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時事 2015年02月02日

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【特集 2014年総括&2015年予想】激動のタイ編

但野 和博(Accounting Porter Co., Ltd.)

激動の年だった2014年のタイ、進出案件の増減は?

皆様もよくご存知のとおりタイでは2014年にデモの収束、戒厳令、外出禁止令、軍政移行など様々な社会的変化がありました。そのような変化の中で実際に、2014年の日系企業のタイへの進出状況はどうだったのか、またそれを踏まえて2015年の展望はどうなるのかということにフォーカスして現地日系企業をサポートする立場でご案内したいと思います。

2014年をいきなり総括してしまうと、進出案件自体の規模が小型化してきており、全体的にスモールスタートで検討される企業が増えてきていたというのが実感です。この年の年初はデモに勢いがあった頃ですが、進出の問い合わせ自体が2013年からそれほど衰えることがなかったのは、恐らくそのあたりの大きな資本投下を必要としない形での進出を検討してみようという流れがあったのかと推測しております。そのため進出実数そのものはデータ上落ちていることはあっても、想定しているような進出を断念したということではなく、政治的収束に向かうことを前提に前向きに検討が進んでいたように感じました。

もちろん当時の関心の多くは、タイの実際の安全状況などの現地事情でしたが、本当に進出に関心のある企業の方はそんな状況でも視察には来られましたし、案の定というか実際来て見て対応できる範囲のリスクであると判断され、そのまま具体的な進出手続きに進む企業が多かったとも感じました。

冷静かつ粛々と業務をこなした進出済み企業

一方、現地日系企業の状況はというと、このような社会的変化の中で冷静に粛々と日常業務をこなしていたというのが実態です。

もちろん有事の際の危機管理対応は各社対応されており、外出禁止令のときは特に夜間は外出できないので業務時間の短縮措置をとる動きなども一部にありました。また改めて緊急連絡網を整備したり、現地MDの判断で臨時休業にするなどと言った対策をクーデーター日以降に実施している企業もありました。

ただし、それによって撤退という動きが出ることはほとんどなく、外出禁止令の期間に一番経済的実害を被った日系飲食事業の企業も相当大変だったにも関わらず、それによって撤退したということはほとんど聞かれず、現在はすっかり盛り返している状況です。

何といっても、これら一連の期間中における現地日系企業の皆さん自体が非常に冷静で、むしろデモによる常態化した交通封鎖などに不便を感じることも多かったので、クーデターという形にせよ日々の生活に直結するそのような不便な面が解消され、軍政による安定した経済状況改善への期待を持つ方がほとんどだったかと思います。

実際の進出の動きとして実数として出てきたのはやはり軍政に移行してしばらくたった8月や9月位からですが、その頃から年の後半に向けて円安による相対的なバーツ高の影響が出てきました。但し、その影響も限定的で進出企業にとっては投資コストは従来予定していたバーツ基準で考えると当然余分にかかりますが、そのことで進出を断念したというのは聞かなかったです。むしろ、いずれ進出するのであればこれ以上上がらない今のうちのほうが良いと考える向きもありました。将来的に配当で日本に還元しても内部留保でタイ国内での再投資にまわしても、いずれ為替リスクはヘッジされるかニュートラルですのでその点も皆さん冷静に判断されているように見えました。

一方、既に進出されている企業で日本からのオフショア的な事業をされていたり、日本向けの輸出事業をされているところについては影響は少なからずありました。その影響は現地日系企業の財務諸表を毎月管理している中で、はっきりと為替損失として目の当たりにしていたことからも明らかです。ここ数年でタイ政府も労働集約型の投資誘致からは脱却することを表明していることもあって、タイでのオフショアは厳しく、オフショアを考えるのであればむしろASEAN経済統一に向けて、タイを拠点とした周辺国でのオフショア事業の展開というところではないでしょうか。

タイでは以前から言われているように、中進国の罠から抜け出すために産業の高度化に向けて必死ですのでこれらの動きにも進出企業は気を配る必要があります。

2015年は「スモールスタート」「トライアル」がキーワードに

さて、このように2014年は変化が著しい中でも日系進出企業についてもたくましく切り盛りしてきているわけですが、2015年について最後に少し私なりの展望を記します。

昨年後半から感じているトレンドで、冒頭でも触れたスモールスタートのビジネスが上場企業クラスあるいは上場企業の子会社クラスにおいても増えてきているということに加え、本当に小資本の個人事業クラスの方も着実に増えてきているということです。

また上場企業クラスの場合でも以前よりも意思決定のスピードが上がってきたように思えます。これはこと日本国内において意思決定のスピードが早い企業が上場会社に増えてきたからで、長く上場していた会社の意思決定スピードが早くなったという内的変化ではないようには思えますが、いずれにせよ進出においてのこのスピード感は極めて重要です。

ASEANの消費マーケットを取り込むという進出理由としてのお題目は重要ですが、そのような当たり前のことを時間をかけて事前リサーチするのではなく、ミクロ的に自社のサービスをどうように浸透させることができるかをトライアルベース的にでも実行してみることのほうがはるかに有意義で意味のある時間とお金の使い方かと思います。

経済に国境がなくなりつつある時代では経済活動におけるスピードで遅れを取らないようにしたいものです。

タイは幸いにして古くから日系企業には進出しやすく、活動もしやすい環境が整っております。2015年後半のASEAN経済統合に向けて彼の地を足がかりにASEANに展望を向けて事業活動を広げる日系企業は今後も増えていくとは思いますし、そのような展望を持った日系企業の進出に期待しております。

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