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海外ビジネス コラム

時事 2014年06月04日

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【時事ニュースを斬る】タイの軍部クーデターが日系企業に与える影響

但野 和博(Accounting Porter Co., Ltd.)

売上・利益共に大きな影響はなし

世界に目を向けている方にとって注目度の高い今回のタイにおける軍部クーデターについての影響と展望をビジネスという切り口からご案内します。

まず現状ですが、こちらを記載している2014年6月1日時点では軍部がそもそも大規模デモとならないよう集会地になりやすい場所にはあらかじめ兵士を配備し、交通を遮断するなどしており、今のところ軍事力を行使するような衝突は回避されています。

また、当初デモの主だった構成であった反タクシン派あるいは反政府派といった参加者にとって軍部クーデターは今のところ自分たちの主張をある程度代弁するものと見られており、デモに所属していた参加者達の動きは沈静化しているようです。ただ、反クーデターの中心が親タクシン派と言われており、少数であっても先鋭化される傾向が以前より指摘されています。そういった面では予断を許さない状況とも言えます。

一方で日常生活はどういったものかというと、デモ発生のときとそう変わらない雰囲気で、一部交通規制による渋滞などの影響はあるものの通常通りの装いです。

その中で日系企業各社の対応ですが、今のところ夜間外出禁止令が完全には解かれていないものの(現在は午前0時から午前4時まで)、各社の工場も通常通り操業し、冷静に対応されているようです。アソークやシーロムなどビジネスの中心街にオフィスを構える会社にも直接の影響は見られずこちらも通常通りの心象です。

実際の営業活動にはどう影響があるかというと、当社のサービスの特性としてお客様の事業活動を数字で把握しておりますが、今のところ売上、利益共々どちらのお客様にも大きな影響が見られません。

この状況で進出してくるくらいの企業が成功する

次にこれから進出する日系企業ですが、現在進出を検討している方についても出張を取りやめるなどの対応は多少出てきているものの、進出自体を取りやめるなどの話は聞いたことはありません。進出を決めた会社にとっては、タイは引き続き今後のビジネスにとって最有力の位置づけであり、情報収集などに余念がない動きを見せております。

逆に言うと、今回の一連のデモやクーデターで尻込みしてしまう会社にとっては、恐らくタイをはじめアセアンを重要視していないと言えるのではないでしょうか。そうした企業は、たとえタイが平常化した後に進出したとしてもタイで生き残れないのではと危惧しております。

かつての「産業クラスターの2次、3次的位置づけの進出で、仕事が黙っていても入ってくるといった」状況とは現在全く変わっており、タイはおろかアセアン全体に目を向けた展望が進出成功のために必要となってきております。

実際にここ最近日系企業の当社が関わったデューデリジェンスの中でも、かつて主力だった1次からの受注よりもタイのローカルマーケット向けの受注の割合にシフトしていく動きもあり、独力で生き抜こうとしていかないと厳しいマーケットになっていることが見受けられます。

以前も記載しましたが、今回のデモやクーデターといった政治的情勢に限らず、リスクをしっかり分析した上でリスクを取れる企業でないと撤退という文字が現実のものとして多くなってくると感じております。

例えば、日系の飲食業などは今回の外出禁止令により、営業時間短縮などの影響を受けているので厳しい状況ではありますが、本当に厳しい店についてはデモの有無にかかわらず1年足らずで入れ替わっております。

政治情勢が厳しい今のタイでは、これまでよりも正しい情報分析と実行力、そしてリスクを取って決定したサービス内容をしぶとく継続して実行できる企業が今後タイで長く成功を収めることになると思います。

そのためには当社をはじめ各進出サポート企業の活用においても、初めからおんぶに抱っこということではなく、リスクを認識し向き合っていける企業からの相談が今後増えていくのではと期待しております。

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但野 和博

(Accounting Porter Co., Ltd.)

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