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海外ビジネス コラム

時事 2015年02月06日

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【特集 2014年総括&2015年予想】スペイン人1,000人調査から導く「インバウンド対策」のポイント

野田 彩子(地中海マーケティング研究所)

2014年、「インバウンド消費」がヒット商品番付に

2014年は、日本の旅行・観光業にとって「インバウンド(=訪日外国人旅行)」が重要なキーワードとなりました。旅行・観光業だけでなく、2020年に向けてインフラ、交通、輸送、商業施設、飲食、物販といった多くの業種でこの分野に注目が高まり、「インバウンド消費」が毎年恒例の日経MJヒット商品番付で「横綱」になったことも、大きな話題となりました。

地中海マーケティング研究所(ブルームーン・マーケティング)では、「スペイン人1,000人に聞く」シリーズとして、スペイン全国の15歳~70歳の男女約1,000人に対しインターネット調査を実施しています。スペインから日本への旅行者は、現在確定値が確認できる2013年のデータによると44,431人(伸率:26.3%)の第20位ですが、2014年実績も引き続きこの人数は増えているでしょう。今回はこの調査をベースに、2015年に一層盛り上がる「インバウンド対策」へのヒントを探っていきたいと思います。

訪日旅行者数、スペインは第20位*

過去コラム(第1回:スペイン人1,000人に聞いた日本に関する意識調査 http://www.digima-japan.com/column/market/2002.html)からわかるように、スペインにおいて「日本への旅行希望は、行ってみたい人が全体の91%」です。今後、訪日旅行者の増加が見込まれる「ポテンシャルが高い国」の一つであることに違いはありません。

訪日旅行者の数がまだ少ない場合、「一度日本に来たことがある人」というフィルターをかけて調査をすることはやや難しくなります。しかし、現地の人が「日頃どのように海外旅行をしているのか」という実態を知ることが、インバウンド対策の第一歩となります。

* 確定値が出ている2013年の値
* 本調査は、対象国の性別、年代、地域の国勢調査の比率で回答を回収し、代表性を有する「一般消費者調査」となります。

まず、現地における「海外旅行」の実態を知る

まずは、一般的にスペイン人が年間にどのくらい観光目的で海外旅行をするか聞いてみました。

1.あなたは年間に何回程度、観光目的で海外旅行をしますか?(単一回答:N=1,026)

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世界において「観光大国」のスペインですが、国勢調査に基づく比率の回答である一般調査では、観光目的の海外旅行は「ほとんどしない」と答えた人が最も多いという結果になりました(景気の影響もあると思います)。しかし傾向は年代で異なり56-70歳では41.8%、年代が下がるほど「ほとどんどしない」人は減り、15-22歳では30.8%まで縮小します。
ここから、もしインバウンドでスペインをターゲットするなら、シニアより若年層を狙う方が、効果が高いと予測できます。

海外旅行先を選ぶ時、影響を受けるものは?

次に、このような旅行先を選ぶ時に「影響を受ける情報」を複数回答で聞いてみました。

2.あなたが観光のために海外旅行先を選ぶ時、どのような情報に影響を受けることが多いですか? (複数回答3つまで:N=1,026)

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男女共にトップ3が同じで、全体の43.7%が「親族・知人・友人の口コミ」と回答しました。手段は直接かSNS等かを特定していませんが、「顔を知っている人からの口コミ」は最も影響が大きいことがわかります。「ニュースや時事ネタ」(26.0%)、旅行関連雑誌(20.2%)が続きます。
日本を旅行してもらう間に、旅行者が直ぐに「ソーシャルメディアにアップしたくなる」、また帰国後のお土産話で「周りに話したくなる」おもてなし、仕掛け、話題を提供することが、次のお客様につながります。

3.あなたは出発前にどのように旅行先に関する情報を収集しますか? (複数回答5つまで:N=1,025)

b3

旅行先を決めた後、どのように「旅行先」の情報を収集するのか聞いてみると、全体のトップ3は旅行先の観光局のウェブサイト(40.6%)、口コミ・比較サイト(36.9%)、旅行会社の店舗(36.0%)と続きました。影響を受けるだけでなく、情報収集にも口コミは欠かせないことがわかります。
「旅行先の観光局のウェブサイト」は、日本の場合は日本政府観光局(JNTO)になります。やはりその国を代表する観光情報サイトとして、政府観光局の存在は欠かせません。

実際に、どうやって予約する?

旅行先が決まり、情報も集めた旅行者は、次にどうやって予約をするのでしょうか?

