海外ビジネス コラム

法律・制度 2017年10月20日

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オーストラリアの医療大麻ビジネスについて

永井 政光(NM AUSTRALIA PTY LTD)

日本では大麻や覚せい剤などの薬物の単語が出ただけで、アレルギー反応のようにマスコミなどが一斉に騒ぎ立てます。覚せい剤等といった依存性の高い薬物は当然かもしれませんが、大麻に関しては日本国内の過剰反応と言えるかもしれません。

世界に目を向けると、例えばオランダではより中毒性や常用性が高い依存薬物に走られるのを防ぐ予防策として、大麻等の小中程度の依存性薬物を合法と定めている国もあります。オランダの首都アムステルダムの街中を歩けば、大麻マークの付いているバーなどがあり、そこでは合法的に薬物の取引が行われております。

オランダほどの飛躍的な薬物合法な国は世界を見渡しても稀有と言えますが、医療分野に限り薬物が合法と判断されている国は意外と多く、オーストラリアも昨年11月に、正式に医療分野に限り大麻が全面合法化されました。それまで、医療大麻はがん患者が痛みを抑える他に、治療の副作用としてもたらされる重度の癲癇(てんかん)症状や、吐き気などを抑える目的で使用されていました。今回の法案成立後は、これらの特殊な事情を抱える患者だけではなく、その他の患者も対象となり、医療大麻を手に入れられるようになりました。

こうした動きには、日本とオーストラリアを含む欧米諸国の痛みに対する治療法及び考え方の相違が根底にあると考えております。日本の場合には痛みを抑えるのも重要ですが、その後の体の状態も考慮し、痛みと体へのダメージのバランスを取る治療法をまず選択しますが、欧米諸国では痛みを取り除く治療に重きを置いています。

私の実体験ですが、同じ病名で日本とオーストラリアの両方で治療を受けました。日本の場合には少々時間は掛かりますが、まずは点滴等で徐々に痛みを抑えていく方法が取られました。痛みはしばらく続きましたが、治療後は特に体に問題はなく、そのまま歩いて帰宅できました。オーストラリアでは「こんな治療を行います」「副作用はこのように出る場合があります」と明記されている書類にサインをさせられ、痛みを取るためにいきなりモルヒネを打たれました。10秒後にはストンと腰が落ちる感覚があり、一瞬で痛みが消えました。痛みは消えましたが、ここからが大変で、ちょっとした揺れで嘔吐やめまいが発生し、車いすでの移動中に嘔吐し、タクシーで帰宅した際にも、到着と同時に嘔吐。その後2,3日は嘔吐とめまいに苦しめられました。

この様な治療を受けたのは私だけではなく、知人の赤ん坊が手にやけどを負った際、痛みで泣きじゃくっている赤ん坊を静める為に、やはりモルヒネを使用されました。確かに痛みが抑えられ、赤ん坊はぴたりと泣き止みました。ただ赤ん坊用のモルヒネとは言え、劇薬に違いないのでその赤ん坊も私同様、2,3日ぼーとして目の焦点が合わなかったようです。

痛みを取る目的とはいえ、劇薬を治療に用いるリスクはオーストラリアの医療界でも討論の対象とされており、それらの人工的に生み出される薬物に比べて自然界にある植物を元とする大麻の方が人体への影響が少ない、という考えも医療大麻を推進されている理由の一つだと言えます。

オーストラリアにおける医療大麻の問題点

医療大麻は合法と政府は判断しましたが、様々な問題がまだ解決していません。医療大麻が人体に与える影響を疑問視している医療関係者も数多くいるのが現状です。その他にも(これがオーストラリアでは一番の問題だと言えますが)実際に今後どの様に医療大麻を運営、管理していくのかが決まっていない部分があり、医療大麻合法化が見切り発車だった感が否めない所もあります。

医療大麻と言え、成分はオーストラリアの一般社会では使用が認められていない大麻と同じですから、非合法な使用目的で手に入れようと考える人間は残念ながら必ず存在します。医療大麻を本当に必要としている患者にきちんと使われているのか、それを把握する全豪統一管理システムは、今の所脆弱な状態です。

末端の患者だけではなく、その大元の栽培、生産業者に関しても、政府は様々な規制を設けて、審査を行っていますが、世界共通の速達書留であるEMSさえもまともに届けられないお国柄なのに、滞りなく管理が出来るのかの疑問点も多々あります。

日本人的な観点からは、医療大麻とビジネスを結び付けるイメージは中々持てませんが、世界では医療大麻解禁を絶好のビジネスチャンスと考える人たちも存在します。次回は医療大麻とビジネスの観点から書き進めていきます。

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永井 政光

(NM AUSTRALIA PTY LTD)

<オーストラリアビジネスの専門家

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