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時事 2016年11月25日

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マレーシア首都・クアラルンプールでも大規模デモ発生、その原因は?

鵜子 幸久(桜リクルート社(マレーシア))

去る11月19日、マレーシアの首都クアラルンプールでは、ナジブ首相が政府系ファンドから多額の資金を受け取っていた疑惑をめぐって、NGO連合体「ブルシ(清廉)」を中心とした4万人余りの市民団体が大規模な抗議デモを行い、首相の退陣を求めました。また現在ナジブ氏と対立するマハティール元首相も輪に加わりました。集まった市民らはシンボルカラーの黄色いTシャツを着用し主要道路を一時占拠するなどしましたが、一方でデモを妨害するためにマレー系中心の政権支持派も赤いシャツを着て路上を行進し、約7千人の警官隊が警戒にあたり、どうにか流血の事態を回避することができました。

マレーシアでは、ナジブ首相が政府系ファンド「1MDB」からおよそ7億ドルの巨額送金を受けたほか、首相や親族らがファンドを私物化していたことが以前から指摘されていますが、司法当局はことし1月、送金の事実を認めたうえで違法性はなかったとして捜査を打ち切っています。しかし、その後もこの強引な幕引きに納得しない市民やメディアが首相や政権への批判を続けていて、去る8月31日の独立記念日の大規模デモに続いての今回の大規模デモとなったわけです。

一連の疑惑をめぐっては、アメリカ司法省が、ナジブ首相の親族らがアメリカの金融機関を通じて購入した資産の凍結を求めて民事訴訟を起こしているほか、シンガポールやスイス、アメリカの司法当局が捜査を進めています。マレーシア政府は、市民団体の代表や学生を逮捕するなど批判を封じ込めようとしていますが、追及の動きは国際社会にも広がっています。ASEANの中では過去こういった政府批判のデモが長らくなかったマレーシアですが、政府がうやむやな対応を続ける限り、国民の不満も消えることはないため、今後の動向に注意が必要かと思われます。

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