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海外ビジネス コラム

法律・制度 2015年02月24日

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マレーシア現地銀行で法人口座を開設する際の落とし穴

鵜子 幸久(桜リクルート社(マレーシア))

これまでの会社設立プロセスが難しくなった!?

 
過去からのコラムで書いてきましたが、マレーシアで法人を設立した発起人たる日本人オーナー(または駐在員)が自らの就労ビザを取得する際には、通常① → ⑤のプロセスを順番にふんでいきます。

① 法人設立
② 現地銀行口座開設
③ 資本金払込み・増資
④ 事業所の市役所ビジネスライセンス取得
⑤ 日本人の就労ビザ申請・取得

開業セットアップをお手伝いする立場として、従来は特に問題なくこのプロセスが進行できました。しかし昨年あたりから日本資本100%の法人が、現地のローカルバンクで当座預金口座を開設することが急に難しくなり、混乱を招いていますので今回はその現状と対応策について書きたいと思います。

現状と対策について

マレーシアには有力なローカルバンクがいくつかあります。代表的な銀行はMaybank、CIMB、PUBLIC bank、RHB bankなどで、これらの銀行はマレーシア全土のあちこちに支店があるので、開業して事務所を構えることになる場所のすぐ近くの銀行を選び、法人口座を開くというのが通常の方法でした。上記のプロセスで説明したように、日本人オーナーまたは駐在員が最終的に就労ビザを申請するためには、まずその法人口座に最低50万リンギ(およそ1700万円)の払込資本金を払い込み、その入金証明が出た段階でビザ申請ができるという決まりになっています。ところが、昨年よりバンクネガラ(中央銀行)の指導により、発起人がマレーシア人またはすでに就労ビザを有している外国人の法人でないと、原則法人口座の開設ができないというおかしな事態になりました。

要するに、マレーシアで起業する日本人が就労ビザ申請をするために銀行口座を開設し資本金を払い込まないといけないのにもかかわらず、銀行のほうの規定では就労ビザ保持者の発起人でないと口座を開設できないというなんとも矛盾した堂々巡りの状況になっているのです。ある意味、マレーシア進出を推進するMIDA(投資庁)とローカル銀行を指導するバンクネガラ(中央銀行)の方針がかみ合っていないということで、当社に相談に来られたお客様もこの事態が故に進出を断念されたケースが出てきました。

この事態を回避するには以下の2つの方法があります。

a) 最初の発起人をマレーシア人または就労ビザを保持する外国人のノミニー(代理人)とし、銀行口座開設 → 増資 → 本来のオーナーのビザ取得までの臨時取締役となってもらう

b) 現在ビザ保持既定の無い日本のメガバンク(東京三菱UFJ、みずほ、三井住友)のKL支店で口座を開設する

ただし、a)については代理指名期間中はそのノミニー(代理人)に銀行のサイン権を与えてしまうことになるため、それが乗っ取りや着服などの大きなリスクとなる場合があります。b)については、もともと日本の本社サイドでこれらのメガバンクと取引実績がないとその銀行のKL支店では開設してくれないというガイドラインもあるようで、色々な交渉が必要になったりするので、いずれにしても簡単ではなくなりました。後ろ盾のない個人小規模オーナーの起業にとってはハードルになってしまっていることは確かですので、事前に起業を依頼するコンサルタントへの十分な確認が必要です。

このコラムの著者

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鵜子 幸久

(桜リクルート社(マレーシア))

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