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生活・文化 2017年04月24日

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オーストラリアのビザが厳格化へ

永井 政光(NM AUSTRALIA PTY LTD)

4月18日、20日にオーストラリアの現首相であるターンブル首相は、これからオーストラリアへ就労希望者及び移民希望者に対して衝撃的な発表を行いました。まず18日の発表では、今後就労ビザ(サブクラス457)を廃止し、更に取得条件を厳しくした2つのビザの設定すること、また就労ビザ申請の際、対象となる職業リストを650から450まで削減することを明らかにしました。これにより今後オーストラリア国内ので外国人労働者の激減、希望者への大きな壁となる事が予想されます。

オーストラリア国内で就労にあたり有効なビザを保持していない外国人は、まずスポンサーになる企業を見つけ、その後就労ビザを取得するケースが大半です。就労ビザの概念ですが、オーストラリア国内では見つけづらい特殊技能能力保持者に対して発給されるビザになります。政府統計によれば現在オーストラリアでは就労ビザで働く外国人労働者は9万5758人で、これらの外国人労働者への就労ビザ発給は取得条件等が安易過ぎる意見や、彼らの存在がオーストラリア国民の職を奪っているとの世論も背景にあり、今回の発表、ルール改正に踏み込んだと考えられます。

さらにターンブル首相は20日の発表で、市民権取得条件の厳格化を述べました。我々日本人には市民権と言われても、ピンとこない人も多いと思いますが、一言で説明するならば、国籍取得になります。日本政府は2重国籍を認めておらず、海外で生まれその国の国籍保持者であったとしても、21歳までにどちらかの国籍を選ばなくてはなりません。ただ世界の多くの国々では2重国籍どころか、3重、4重でも問題ない国も多く、大抵の移民者は永住権取得後すぐに、オーストラリアの国籍申請を行っています。申請条件ですが、18歳以上で60歳以下で、永住権保持者。オーストラリアから海外に出国していた期間が過去4年のうち12ヶ月未満。申請する時点で過去12か月以内に90日以上をオーストラリア国外に滞在していないなどになります。その条件を満たしたうえで、担当官との面接、オーストラリアの常識問題のテストを受け、セレモニーに参加する事によって晴れて市民権を取得が可能になります。まだ正式に議会の承認を受けておらず具体的にどの様な変更があるのかは、現段階では発表がなされてませんが、ターンブル首相は諸条件として、英語力の条件引き上げ、読み書きなどの導入。またオーストラリアへの献身の意識や、信仰の自由、性の平等などに対する考えも試され、地元クラブに参加している、就業している、子供が学校に通学し、オーストラリア社会へ溶け込んでいることの証明を求められます。市民権申請者は3回連続して試験に落ちると以後2年間は申請不可能となります。

世界的な保護政策の影響を受けて

オーストラリア国内のドメスティックな背景もビザ法改正の理由ではありますが、もっとグローバルスタンダード的な観点から見ますと、世界は他国との調和よりもまずは自国主義。移民政策ではなく保護政策を選択しているトレンドがあると言えます。有名な所ではアメリカは先の大統領選で保護政策を強く打ち出しているトランプ氏を選択し、就任と同時に指定国の国籍保持者に対して、入国拒否の厳しい政策を実施しました。もう少し時計の針を戻してみますと、イギリスがEUから離脱を国民投票で決定した背景には、国内へ押し寄せる難民、生活レベルの低いEU加盟国からの人の流入などがあり、自分達の権利を侵されると不安に駆られた結果だと言えます。

シリア問題の影響でヨーロッパ各国に押し寄せる難民。難民に紛れ込み合法的にヨーロッパの入国し、テロ活動を行う。日本でも毎日ニュースに取り上げられている北朝鮮問題などなど。今世界は多くの問題を抱えています。言葉や満足に教育を受けていない移民が、不満を爆発させ何らかの行動を起こす可能性はあるとは思います。結果世界各国で近年ないくらい外国人排斥運動や、極右党の躍起となっています。またターンブル首相が外国人に対して厳しい政策を打ち出したのは、現政権の支持率低下に伴い、選挙をにらんだ政治的な理由があるとの声もあります。

かつてオーストラリアは白豪主義と呼ばれる、白人絶対主義を国策としていた国で、表向きは法律で差別はまかり通らんと定められてはおりますが、根っこの部分では有色人種への差別は、残念ながら廃止された今でも存在しています。これらの発表はあくまでも草案であり、法案が通らなければ廃案になる可能性はありますが、いずれにしても今後外国人がオーストラリアで、就労可能なビザを取得するには厳格になると言わざるを得ません。

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永井 政光

(NM AUSTRALIA PTY LTD)

<オーストラリアビジネスの専門家

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