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海外ビジネス コラム

生活・文化 2012年10月16日

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「まずはベトナムに進出」と言える理由を再考。カギは民族と宗教観にあった

安藤 昌明(G.A.コンサルタンツ株式会社)

海外で事業を実施するなら、どの国が魅力的か?

これまで一部の企業に限られていた問いが、最近では多くの企業で問われ始めています。
現地に視察へこられる方々と話をすると、「一昨年前までは、ベトナムで事業など考えても見なかった」という声を頻繁に聞きます。

そこで、海外進出するなら、なぜベトナムなのかを改めて考えてみたいと思います。

ベトナムの周辺国には事業展開先として魅力的な国がいくつもあります。
東南アジア最大の人口を誇るインドネシア、人件費の安いカンボジア、最後のフロンティアとして注目を集めるミャンマーなどです。

それなのに、なぜあえてベトナムなのか、この点を見つめなおしたく思います。

ベトナムの一番の魅力としてあげたいのは、ベトナムが単一民族・単一言語(注:正確には54民族、但し90%がキン族で都心はほぼ100%を占める)であることです。
これによるメリットは多くあります。
例えば、人材採用や人事異動などに社内民族間バランスを考慮する必要はありません。
どの製造ラインにどの民族を配置するか悩む必要も当然ありません。
社内文章は英語とベトナム語や日本語とベトナム語で作成すれば事足ります。
同じ文章について、言語を変えて3つも4つも作成する必要はありません。

一方、他のアジア諸国の多くは多民族・多言語国家です。
参考までに、インドネシアは300超の民族を抱え、最大のジャワ族でも40%にしかなりません。

例外といわれる単一民族・単一言語の国で業務が実施できる点は、日本人にとって馴染みの薄い言語や民族の問題を考慮する必要がなくなり、大きなアドバンテージと思われます。
これにより、目に見えない事務処理コストや駐在員の物理的・心理的ストレスを大幅に減らしてくれます。

二番目は宗教観です。
一説では、世界に日本人のような宗教観を持つ人口は2億人と言われています。
その説によると、2億人とは1億2千万人の日本人と8千万人のベトナム人とのことです。
確かに、ベトナムでは他国で感じる宗教上の違和感が滅多にありません。
洋の東西を問わず、経済力の有無を問わず、世界のどこへ行っても聞かれる「あなたの宗教はなんですか?」という質問を一切受けません。

日本人が海外へ出て行くときに、苦手とするものは民族の多様性と宗教だと思います。
なぜなら、多くの日本人がこれらの事に日常生活で触れる機会を持たずに、生まれ育ってきたからです。
頭での理解はできますが、日常生活や仕事においてどのように根付いているのか、といったことは理解をすることが非常に難しいと思います。
また、これにより、不用意に相手を傷つけてしまうこともあります。

ここで、最初の問いの「なぜ、ベトナムなのか?」。

その答えの一つは、ベトナムは民族や宗教といった日本人にとっての文化的障壁がない、数少ない国だからとなります。

その他、日本からの近さ、賃金の安さ等々、経済的合理性で選択をしていることは、勿論です。
ただ、進出済み、あるいは進出検討中の多くの方々と話していると感じるのは、そういった数字で見えること以外の『何か、いいと思うんだよなぁ、ベトナム……』といった非常にファジーなものも多いということです。

 

言い換えれば、ベトナムは日本人にとっての文化障壁度から見ると、難易度では基礎クラスレベルと言えるかもしれません(いい意味で)。

ベトナムでの事業展開をした後、より文化障壁が高い他国へ展開する、これも、一つの海外展開方法なのかなと思います。

逆もまた真なりとすると、ベトナム人もそう感じてくれているはずです。

「やはり、大事な国だな、ベトナムは」と思う今日この頃です。

このコラムの著者

安藤 昌明

安藤 昌明

(G.A.コンサルタンツ株式会社)

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