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海外ビジネス コラム

時事 2021年03月19日

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2万件超の相談を受けて分かった 海外ビジネスを成功に導く「ハイブリッドな日本人」とは?

兒嶋 裕貴(株式会社Resorz)

グローバル視点と日本視点のふたつを持つ人材

海外ビジネス支援プラットフォーム「Digima〜出島〜」では、これまでに2万件を超える海外ビジネスのご相談を承ってきました。

そんな弊社のミッションの一つは「ハイブリッドな日本人の量産」というものです。あまり耳慣れない言葉かと思いますが、ここで言うハイブリッドな日本人とは「グローバル視点」と「日本視点」を持つ日本人という意味です。海外ビジネスを成功させるには、そして日本にイノベーションを起こすにはそんな「ハイブリッドな人材」が必要不可欠です。なぜ、そんな人材が必要なのでしょうか? これには深い(?)理由があります。

日本にイノベーション起こす人材とは?

日本は高度経済成長期を終えています。しかし、いまだに右肩上がりの成長を期待する亡霊に取り憑かれ、過去の成功モデルや旧態依然とした価値観に捉われたまま。今までのやり方では新しい「何か」は生まれないでしょう。新しい「何か」が生まれなければ「次」も「成長」も生まれません。

日本にイノベーションが必要なのは言うまでもありませんが、果たしてイノベーションを起こせる人材とはいかなる人材なのでしょうか? 私は「全体」と「部分」双方を「身体化=自分事化」できた人間であると考えています。

日本のイノベーションという文脈では「全体=グローバル」と「部分=日本」と理解することが大事になります。日本的なことだけを極めても、グローバリゼーションにのみかぶれても、つまりどちらか一方の視点だけでは決してイノベーションは起こせません。

グローバルと日本、そのハイブリッドな視点を持つことで日本の強み・改善点を再認識することができ、そして海外の学ぶべきところ、学んではいけない部分を認識できます。その結果イノベーションを起こせるのです。ハイブリッドでなければ日本にも世界にも革新を起こせません。

海外ビジネスを成功させる人材とは?

それでは、具体的なビジネスに落とし込んでみましょう。この場合、「全体=グローバル」「部分=日本」になります。日本の商習慣と海外の商習慣はしばしば対立するものです。その対立を解消するにはグローバルと日本双方の商習慣を理解した上でしか解決策は出せません。

実際の例を挙げます。

一昔前にアジアで日本のメーカーが日本式の白物家電を売ろうとしていたが見事にうまくいきませんでした。海外ビジネスがうまくいかない企業にありがちなのが「日本の成功モデルをそのまま海外に持っていく」ことです。この日本の某メーカーは日本で売れた「省エネ・省スペース・音がしない」エアコンを現地で販売しようとしましたが、東南アジアの消費者においては省エネ・省スペースの概念はなく、「エアコンは音がする方が効いている気がする」という価値観すら持っています。日本的な視点しかない=プロダクトアウトの発想こそが部分思考。これでは世界で売れるものは作れません。

対して韓国や台湾、中国のメーカーはアジアのマーケットを理解した上で、自国の製造業の強みを活かしアジア向けにダウングレード、或いはローカライズした白物家電を販売してマーケットを席巻しました。まさにハイブリッドな視点を持ってビジネスをしたのです。

このズレを解消するには現地マーケットを理解した上で自社の強みを活かす戦略を立てなくてはならないのです。

また、海外ビジネスを展開する企業はそのようなハイブリッドな視点を持つ人材を社内で育成しなくてはなりません。

新型コロナ禍後の海外ビジネスでさらに重要になるハイブリッド視点

2020年6月8日、世界銀行は、2020年の世界経済が第二次世界大戦後で最悪の景気後退になるとの予測を発表しました。

ただ物事には必ず作用と反作用があります。つまりいい方向に働く部分もあるはずです。見方を変えれば、今回のコロナ禍は、世界中の様々なものがアップデートされるタイミングです。個人的にコロナによって変わるものをコロナアップデートと呼んでいます。

外的要因によりアップデートを繰り返してきたのが日本であり世界もしかりです。世界銀行は2020年の世界経済の成長率をマイナス5.2%と予測しています。今回の新型コロナウイルス感染拡大を受けて、世界各国は様々な対策を講じていますが、各国それぞれの「出口戦略」は全く異なります。このような状況でこそ、日本と世界の双方を、ハイブリッドな視点で捉えることが重要だと思うのです。

世界で勝つには、あるいは日本にイノベーションを起こすのは、英語やMBAといったツールや思考の枠組みだけではありません。何よりもハイブリッドな視点を持つことが肝要なのです。

そして、ハイブリッド視点のその先には日本人としてのアイデンティティーの模索、そして日本愛が芽生えるはずです。外からの視点を持つことで初めて「日本」というものを考えるようになるからです。

ハイブリッドな日本人を量産するということは、すなわちどれだけ日本のことを考えられる日本人を量産するかということに繋がります。

一人でも一社でも多くの日本人・日本企業にハイブリッドになっていただく。そこには「海外進出=外貨獲得以」上の意味があります。そう信じ、我々は今後もその一助となる事業を手がけていきたいと思います

このコラムの著者

兒嶋 裕貴

兒嶋 裕貴

(株式会社Resorz)

海外ビジネス支援プラットフォーム「Digima〜出島〜」主宰者

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