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海外ビジネス コラム

法律・制度 2013年08月13日

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カンボジア進出時のポイント。準拠法と裁判管轄をどうするか?

藪本 雄登(RIKUYO(Cambodia)Co.,Ltd)

今回は準拠法と仲裁、裁判管轄に関する論点を、共有させて頂きます。

 

(1) 準拠法をカンボジア王国法に設定しても問題ないか?

準拠法とは、法律の解釈に疑念が生じたり、当事者間で紛争が生じた場合に、どの国の法律をもとにして契約書を解釈するかという問題です。契約書の規定がある場合には、その規定に記載された通りに解釈するというのが大原則ですが、特定の国おいては無効と判断される可能性があります。

準拠法をカンボジア王国法に設定した場合、発展途上中のカンボジア法制(判例の集積や解釈の発達などが遅れている状態)では予見可能性が低くなるというデメリットがあります。日本の当事者の場合、日本法を準拠法とすることを希望しますし、カンボジアの当事者においては、カンボジア王国法を準拠法とすることを主張すると考えられます。

カンボジア法の観点からは、会社法272条にてカンボジア王国内で事業を行う事業者は、カンボジア王国法規およびカンボジア裁判管轄に服すると規定されており、カンボジア現地法人がカンボジア法以外の準拠法を設定することは認められない可能性があります。実務上においても、取引の中心となる国の法令を準拠法とするのが一般的です。

交渉戦略の観点からは、契約書の内容には準拠法以外にも様々な内容が盛り込まれますので、必ずしも準拠法に拘泥するのではなく、準拠法をカンボジア法とする代わりに、別のところで当方に有利な条件を認めてもらうなどの交渉を行うことをお薦め致します。

 

(2) 裁判管轄をカンボジア王国で設定しても問題ないか?

裁判管轄とは、どこの国で裁判を行うかについて、あらかじめ当事者が合意しておくことです。国際取引においては、裁判管轄についての定めがあるのが通常ですが、裁判管轄をあえて定めないということもあり得ます。裁判管轄を定めていない場合に、どこの裁判所に訴えられるか予測がつかないというデメリットがあります。

裁判管轄は当事者のいずれかの国の裁判所だけでなく、第三国を管轄とすることも可能です。例えば、日本法人とカンボジア法人の売買契約で、シンガポールを管轄とするというような場合です。第三国を管轄裁判所と定める場合には、当事者双方にとってより中立的であると考えることもできますが、反対にいずれの当事者もよく知らない国で裁判を行わなければならなくなるという負担を負うことになり、当事者双方にとって好ましくないという事態も想定されます。

もっとも、外国判決の承認・執行に関しては、カンボジアでは事例が存在しておらず、他国の裁判所にて判決が出たとしても、カンボジア国内にて完全に執行に至れるかは不確定であります。

カンボジア法を分析すると、外国判決は、カンボジア民事訴訟法が定める条件を満たした場合にのみ認められる可能性があると規定されています。カンボジアで起こされた訴訟での証拠の一部として提示された場合においても、裁判所は判決の執行に関する合意をカンボジア政府との間で行っていない国の外国判決について、執行を認めない可能性が高いといわれています(日本−カンボジア間では執行に関する合意が締結されておりません。)。現在のところ、外国判決がカンボジア裁判所に持ち込まれ、執行に至った例は存在していません(2013年4月時点)。

上記の通りカンボジアは、法制度の発展の過渡期のため、執行の部分では有効な解決索を提案することは難しい場合もありますが、現地事情に詳しい信頼できる外部専門家に相談することが肝要でしょう。

 

 

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藪本 雄登

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