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海外ビジネス コラム

時事 2013年03月29日

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【特集 各国の治安状況】中国やアメリカで裁判沙汰になったら?

大澤 裕(株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン)

管轄裁判所を日本の裁判所にしても全く意味がない

海外進出で心配な事の一つは現地で裁判紛争に巻き込まれる事でしょう。

中国進出で失敗した知り合いの会社社長が、その原因としておっしゃっていたのは「1.情報収集にお金を掛けなかった 2.契約書を結ばなかった」という事でした。日本人にとって「契約書」は縁遠いものです。そのため、ついつい海外でも口頭の約束で話を進めがちになりますが、万が一、中国の取引先・協力先と紛争が起きた時に、契約書がないと寄って立つべきモノがありません。

その契約書に必ず入っているのが「もし本契約に基づく取引に関して訴訟の必要が生じた場合は東京地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする」といった文言です。どこで裁判をするかを予め決めておくのですが、裁判地を日本にこだわる日本企業が少なくありません。中国で裁判するとどんな判決が出るか分からないという不安があるためですが、これは全く無意味。なぜなら日本の判決は中国現地では強制力をもたないからです。中国で裁判して勝訴してはじめて強制力をもつのです。日本で裁判すると決めておく事は気休めにしかすぎません。裁判地は中国にするか、または国際的仲裁機関に持ち込むとしておいた方が、よほど実効力があります。

 

訴訟問題について過度に不安にならなくていい

米国の訴訟問題も日本企業を過度に不安にさせています。「電子レンジで濡れた猫を乾かそうとして爆発して電子レンジ会社を訴えた人がいる」といった話がまことしやかに語られていますが、これは都市伝説です。現実を見れば、米国においてPL法(製造物責任)で訴えられ、その損害賠償を日本本社まで強制されたケースは数えるほどしかありません。上の中国の裁判例とも関係しますが、米国での判決を日本の裁判所を通して強制執行することはやはり難しい事なのです。

もちろん、保険会社は仕事ですから「米国ではPL保険をかけておかねば大変な事になりますよ」と高額な保険加入を勧めますが鵜呑みにすべきではありません。米国で大量に売れて、米国に子会社や工場等の資産をもつようになればPL保険はかけるべきですが、まだ一つも売れていない状況でウジウジ悩む事ではないと断言できます。

中国・米国とも弁護士の相談費用は高いものです。また保険会社は当然にリスクを強調し保険加入へ誘います。手前みそですが、信頼できる海外ビジネスに詳しい会社から一般的なアドバイスをもらい、本当に対応必要な個別の法的問題のみ弁護士に相談され、また保険に入る事を、経費的にもお勧めします。

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大澤 裕

(株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン)

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