海外ビジネス コラム

法律・制度 2017年10月20日

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韓国M&A(買収合併)市場のトレンド、「陳述保証保険」とは?

崔 賢允(Choice Research & Consulting (Choice Law Office))

韓国M&A(買収合併)市場で陳述保証保険が人気を得ており、年間10件ずつ陳述保証保険が締結されている。英国、オーストラリアなどでは一般的となっている陳述保証保険が韓国で本格的に活用され始めたのは、2012年AIGコリアが関連商品を当局に登録してからだ。今では現代海上火災も外国保険会社が運用する陳述保証保険を国内企業に提供している。ほとんどの加入者が買主であり、売主の負担を軽減し契約を早急に締結する目的での加入が多数であった。

「陳述保証保険 (Representations and warranties insurance)」とは、当事者が取引当時の時点で「お互いが知らない危険」(Unknown Risk)を処理する金融商品である。保険会社など第3者が売主、買主の間での契約を締結後、発生する可能性のある不確実性を減らすという概念で考案された。

通常、売主は企業を売る際、契約書で企業の現在の状態を保証することになる。例えば「売り対象企業の現在の債務は100億ウォン以上はないことを保証する」などの条項を入れるということである。陳述保証保険は、このような保障が事実ではないことが確認された場合、加入者に保険金を支給しこの損害を補填してくれる仕組みだ。

もし、売り先企業の株式価値が1000億ウォンであれば、保険で担保されている金額は、約10%である100億ウォン程度だ。保険料は、保険で担保されている部分(売買代金の10%)の約2%であり、約2億ウォンが実際の保険加入者が支払わなければならない保険料である。

つまり2億ウォンほどの保険料を出せば、今後発生する損害を100億ウォンまで防ぐことができることを意味する。もちろん保険会社も別途対応取引の調査を進め、この過程で法律事務所が法的リスクを検討する作業を行う。過去には、保証条項が事実と異なるという理由で買主からの損害賠償請求が発生する場合に備えて、一定の期間売り代金の一部を留保していた。

損害賠償の過程で意見の相違が生じた場合には訴訟のように長期に亘り痛みを伴うプロセスを経なければならなかった。しかし、保険に加入している場合、売主は売買契約を締結し企業など物件の所有権を引き渡し後、お金を受け取り取引終了となる。また、買い手の立場でも保険会社を通じ、後日発生する可能性のある損害に対して補填を受けることができるようになり、より安全なM&Aが可能となった。

陳述保証保険は、契約後の時点で発生する可能性のある不確実性を大幅に低減し、売主買主双方が早々に契約を締結するようにしてくれるだけでなく、訴訟の負担を軽減ことができるという点でも利用率が高い。

しかしながら、保険契約は締結後に発生するすべてのリスクを防いでくれるわけではないということに注意が必要だ。陳述保証保険は基本的に「未知のリスク」飲みに対し備えることができ、契約と関連したすべての不確実性が保険でカバーされるわけではないので、別の対策を講じる必要がある。

例えば土壌汚染環境の修復費用などの偶発債務の発生が懸念されている会社を買収したときに「土壌汚染」という不確実性は、保険の支払い例外事由とみなされる事例を想定することができる。この場合、別の環境保険に加入したり、今後の復旧費用が発生する可能性を考慮し、売買価格を当事者間で調整するなどの方法で解決しなければならない。

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