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海外ビジネス コラム

時事 2013年12月24日

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【特集 世界各国の税制度】主なカンボジアの税制を総ざらい

藪本 雄登(RIKUYO(Cambodia)Co.,Ltd)

カンボジアの税制は 1997 年に制定された税法(Law on Taxation)および 2003年改正税法(Amendment Law to Law on Taxation)に基づいて規定されています。各税制について、詳細規定は省令により制定されています。

以下、主なカンボジアの税制について説明致します。

(1) 法人税

法人税は居住企業の利益に対して課税されます。法人所得税の課税は「実態管理様式(Real Regime)」、「簡易管理様式(Simplified Regime)」および「推定管理様式(Estimated Regime)」の区分によって実施されています。上記の管理様式は、会社の形態、ビジネスの種類、売上規模によって判断されます(税法4条)。

事業活動からの所得および事業活動に関連しない不動産や金融資産からの所得など、全ての所得が課税対象となります(税法7条)。レクリエーション費や寄付金等、損金算入に制限が定められているものもありますので、注意が必要です(税法19条)。

交際費などは損金にならないので、要注意。

なお、法人税の通常税率は20%となっております(税法20条)。ベトナム(25%)やタイ(30%)などの近隣諸国と比較して、低い税率となっています。法人税は、年次の確定申告が必要となります。

法人税は以下の表のとおり設定されています。

カンボジアの法人税においては、(優遇措置を受ける会社を除いて)実態管理様式の適用を受ける会社に対して、最低課税の制度が定められています(税法24条)。企業が損失を計上する場合でも、売上の1%に相当する額が課税されます。アジア諸国の中でも特異な制度であり、事業形態によっては課税の負担が大きくなるケースも考えられ、注意が必要です。

法人税率(税法1条—23条)一覧表

法人税 税率 備考
  • 一般法人
20%
  • 原油・ガスの生産分与契約及び木材、金、鉱石、宝石及び金属類を含む天然資源の開発
30%
  • QIP認可取得会社
0% ※免税期間は最長9年間となる。
  • 保険会社
5%
最低課税(第24条)
  • 最低課税(月次申告)
1% ※売上の1%分の納税が必要となる。月次申告で売上の1%を納付し、確定申告時に法人税額分と相殺される。赤字の場合であっても、納付1%は最低課税分として処理される。

(2) 個人所得税

カンボジアにおいては、(驚くべきことに)日本の様な個人の所得を包括的に課税する枠組みはありません。そのため、主に個人への課税は給与税(Tax on Salary)に基づいて支払われます。

給与税は、雇用関係により受領する給与に課される税金であり、カンボジア居住者であれば、カンボジア源泉給与および外国源泉給与が課税対象(全世界所得課税)となります(税法41条)。税率については、累進課税制が取られています(税法47条)。会社は、給与、賃金及び全従業員に支払うその他の報酬から給与税を控除し、申告および納付する責任があります。

また、付加給付税については、企業が従業員に提供する住居や交通費等の付加給付に対して、一律20%の税率が課せられるので注意が必要です(税法48条)。企業が従業員もしくはサービス等の提供先への支払いから源泉徴収することが規定されていますが、給付の性質上、企業が当税金を別途負担しているケースがほとんどであります。上記の給与税とは別個に申告する必要があります。

給与税率は以下のとおり。

給与税率(税法40条−54条)一覧表

給与税 税率 備考
  • 0リエル~500,000リエル

(約125USドル以下)

0%
  • 500,001リエル~1,250,000リエル

(約125USドル~312.50USドル)

5%
  • 1,250,001リエル~8,500,000リエル

(約312.50USドル~2,125USドル)

10%
  • 8,500,001リエル~12,500,000リエル

(約2,125USドル~3,125USドル)

15%
  • 12,500,000リエル超

(3,125USドル超)

20%
  • 付加給付税(FBT)
20% ※付加給付税額は、すべての税金を含めた公式な市価を設定(税法48条)。
  • 非居住者
20%

参考:1USドル=約4,000リエル

(3) 源泉徴収税

カンボジア国内において事業を行う者は、以下の特定の支払いに対し、源泉徴収の義務が課せられます(税法25条-27条)。 税金は月単位で課税され、翌月15日までに納税する義務を負います。

現状において、税務局は自然人に対するサービス料に対して幅広い解釈を採用しており、物品などの購入を除いては、ほぼ全てのサービスに対して源泉徴収税が課せられるので、注意が必要です。

ただし、「法人税に関する政令(Prakas on the Profit Tax)」によれば、実態管理様式の適用を受ける会社に対するサービス支払いに関しては、源泉徴収税の支払いは免除されます。ただし、無形資産の使用料や動産・不動産お使用料については免除されないので注意が必要です。

表 5 源泉徴収税率(税法25条−27条)一覧表

源泉徴収税 税率 備考
カンボジア国内居住者に対する支払い: 

  • 営業、コンサルティングおよび類似するサービスを含む自然人へのサービス料収入
  • 無形資産に対するロイヤルティー、鉱物資源に対する利益の支払い
  • 利子支払(国内の銀行、金融機関、慈善団体に支払う利子を除く)
15%
  • 動産・不動産の賃貸
10%
  • 定期預金を保有する居住者に対する国内銀行の支払い利子
6%
  • 非定期性預金を保有する居住者に対する国内銀行の支払い利子
4%
非居住者に対する支払い: 

  • 利子、配当金、資産の使用に伴う賃料とその他の収入、ロイヤルティー、営業・技術サービスサービスに対する報酬

 

14%

途上国であると思ってカンボジア税制を甘くみると痛い目にあう可能性が高いです。運用ベースでは途上段階にありますが、法制度としてはかなり発展しており、節税の抜け道などはほぼないのがカンボジア税務の特徴です。

カンボジアでの税制については、必ず専門家に確認されるようお薦め致します。

 

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藪本 雄登

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