Digima〜出島〜

海外進出に関わる、あらゆる情報が揃う「海外ビジネス支援プラットフォーム」

海外ビジネス コラム

市場動向 2013年10月13日

  • share

グローバル化が進む中での消費税増税とは

堀 明則(Hopewill Group)

いよいよ日本も17年ぶりの消費税増税です。
政府としては消費税増税を断行した橋本内閣の退陣というトラウマを超えての決断です。
増税実施の来年4月までは、駆け込み需要で増税景気が少しあり、その後反動での落ち込みがやってくる、大方の予想とはこのようなところでしょうか。
しかし今回の8%への増税決定の先には、当面の目標である消費税10%社会の構築が待ち構えています。
政府や官の関心事は、今回の消費税増税が実施された後に、いかに速やかにアベノミクスの当初想定の成長ラインに経済、景気を戻してゆけるかということですね。
今回の増税が経済の減速につながらないように、準備される対策への検討も様々のようです。
法人税率の引き下げ、特別税制の調整、経済対策予算の見直し、などなどですね。
消費税増税が景気減速などをもたらしては、その先にある2016年10%への実現に暗雲がたちこめます。
財政難を支える肝いり税制として、消費税10%はなんとしても実現したい、これは官としては譲れないところなのでしょう。
そのために民の賛同をえられるような手はできる限りのことを尽くす、こういうことなのかもしれません。

今回の消費税増税にあたり法人税減税の検討が盛り込まれていますが、
そうされる背景にあるシナリオは次の通りではないでしょうか。

法人税減税により企業には資金余裕が生まれる。

うまれた資金余裕は賃金上昇や新規雇用に振り向けられる。

賃金上昇や雇用改善は個人の消費意欲を回復させる。

市場における消費が持ち上げられ、企業は利益をつみます。

企業が利益体質化することで、国は税収が増える。

こういう正のスパイラルが法人税減税の期待なのでしょうね。
減税・減税とはいいつつも、日本は世界に冠たる高税率国家ではあるのですが・・・。

一方、日本国外に目を向けてみたいと思います。

消費税増税のニュースが誌面を埋め尽くした10月1日~3日。
あけて4日の日本経済新聞のトップはこんな見出しでした。
「アジア内需 業績牽引」
「利益、内外逆転相次ぐ」
「関税撤廃90%超提示 政府が米にTPP「聖域」も対象へ」

企業の稼ぐ力は日本国内から海外へシフトしつつあります。
雇用も多様化し、日本本社採用などという言葉もそのうち忘却の彼方かもしれません。
大手企業ほど人材の多国籍化、ダイバーシティを強化していますが、これは近未来においては企業の大小を問わず現れてくる現象なのでしょう。
世界中に機能分散する事業体それぞれが人事をつかさどり、それぞれの現地でマネジメントを行う、
このような事業経営がきわめて普通になってゆくのではないでしょうか。

何を申し上げたいかといえば、
企業の業績向上が直接的に日本人の賃金や雇用の上昇につながるという発想は、少し見直されるべきものであるのではないかということです。

中国語を話せる日本人を雇用するのに30万円必要だとします。
一方で日本語を話せる中国人の雇用は中国においては10万円で十分に実現できます。
では、企業はどちらの人材を選択するのか。
こういうことですね。

社会がグローバル化するということは、ある部分の価値を引き上げるが、ある部分の価値は引き下げられることにもなるということです。
日本の大企業が稼ぐ力を日本国外に持ち始めた今、上述のような雇用現場の様子は十分に想定範囲内であると考えます。

もうひとつはTPPやFTAといった域内関税の撤廃の動きです。
例えば日本の消費が上がったとしても、関税障壁が撤廃されて、世界中から様々な商品が安価で流れ込んできたとします。
消費はあがるが、企業の業績は以前のように消費の上昇に直接リンクするようなものではないかもしれません。
また、インターネットの普及はダイレクトマーケティングを可能にし、中間流通におけるコストを徹底的に排除の方向に向かわせるかもしれません。
消費があがり、一段と激化する顧客獲得合戦は、さらなる流通合理化を招き、結果それほどの雇用を生み出さないかもしれません。

日本国内で行われる増税と景気対策、しかしここには
「日本国外との関係」という過去にはあまり気にする必要がなかった要素が、かなり大きく影響をしてくるということを認知せねばなりませんね。

私は、広く外需を取り込める力強い企業経営と人材育成が、高税率体質の日本を支える大変に重要な要素であると考えます。

皆さんはいかが思われますか?

このコラムの著者

このコラムニストにメールで問い合わせる

堀 明則ほり あきのり

(Hopewill Group)

幅広い事業範囲を武器に

日本企業、個人に対し、香港・シンガポールをハブとした、『日本からア

コラムニスト詳細

関連記事

ジャンル別 新着コラム