法律・制度 2014年01月04日
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アメリカ進出成功のための特許法講座 先に公表した者が特許を取得できる?!
これまでの説明から、改正法102条(a)及び(b)は、先願主義というよりも先公表先願主義とでも言うべき制度を導入したとが言えるかもしれません。
例えば、下図に示すように、発明者Aが自己の発明イについて刊行物Dに発表した後、1年以内にその発明イについて出願Xをし、また、発明者Aとは別に独自に発明イをした発明者Bが、発明者Aの刊行物Dへの発表後であって出願Xの出願日前に発明イについて出願Yをした場合を想定してみます。
発明者Bの出願Yについて考えてみると、発明者Aによる刊行物Dへの発表は、上述したグレースピリオドのいずれの形態にも該当しません。したがって、発明者Bによりなされた出願Yは、出願Xよりも前に出願されているにもかかわらず、発明者Aによる刊行物Dへの発表を理由に102条(a)(1)の規定により新規性が否定されます。
一方、発明者Aの出願Xについて考えてみると、発明者Aによる刊行物Dへの発表は、出願Xの発明者である発明者Aによりなされたものであるため、グレースピリオド発明者発表例外に該当し、102条(a)(1)における先行技術とはなりません。また、出願Yに開示された発明イは、出願Yの出願前に出願Xの発明者である発明者Aが刊行物Dに発表した発明イと同一であるため、発明者・発明者由来の先行公表例外(102条(b) (2)(B))に該当し、102条(a)(2)における先行技術となりません。したがって、発明者Aによりなされた出願Xは、発明者A自身による刊行物Dへの発表や先行する発明者Bの出願Yの存在を理由に新規性を否定されることはなく、他に拒絶理由がなければ特許され得ます。
以上のことから、米国の先願主義は、先に出願をした者に特許を与える先願主義というよりは、先に公表ないし出願をした者に特許を与える先公表先願主義を規定したものと言えるでしょう。
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