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生活・文化 2017年01月26日

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存在を認められない民族「ロヒンギャ」へのマレーシア政府の対応

鵜子 幸久(桜リクルート社(マレーシア))

ここ最近、マレーシアでは、ミャンマー西部に暮らすイスラム教徒「ロヒンギャ族」の迫害に関するニュースがよく見られます。

ロヒンギャとは、ミャンマー西部のラカイン州に住むイスラム系少数民族のことです。ラカイン州はナフ河をはさんで隣国バングラデシュと国境を接していますが、そのラカイン州にはマジョリティの仏教徒であるアラカン族も居住しており、過去より民族紛争が絶えたことのない地でもあります。

しかしながら、当のミャンマー政府は昔からイスラム教徒であるロヒンギャたちを自国の「国民」とは認めず、バングラデシュからの「不法移民」であるとの認識を貫きつづけています。迫害された彼らは20万人規模の難民となり、過去より隣国に流出してきましたが、昨今はバングラデシュ側も難民キャンプでの受け入れを拒否し始め、国境の警備が厳重になり陸路の移動が不可能になったため、ボートで海に乗り出しタイやマレーシアへの密航を図る者たちが大量に現れています。

マレーシアの立場では、当初は彼ら難民の受け入れを固く拒否していましたが、同じイスラムの同朋であることや、あまりの非人道的な弾圧状況を鑑みて受け入れを開始し、現在ではマレーシアに居住する国連難民高等弁務官事務所が認定したロヒンギャ難民は約5万6000人にのぼっています。さらにこの1月には、複数のイスラム諸国で構成されるイスラム協力機構(OIC)がクアラルンプールで臨時外相級会議を開き、イスラム教徒のロヒンギャの弾圧問題について協議し、ミャンマー政府に対し、ロヒンギャに市民権を与えるなどの抜本的な解決策を求めるに至っています。

またマレーシアのナジブ首相はまた、ラカイン州のロヒンギャ社会に対する人道支援を実施すると表明、マレーシア政府は1000万リンギ(約2億5000万円)を拠出する旨も明らかにもしています。

対して、当のミャンマーにおいては、民主化運動指導者であるアウン・サン・スー・チー氏の発言・関与がないことや解決に向けてのアクションが見られないことに、国際社会・人道支援団体からは強い不満も出ており、ナジブ首相がミャンマー政府の無策を非難する声明を出したところ、ミャンマー側からはミャンマー人単純労働者へのマレーシアへの送り出し停止という報復措置が発表され、現在両国間の関係まで微妙になりつつあります。少数民族の弾圧や迫害問題は過去から世界中の至る所で起こっていますが、とりわけこの「ロヒンギャ問題」は非人道度合いが突出しているにも関わらず、主権を持つ国家が「無視」しているという点で深刻度が高く、ミャンマー政府が解決に向け腰を上げるのを期待するばかりです。

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