのとまったく一緒です。現実は国や地域、政治、国民気質などによって、まったく状況は違うのです。「内こもり」、「ガラパゴス」、「井のなかの蛙」と揶揄されないためにも、まずは足と目で正しい現実を知ることが重要だと思います。

 

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鵜子 幸久

(桜リクルート社(マレーシア))

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