4.あなたが観光のために海外旅行をする場合、どのような形態が多いですか? (単一:N=1,025)

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単一回答で聞いた旅行形態は「場合によって異なる」が最も多く、旅行者が適宜使い分けていることがわかります。次点はほぼ同数で「個別手配」が続き、3位は「パッケージツアー(添乗員・食事付きフルプラン)」で16%でした。「団体旅行より個人旅行」という傾向は、スペインでも変わらないようです。

5.あなたが観光のために海外旅行をする場合、どのように予約することが多いですか? (複数回答2つまで:N=1,025)

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実際の予約には「旅行会社の店舗へ行く」が男女ともに最も多く(35.7%)で、インターネットが発展した現在においても、やはり旅行会社店舗の重要性がわかります。「場合によって異なる」と答えたのは女性の方が多く、2位でした。男性の方が最初からウェブサイトで予約をする傾向がやや高いようです。
プロモーション施策を考える上で重要なチャネルですが、旅行会社経由(BtoB)、直接消費者にアプローチ(BtoC)のいずれも重要であることがわかります。自社のサービス、商品を、どの販路からアプローチするかの見極めが大事になります。

便利なメタサーチ(サイト横断型比較サイト)、実際に使ってる?

一度の検索で複数の予約サイトの結果を確認できる、「メタサーチ」はとても便利です。日本でも、最近世界大手のスカイスキャナー社とTravel.jpが業務提携するなど、その動きに注目が集まっています。

6.あなたは航空券や宿泊を予約する際に、サイト横断型比較サイト(Meta Search)を利用しますか? (単一回答:N=1,026)

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スペインでは、飛行機や宿泊を予約する際に、半数以上の58%が「サイト横断比較サイトをいつも使う」と回答し、「たまに使う」人を合わせると約83%が利用し、メタサーチが浸透していることがわかります。多くの旅行者が、特定のサイトに異存せず「より良いものを」探し、比較検討した上で旅行を決めているようです。

最後に実際に予約したことがあるサイト名を聞いてみました。

7.あなたが実際に「海外旅行の予約」に利用したことがあるウェブサイトは次のうちどれですか? (複数回答3つまで:N=1,026)

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「利用したことがある」と答えた人が多かったサイトは、2005年にドイツ、デュッセルドルフで設立されたホテル価格比較サイトの「trivago(トリバゴ)」、そして「Booking.com」、「KAYAK」と続きます。女性だけでみると、バルセロナに本社がある「ATRAPALO」が人気であることがわかりました。
この結果では、「現地でしかわからない選択肢」を探ることに価値があります。(本調査では、現地パートナーで適した選択肢を追加してもらっています)。自社が狙うターゲット層が実際に使っているウェブサイトがわかると、そこに何らかの施策(広告やキャンペーンなど)を打つことも可能になります。

各国の旅行者動向を把握し、仮説を立てることで打つべき施策が見えてくる

以上、スペインの1,000人調査を例として「インバウンドに活かすヒント」という視点で振り返りましたが、考え方は「国内で実行するマーケティング施策」とほぼ同じです。違うのは、そのスタート地点である「旅行者の実態や心理」を掴むところが、国や文化の違う国であるため「把握しづらい」という点です。

これを少しずつ紐解いていくことで、インバウンド施策としての「(S)セグメンテーション→(T)ターゲティング→(P)ポジショニング」を考えることができます。国を選定した後に、次は性別・年代・居住地などで更にターゲットを絞り、「自社のサービス・商品のターゲット」になり得るグループに対して、より踏み込んだ調査(商品・サービスに対する意見、デザイン・価格について、購買意図など)を聞くことも有効です。

海外向けのプロモーションは国内と比べてコストもかかるので、「優先度の高い国から順番に」施策を打つことになります。大切なプロモーション費用を投下する前に、その一部で事前調査を実施することで、より費用対効果の高いインバウンド施策を実行することができます。

■調査概要
・調査日 2014年9月12日(金)~18日(木)
・調査対象・有効回答数 スペイン全国の15歳~70歳の男女1,026人
・調査方法 インターネット調査 *下記参照
・属性 男性=530人・女性=496人

15-19歳=59・20-24歳=81・25-29歳=100・30-34歳=125・35-39歳=122・40-44歳=117・45-49歳=110・50-54歳=98・55-59歳=83・60-64歳=65・65-70歳=66

・データ協力 Cint Japan

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野田 彩子

(地中海マーケティング研究所)

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