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海外ビジネス コラム

その他 2012年09月20日

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言葉がわかれば文化がわかる! インドネシア進出時のオススメ言語習得術

小野 耕司(インドネシアビジネスサポート)

このコラムは3ヵ月間にわたり毎週一回、合計12回の連載でお送りします。
11回目のテーマは、『インドネシア語習得の秘訣』です。

知らない外国語はとても難しいように感じるものです。
筆者はタイ語やベトナム語は全く解りませんが、これらの言葉に堪能な知り合いは『易しい』と言います。
そして筆者はインドネシア語を全く知らない人達に言います。
インドネシア語は『とても易しい』と。

その理由は、英語とドイツ語を勉強した時、そして少しだけかじった中国語、ならびにインドネシア人社員に日本語を教えた時の経験に基づいています。

もし全くの白紙状態からこれらの言語を習得しようとするならば、それらの難易度は、あくまでも筆者の独断的な評価ですが、日本語100ポイントに対して、中国語80、ドイツ語50、英語30、そしてインドネシア語は10ポイントくらいになるでしょう。

日本人にとって有り難いことは、インドネシア語の文字はアルファベットであり、発音もほぼローマ字発音で通じることです。
また、オランダが植民地統治の施策として、スマトラ島の少数部族が使っていたマレー語を、全国共通の言葉として普及させた経緯から、他の言語に較べて歴史が浅い分、単語や語彙も少なく、文法や表現が複雑に展開されていないものと思われます。
逆に言うと1,000年後のインドネシア語は非常に難しい言語になっているかもしれません。

ただ、語根と言われる基本となる単語は少ないのですが、それに付く接頭辞や接尾辞との組合せで名詞が形容詞や動詞に変化したり、自動詞と他動詞を区別したり、または能動態と受動態を区別したり出来ます。
これら接頭辞と接尾辞の使い方のルールは数ページで解説される程度のものですから、まずはそのルールを頭に叩き込むことから始めます。
多少例外的なものもありますが、それらにも緩いルールみたいなものがありますので、勉強を続けていれば後々合点が行くと思います。

接頭辞と接尾辞の使い方のルールを覚えた後はひたすら語根を覚えることです。
しかし、辞書を飲み込むような努力は味気ないですから、現地メディアのホームページなどを、辞書を片手に解読しながら、同時に最新の現地情報を得る一石二鳥の勉強法をお薦めします。
筆者は今でもこれを毎日続けています。

インドネシアのニュース記事はタイトルを語根だけで表示することが多いのですが、本文に入ると接頭辞や接尾辞が付いた単語が並びます。
辞書は語根で引かなくてはならないので、ここで事前に頭に叩き込んだルールを基に、接頭辞や接尾辞が付く前の語根を特定しなくてはなりませんが、この置き換えのコツを掴むと一つの語根を基に、複数の単語を使い分けることが可能となり、インドネシア人もびっくりの正しい表現が出来るようになります。

時々、既に数年インドネシアに滞在している人が、自分はインドネシア語を夜の世界でマスターしたと自慢している場面に出会うことがあります。
これは本人の問題ですからあれこれ言う話ではありませんが、この方々は往々にして接頭辞と接尾辞の使い方のルールを無視しているか、全く使わないで語根だけで事を済ませています。

インドネシア語の怖いところは、このような手段で身に付けたレベルでも、ある程度のコミュニケーションが取れるところにあります。
しかし、真面目な問題を話し合うとか、公式の場でスピーチをする時など、後で恥ずかしい思いをするだけです。
本流を行くか、それとも亜流で済ましてしまうかは、最初の6ヵ月間にどれだけ勉強するかによって決まると良く言われます。
6ヵ月経って最低限度の語彙で通用することに安心してしまうと、そこからさらに上を目指すことはほとんど無いようです。
実際、20年以上現地に滞在しているのに、インドネシア語と英語の単語を組み合わせて、かろうじてコミュニケーションを取っている人もいましたが、公式の場ではその人の話したインドネシア語を、さらに別のインドネシア人が通訳をすると言う、笑うに笑えない状態でした。

その国の言葉を理解すると、その国の歴史や文化がさらに解るようになる、と言うのが筆者だけでなく多くの人達の意見です。
これはインドネシア語の勉強を通じて確信したことです。
インドネシア語にはヒンズー語、中国語、ポルトガル語、オランダ語、そして英語などの、多くの外来語が混じっています。
それらの言葉を知ることで、それぞれの国が主にどんな分野で強く影響を与えたのかが解ります。

インドネシア人が頻繁に使う言葉として”Kira-kira”と言うのがあります。
これは考える”Kira”を繰り返すものですが、だいたい、と言う意味になります。
辞書で明日を引くと、”Besok”となっていますが、実際には”Besok”は明日以降の意味があり、翌日ではないのです。
何となくインドネシアの文化が伝わって来ませんか?

次回(最終回)のテーマは、12. インドネシア進出は人を育てる、です。ではまた来週お会いしましょう。

 

このコラムの著者

小野 耕司

小野 耕司

(インドネシアビジネスサポート)

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