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市場動向 2013年07月30日

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日本企業のブラジル進出成功のカギに? 大統領選挙を前に一体どんな経済政策がとられるか

萩島 貴(アヴァンテ株式会社)

最大のピンチを迎えつつある現政権

7月21日に日本で行われた参議院選挙では、大方の予想通り自民党の圧勝に終わった。地球の反対側のブラジルでは来年10月に大統領選挙が控えている。当初はジルマ現大統領の再選が有力視されていたが、先日ブラジル全土で発生したデモ以降、ジルマ大統領の支持率が急落し選挙戦の行方が混沌としてきた。

ジルマ大統領は、ルラ前大統領と同じく労働者党(PT)出身であり、ルラ前大統領の右腕として注目されてきた。ルラ前大統領は2003年1月から2期8年、大統領を務めたが、主に社会政策として打ち出した「飢餓ゼロ計画」によって、貧困層の撲滅を推進した。
この政策は「ボウサ・ファミーリア」(日本語で「家庭の財布」を意味)と呼ばれ、月間所得が少ない貧困世帯に対し、毎月現金給付を行った。その結果、2003年時点では国民の28%が貧困層であったが、2009年には15%にまでその割合が減少し、中間所得層の拡大に繋がった。このような社会政策も功を奏し、経済が順調に推移したため、ルラ前大統領の任期中は高支持率を維持した。

ジルマ氏は、そのルラ大統領の後任として、2011年1月に大統領に就任した。就任後、ルラ政権の高支持率を維持する形でジルマ政権の支持率も安定していたが、先日のデモを機に状況は一変した。
6月末に行われた政権支持率調査では、6月初めに57%あった支持率が30%へ半減した。6月初めから頻発し、全国規模に広がった政府に対する市民の抗議デモを契機に政府支持率が急落していることが、ジルマ大統領にとっては就任以来、最大の危機をもたらしている。

次期大統領選が日本企業の進出に好影響を与えるかに注目

国民の不満の根底には、財政悪化による公共サービスの劣悪化、インフレによる経済生活への不安、若者世代の教育や雇用環境の悪化がある。国民の意識調査では、医療・健康問題への不満が最も多く48%、他にも教育(13%)、治安(10%)、汚職(11%)、失業(4%)となっている。
現時点での大統領選の世論調査では、かろうじてジルマ大統領がリードしているものの、他候補者との差は急接近している。
PT幹部はこの事態を憂慮し、ルラ前大統領を交え対策を重ねている。ルラ前大統領は来年の選挙戦への自身の出馬を否定しているが、ブラジルの地元紙の調査によると、来年度の大統領選挙にルラ前大統領が出馬した場合、ジルマ大統領の支持率を上回る結果となった。

現在、経済が低調である中、インフレを抑えるために金利を上げざるを得ないという、難しい舵取りを強いられているジルマ政権。ブラジルに限らず、大統領選挙の前には、自身の功績を強調するために、国民の支持を得やすい政策が打ち出される傾向にある。
今回ブラジルで発生したデモ、来年のワールドカップ、そして大統領選挙を機に、どのような経済政策が打ち出されるか注目したい。
願わくば、その政策がブラジル国民の期待に応え、経済を上向かせ、日本企業の進出を後押しするような政策であることを期待したい。

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