海外ビジネス コラム

法律・制度 2016年03月08日

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マレーシアにおける「ちぐはぐ」な労働関連法規の変更

鵜子 幸久(桜リクルート社(マレーシア))

迷走するマレーシアの政策

ここ最近のマレーシアでは、最低給与や外国人労働者受け入れに関して、政府が現状認識をよく行わないまま、思い付きのようなな政策変更を突如発表し、経済界からはその都度大反対が起こるという事態が繰り返されています。

まず、ナジブ・ラザク首相は本年2016年度の財政補正予算の発表時に、今年7月1日付けで最低賃金をマレーシア半島部で1,000リンギ(約28000円)、サバ・サラワク州で920リンギ(約25800円)に引き上げるとしました。それに対して、マレーシア経営者連盟(MEF)は猛反発。現在マレーシアは原油安やリンギ安の打撃を受けており、最低賃金を引き上げるのに良いタイミングではないとしています。昨年9月の時点で、多くの大企業が35-40%の減益を報告しており、昨年だけで2万6,000人の人員が削減されたという事実のほか、ビジネスコストは増加しており、投資や新規雇用の創出にも影響が出ているため、この最低賃金引き上げを見直すべきだと強く主張しているのです。

労働行政と経済対策がリンクしていないがゆえの問題

それとは別にハミディ副首相は、マレーシアへのすべての外国人労働者の募集を一時的に凍結する事を突然発表しました。マレーシアの現在の労働力は、全体労働者1530万人で25%が外国人労働者。210万人の外国人労働者の他、170万人もの不法労働者がいると推定されており、ほとんどの労働者がバングラデシュ、インドネシア、ミャンマー、インドからの者たちで、サバ州ではそれらのほとんどがフィリピン人となっています。政府は景気減退の中、あくまで「一時的な措置」としていますが、現実的な問題として、月額報酬1000リンギ前後の低賃金で、農業や建設業、サービス業などで就労しているのは彼ら外国人であり、同じ職種でマレーシア人を募集したとしてもほとんど応募するものはいないという事実から、ビジネス・産業界からは大きな反発が起きており、その損失は数十億ドルにのぼる可能性もあるといいます。

このように、労働行政と経済対策がきちんとリンクしていないがゆえに、ちぐはぐな法令や政策変更を思いつくままに発表してきている政府は、もっと国内の実態の声を吸い上げ本来の問題を解決するかじ取りをしていかないといけないと強く感じます。

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