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生活・文化 2014年01月07日

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タイ、インドネシア、ベトナム、インドを、生活者と消費の目線から見る(2)

山崎 督(株式会社朝日広告社)

“異なる” を認識する realize the difference

本コラムは、アジアエリアの中でも注目度の高い四カ国―タイ、インドネシア、ベトナム、インド―を対象に、マーケティングの視点から重要と思われるポイントを抽出しています。

今回は、四カ国を比較していきますが、その際に重要な点は「それぞれは全く異なる」という事を常に意識する事でしょう。国ごとに都市別や年齢別、性別、宗教別、社会階層別など多様な比較要素が存在し、要素ごとに比較した結果が実に大きく異なります。それ故、比較要素はマーケティング上、非常に重要になります。また比較する軸を設定する事も難しく、それがマーケティングの難易度を高めている要因でもあります。

また、「日本とも全く異なる」という事を強く意識する事も重要です。日本製品をそのまま海外に持ち込んで、見事に失敗をした、という話は語り尽くされている程多くあります。日本の常識は一旦リセットする位の気持ちで市場を見ないと「違いに気づかない」という最悪の事態を招きかねません。現地生活者のニーズを知り、どの製品特性やサービスを適合させるか(適合できるか)を現地目線で判断する事が非常に重要になるでしょう。
それではいくつかの例を見ましょう。特に違いが大きく確認できる事例をいくつかご案内します。

まずは四カ国間(インド、タイ、インドネシア、ベトナム)のライフスタイルの違いを食生活から見てみましょう。

ホーチミンの朝は外食で始まる

タイ、インドネシア、ベトナム、インドの朝食の習慣をデータで見ると、ベトナムに大きな特徴があることがわかります。 ベトナムでは約半数(49.5%)が朝食を外で食べています。タイも52.1%と高いのですが、タイは全般的に外食の傾向が強く昼食、夕食ともに50%を超えています。一方、ベトナムは昼食、夕食は10%前後であるのに対し、朝食のみ突出して高い数字となっています。

社会階層別(SEC, 後述)で見ても違いは少ないのですが、年齢別で見ると30代が56%、40代で55%と比率が高まります。
ベトナムの朝食の習慣は長年培われたもので、短絡的に要因を指摘する事は簡単ではありません。要因の一部は朝の活動開始時間がベトナム社会全体で早く、調理している余裕がない事が上げられます。参考までに、ベトナムで「朝食を食べない」を見ると、いずれの年齢層でも5%未満です。
※ 当調査はホーチミンのみで実施しましたので、ハノイ等の他エリアについての調査分析は行っておりせん。

他国を見るとインドネシア、インドでは90%以上が「朝食は自宅で作って食べる」と答えており、各国間で大きく異なる傾向があることを認識できます。

朝食一つとっても国ごとにこれだけの「異なる」ポイントがある訳ですから、マーケティング戦略上は国別に検討する事が必要条件となります。例えばASEAN市場を一つに取りまとめてマーケティング戦略を練る、と言った様なことは極めて高いリスクを負う事になるでしょう。あくまで国別に、そして国のエリア別に市場インサイトを把握することが基本となります。

現地目線でインサイトを探るinsight from the local point of view

では、ベトナムでは実際にどのような場所で朝食を食べているのかを簡単にご紹介しましょう。ここではホーチミンの様子を写真でご案内します。

ホーチミンには写真左下にあるように、通りの至る所に簡単な食堂があります。常設の店もありますが、多くは朝食や昼食時に店を開くスタイルです。写真左下は、まさに朝の時間にお店を出す準備をしている様子です。またベトナムと言えば日本でもフォーが有名ですが、現地では朝食として多く食されています。写真下右は老舗のフォー専門店の店内の様子です。撮影したのは平日の朝8時台で、ほぼ満席です。ベトナムでは相当数がこのようなスタイルで朝食を食べているのです。

もし、朝食に関連する商材でベトナムでの展開を検討するのであれば、マーケティング戦略上、このライフスタイルは十分に留意する必要があります。

ベトナムの朝食の習慣の一例以外でも、他国でのマーケティング戦略を検討する際には「異なる」と認識された事象について一歩踏み込んで検証する事が重要です。新興国では多様な文化や製品、サービスが流入してきており、まさに変化の渦中にあります。今までの習慣から別のものへ変える事ができる柔軟度があるかどうかで、新たな市場を創造したり、もしくは代替品(またはサービス)として従来の市場から顧客を取り込むことも十分に可能であるからです。

しかしながら柔軟度や受容度を判断する事は容易ではなく、長年の文化や習慣、宗教上の理由が存在する場合は、生活者も変化への柔軟度は低くなるでしょう。

「異なる」現象を認識した場合、それが機会となるかどうかの判断は、市場や生活者のインサイトの抽出が必要であり、この作業には現地の生活を熟知している事が必須と言えるでしょう。

次回のテーマは「社会階層別に見る」です。次回またお会いできるのを楽しみにしております。

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山崎 督

(株式会社朝日広告社)

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