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時事 2014年03月20日

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【海外進出白書2013年版 解説】高まる香港の重要性、「中国戦略は協業戦略にあり」

堀 明則(Hopewill Group)

日中問題により急浮上してくる「香港」という存在

日本と中国、二国間の政治的関係は冷え込んだ状態にあります。一方で市場経済に目を向けると、日本ブランド、日本流への関心は高く、特に上海などには「日本モノ」へのファンも増加中です。

通常、新興国進出の切り込みはまず製造業がその先陣をきります。中国では過去20年以上に渡り日本の製造業が中国の地に根をはり、深く展開を続けてきました。
ここ数年は製造業に続き、小売業、サービス業などが中国を巨大市場として捉え、その市場を獲得すべく中国への進出をおし進めています。

しかし、一昨年おきた両国にとっての不幸な外交上の問題は、経済活動に大きなブレーキをかけるにいたりました。製造業はチャイナ・プラス・ワンをさらに加速すべく、中国への投資を控え、続く小売業、サービス業も中国にかわる新市場の開発を視野にいれ行動に出たわけです。結果、どのようになったか。多くの調査結果から、「中国への関心引き続き高し」「再度中国市場開拓の機会を検討」このような意向が日本経済には強く残っていることが確認できます。

しかし、今後の対中投資戦略、対中市場開発戦略において、現在の二国間の緊張状態はそのあり方を少々修正させるにいたっているかもしれません。弊社香港法人には引き続き中国生産拠点開発、市場開発に関する問い合わせが多く寄せられます。以前と変わってきたことは、中国への自力進出を優先的に検討するのではなく、よいパートナーとの協業戦略を模索されるケースが多いということです。

そこで、急浮上してくるのが「香港」の存在です。

香港が演じる優れた機能とは?

香港には英国統治時代の置き土産とでもいうべきいくつかの優れた機能があります。それは「リーガル(法)」と「タックス(税)」と「ファイナンス(金融)」、そして「ランゲッジ(言語)」です。

現在、香港は「国際仲裁(アービトレーション)センター」としての地位を確立し、中国はもとより世界の仲裁案件を処理するようになっています。タックスに関しては、アジアでも有数の低税率地域であり、香港、シンガポールがアジアのタックスアレンジメントセンターとしては巨頭となるでしょう。続いてファイナンス、こちらは低税率との関係も強いわけですが、低税率地域での事業効率を求めて統括機能が集積し、金融機能が大いに発達しているという次第です。最後に、何よりも香港の優位性は中国で地続きの地にありながら、香港人が中国語、英語の双方を操るマルチリンガルであるということです。

ビジネスセンスは日本人のそれと共通する部分は多く、しかもリーガル、タックス、ファイナンスという経済の基本インフラが極めて明快であり、強固であるということ、加えて香港人は「中華民族」であるため、中国人のメンタリティもよく心得ているという、香港人の存在、あるいは香港の存在をうまく活用し中国市場にアプローチをしようという図式がクローズアップされるわけです。

特に、小売業などは中国への輸入許可の煩雑さなどから、そこに時間を要し結果商機を逸するというようなことも見受けられます。サービス業も、その優れたサービスを中国に輸入することはできても、現地で起きる様々な特有の問題に上手く対処できず、結果撤退を余儀なくされる、あるいは成長速度をあげてゆけないという現象もみうけられます。

中国で成功をおさめているサービス業などは、香港パートナーをうまく活用しているケースは少なくありません。むしろ、香港パートナーがいてこそ成長速度を確保できていると言えるかもしれません。小売に関しても、中国で売るために香港で売るという戦略も大いに有効になります。

2013年中国から香港への来港中国人はついに4,000万人に上りました。彼らのことは「水客」と呼ばれており、彼らが香港で買い付けた粉ミルクやおむつなどを中国にハンドキャリーをしていることは有名な話です。香港において、ほとんどの製品の輸入障壁は存在しません。上述のような香港の経済インフラの確かさと、香港人という日本・中国双方になじむパートナー、そして中国からの4,000万人に及ぶ「水客」という動線、これらを活用すれば新しい中国市場開発戦略もみえてきます。「中国戦略は協業戦略にあり」と言っても過言ではないと考察します。

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堀 明則ほり あきのり

(Hopewill Group)

幅広い事業範囲を武器に

日本企業、個人に対し、香港・シンガポールをハブとした、『日本からア

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