法律・制度 2013年10月19日
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こんなにも違う! 日本とシンガポールの会計、税制の差とは?
会計制度の違いは? シンガポールではすべての企業が監査を受けねばならない
日本では、上場会社など一部の会社を除き「過去の取引を記録」する役割の大きい税務基準によって決算を行うのが一般的です。しかし、シンガポールでは「決算日時点での時価を記録」する役割の大きい会計基準である国際財務報告基準(IFRS)に近似したシンガポール財務報告基準(SFRS)によって決算を行います。
また日本では、上場会社や大会社など一部の会社に限り監査法人などの監査を受ける義務がありますが、シンガポールにおいては原則として全ての会社が監査を受けなければなりません。
なお両国とも、株主総会において決算書の承認を行う点は同様ですが、シンガポールでは株主総会の開催期限や法人税の申告期限が日本よりも非常に遅いため、日本の親会社の連結決算や事業報告のスケジュールに合わせなければならない場合は、あらかじめ現地法人へ決算報告期限を周知させることは必要です。
税制の違いは? シンガポール税制の特徴をご紹介
日本は人材・資源・土地が豊富にあり、隣国と陸でつながっていない隔離された経済大国といえますが、シンガポールはそうではなく、日本とシンガポールの課税制度の違いは、こうした環境の違いに起因することが大きいと考えられます。
つまり、日本は「納税余力のある豊かな会社・個人から税収を得て富を再分配する税制」であり、シンガポールは「外国から人・物・金・情報を集めるための税制」といえるでしょう。
また、上記の理由から、シンガポールは魅力的な税制とするために総じて課税負担を軽くしていますが、国土の狭さに起因する諸問題の対策方法として重税を併用する国でもあります。以下、ごく一部ですがシンガポールの税制における特徴をご紹介します。
・法人税率
世界でも有数の低税率となる17%を採用していますが、さらに課税を軽減させる部分免税制度(30万Sドルまでの課税所得に対する法人税率が大きく軽減される制度)を含む多くの税務優遇措置により、実効税率が10%を切る会社も多くあります。
・交際費
基本的に、交際費としての支出が会社の事業になんらかの形で寄与することが認められる場合(例:得意先への接待により会社の売上に寄与する)は損金算入が認められ、日本のような(大企業に対する)厳しい交際費損金算入制限はありません。
・配当に関する税制
配当を支払う際の源泉税、配当を受ける際の法人税は課税されません(外国から受ける配当については一定の条件あり)。
・キャピタルゲイン課税
株式や不動産の譲渡などによってキャピタルゲインが発生した場合でも、その売却益が主たる事業(トレーディング事業など)と認められるなどの一定の場合を除き課税されません。
・インセンティブ
上述の部分免税をはじめ、パイオニア事業の一定期間免税、貿易会社、統括事業、金融セクターなどの軽減税率、PICスキームと呼ばれる生産効率を向上させる活動に対する幅広い税務優遇措置などがあり、支出額の400%の損金算入が認められるなど、日本では実施されていないような優遇税制も多くあります。基本的に優遇措置は監督官庁の承認が必要ですが、それぞれの優遇措置に応じて管轄官庁が異なるため、注意が必要です。
・消費税(GST)
現行のシンガポールにおけるGSTの税率は7%です。日本の消費税のように取引ごとに課税対象となるか否かが判断されるだけではなく、申告・納税義務のあるGST登録会社(一定の売上規模になると登録義務がある)のみがGSTを請求することができ、支払者はGST登録業者へのGST支払額をもって仕入税額控除を行います。また、仕入税額控除のためには、インボイスに一定の情報を記載しなければならず、記載された金額に基づきGST計算を行うというインボイス方式を採用しています(日本は帳簿上で消費税の計算を行うアカウント方式)。
・不動産に関する税制
不動産譲渡契約のみならず、外国人の不動産購入に関して追加で課される印紙税や、取得から売却までの期間に応じて最高で16%の印紙税が課されたり(1年以内に転売する場合)、固定資産税についても所有者が居住する物件とそうでない物件の税率が異なったりするなど、投資目的による不動産の高騰化への対処として重い課税負担となっています。
・自動車に関する税制
シンガポールでは、排気量によりますが、日本円で500万円以上の対価によって自動車の所有権を購入(入札制)しなければならず、さらに車両本体価格以上の追加登録料の支払いをしなければならないため、総支払額が車両本体価格の4~5倍となることも珍しくありません。
・個人所得税
給与所得については、20%を最高税率とする累進課税制度となっており、最高税率では課税所得の半分の所得税が課される日本の所得税と比べると、非常に低い税率といえます。給与所得が400万円の者は60万円以上、給与所得が1,000万円の者は200万円以上の所得税の差となる計算になります。
・相続税
日本や米国のように相続税を課す国は現在少数で、シンガポールにおいても相続税は課税されません。
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