その他 2012年06月11日
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アメリカ特許制度における先願主義移行への対応
2011年9月16日にオバマ大統領が米国改正特許法(Leahy-Smith AmericaInvents Act)に署名しました。
その改正法の一部はすでに施行されていますが、最も注目されている改正の1つである先願主義への移行に関する部分は来年の3月に施行されることとなっており、現在はまだ施行されていません。
これまでいろいろと批判を受けてきた先発明主義ですが、同じ出願をするのなら改正後の先願主義の下で出願すべきでしょうか?
答えは「必ずしもそうではありません」。
詳しくは後日お話しようと思っておりますが、改正前と改正後とを比べると、出願に対して引用され得る先行技術文献の範囲が異なっており、改正後の方が引用され得る先行技術文献の範囲が広くなっています。したがって、ケースによっては、改正法の施行前に出願すれば拒絶されないのに、改正後の施行後に出願したら拒絶されるというようなことも考えられます。
また、先発明主義の下では「発明した日」の立証により拒絶を回避することができる場合がありましたが、改正後は発明日を立証しても意味がないということになります。したがって、例えば出願は少し遅れてしまって他人に先を越されてしまったが、ラボノートをしっかりつけていて発明日を立証できるようなケースの場合、改正前では発明日の立証により特許化の可能性がありましたが、改正後は、他人に先に出願されてしまうともう特許を取ることができなくなってしまいます。
このように、改正後の方が不利な点があるので、米国での特許取得をより完全なものとしようとするのあれば、改正法の特徴を十分に理解し、すでに動き出しておかなければなりません。
改正法が適用されるのは、2013年3月16日以降に出願されたアメリカ特許出願ですが、例えば2013年3月16日よりも前に出願された日本出願を基礎とする優先権を主張してアメリカに出願する場合は、2013年3月16日以降であっても現行法が適用されます。したがって、2013年3月16日までに日本出願さえしておけば、まずは現行法のメリットを受けられ得るということになります。
以上のように、重要な技術については、なるべく来年の3月16日までに米国出願をするか、少なくとも日本出願をしておくことをお勧めいたします。
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