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海外ビジネス コラム

生活・文化 2016年07月28日

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海外ビジネス成功のカギは人材! ただし、語学力向上 = 国際人育成ではない?

永井 政光(NM AUSTRALIA PTY LTD)

近年の急激な国際化に伴い、日本でも国際人育成、語学力の向上、特に英会話力の重要性がクローズアップされています。またオーストラリアでビジネスを成功させる条件は何ですか? と聞かれる事が多々あります。実はこの2つは密接に関係しておりまして、コラムのテーマとして取り上げてみたいと思います。

オーストラリアに限らず海外では、日本では通常あり得ない出来事や、商法、文化などの壁が、我々日本人の前に立ちふさがります。その問題の一つに語学があります。日本でも国際化を進めるという名目の元に、小学校から英語教育がスタートするなど、国際公用語である英語教育に力が注がれています。 

さて、世界で一番使用されている言語は中国語ですが、その使用されている範囲や共通性を考えると、国際的な公用語は間違いなく英語になります。近年インターネットは我々の世界では切っても切れないツールになっていますが、あるリサーチ会社が行った調査の結果、インターネット上で最も使用されている言語は、ダントツで英語という結果が出ました。 

オーストラリアは多くの国から集まってきた移民で成り立っている国です。日本人である私も含め、移民たちは各々の文化や言語を持っていますが、公の場での公用語は、やはり英語を使用しています。またオーストラリア以外の英語が母国語ではない国でも、英語が話せれば何とかなる場合が多々あります。

ひとえに英語と言っても、地域や国によって大きく個性がある

国際社会に乗り遅れてはなるまいと、日本でも入学試験はもちろん、入社試験や昇給などの際に、TOEICなどの英語検定試験で一定以上の点数を取ることを義務付けようとする動きがあるようです。しかし、TOEICで英語を勉強して高得点を出すのはもちろん素晴らしいことではありますが、本来の目的であるビジネスを成功させるのではなく、TOEICなどで高得点を獲得することに目的がすり替わり、盲目的に英語を勉強する傾向を感じる時があります。

一言で英語と言っても、地域や国によっては同じ言語とは思えないくらい、言い回しや発音に違いが出ます。私たち日本人が日本で教育を受けている英語は、いわゆるアメリカ英語であって、英語の発祥地であるイギリスで話されているクイーンイングリッシュとは、同じ英語であっても、表現や単語が異なります。

例えば、米語で建物の1階を指す場合には、日本と同様に1階表記ですが、オーストラリアを含むイギリス圏ではグランドフロアー表記になり、2階が1階表記になります。

またエレベーターも、イギリス圏ではリフトと名前が変わります。その他にも、もう日本でもごく一般的に使われている、食べ物を持ち帰る意味の 「テイク・アウト」 は、オーストラリアでは別の意味になりますので注意が必要です。ちなみにオーストラリアの飲食店で食べ物を持ち帰る時には、「テイク・アウェイ」 という言い方になります。昔 『マッド・マックス』 というオーストラリアの映画が大ヒットしましたが、当時のオーストラリア英語(オージー・イングリッシュ) は訛りがひどく、アメリカで上映した際には、英語の映画にも関わらず、英語の字幕がついた逸話が残っているほどです。

同じ西洋文化の国で、英語が母国語の国であったとしても、ここまで異なります。これが、英語が母国語ではない国などになれば、同じ英語とは思えないくらいの違いが出てきます。インド、シンガポール、香港などは、もともとはイギリスの植民地でしたので、彼らが話す母国語の他にも、英語が公用語として日常的に使われていますが、独自のアクの強いアクセントがあり、慣れるまでは彼らが何語を話しているかわからない。そんなこともままあります。
 

現地での洗礼!

 
以前に知り合った方から、こんなエピソードを耳にしました。某企業のサラリーマンで、オーストラリアだけではなく世界各国に駐在員として滞在した経験者でした。オーストラリアはちょうど3ヶ国目の国で、この国の英語はオージーイングリッシュと言われていますが、そこまで訛りもきつくなく、助かったと言われていたのが印象的でした。

この方は、その前に経済発展が目覚しいインドに駐在されていましたが、インド人はオーストラリア人以上にアクセントに特徴があり、性格の押しの強さにも四苦八苦されたようです。そんな中、別の人間が、日本本国から追加の駐在員として彼の元に派遣されてきました。その方は日本でも超一流大学を卒業し、頭脳も明晰で、会社からも幹部候補生として将来を期待された人材でした。彼は会社からの期待に応えるべく、赴任前に英語を猛特訓し、最終的にはTOEICで900点オーバーの点数を叩き出すまでになっていました。

そんな優秀な人材でしたが、結論から言えば、意気揚々とインドに乗り込んできたものの、任期期間を待たずに、半ノイローゼの状態で日本に帰国する羽目になってしまったのです。

その大きな理由は、コミュニケーション不足からくるストレスでした。「TOEICで満点近い点数を出したから、英語に関しては問題ない」――この考えは赴任初日で吹き飛んでしまいました。まず、彼らの話していることが理解できない。続いて自分の話している英語も相手に理解してもらえない。自信があっただけに、得意分野が通用せず、そのショックはかなり大きかったようです。

ひとくくりに英語とまとめても、これだけ異なります。また世界共通の公用語だとは言え、ヨーロッパ国々では英語が通じない所も少なくありません。英語はビジネス成功の一つの武器になると言えますが、必要不可欠、ないとどうにもならない物ではありません。極端な話、英語ができなければ通訳を付ければ物事は解決出来ますから。次回は国際人育成に付いて、より深く掘り下げて行きます。

このコラムの著者

永井 政光

永井 政光

(NM AUSTRALIA PTY LTD)

<オーストラリアビジネスの専門家

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