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海外ビジネス コラム

市場動向 2013年10月23日

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『<アジア・クロスボーダー戦略> 経済特区 フィリピン(6)』

堀 明則(Hopewill Group)

今年1月、マヨネーズ大手キユーピーのロゴマークである『キューピー人形』が、イスラム教の禁じる「天使の偶像崇拝」に当たるとの見解があり、マレーシア政府がその使用に難色を示しているとのニュースが報じられました。
同社は、同国内で使うデザインから羽を取るといった対応を検討しているそうですが、マレーシア政府の担当官より、キューピー人形の羽の部分を問題視され、「天使の絵は反イスラム。2年以内になんとかしてほしい」と指示が入ったようです。
イスラム教にも天使がいるのに何故ダメなのか、根本的な問題はどこにあるのかと、疑問が絶えませんが、その解として以下のようなことが挙げられそうです。
(1)
天使(エンゼル)はキリスト教に深い関わりがあり、偶像崇拝を禁止しているイスラム教においては、描写された天使=キリスト教の天使といった理解につながり受け入れ難いこと
(2)
歴史的にキリスト教とイスラム教との紛争・対立が根本の問題になっていること

マレーシアに限らず、この宗教対立による国家的、社会的、経済的な影響は、ほかの多くの国も有しており、これまでご紹介してきたフィリピンもまた同様です。
1971年、フィリピン南部のミンダナオ島及びスールー諸島に住むムスリム(ムスリムはイスラム教徒の意味)としての独立を求めて、モロ民族解放戦線(以下、MNLFと呼ぶ)が結成されました。
そして、NMLFは4半世紀にわたりフィリピン政府と武装闘争を繰り広げてきました。
しかし、1992年に発足したラモス大統領が、ムスリム反政府組織に対して、これまでのような武力による封じ込めではなく、
対話により問題の平和的解決を探るという政策を掲げて、MNLFとの紛争をはじめとするムスリム問題に取り組んだ結果、1996年、ついに平和協定を締結することとなりました。

ラモス政権がその紛争を平和的に解決できたのはなぜでしょうか。

キーワードは、『自治』 にあると言えます。

1971年の結成以来、モロ民族によるムスリム国家(バンサ・モロ)の独立を目指し、4半世紀にわたりフィリピン政府と闘ってきたMNLFが最終的に勝ち得たものは『自治』でした。
フィリピン国という国家のフレームの中に自治を任されたムスリムという集団と地域が存在していることは非常に大きな意味があり、フィリピン・ミンダナオ島におけるムスリム系国民を主体とする自治地域と自治政府の設置は、国民を一つに統合することによる国家建設ではなく、国家における多民族の平和的共生を具現化することにつながります。
フィリピンの全人口(約8,000万人)の5%程度に過ぎないムスリム住民が、異教徒としての自分達のアイデンティティを求めて、民族自決を具現化するために繰り広げた武力闘争は、国家の中の異なる民族を統合することではなく、また国家の外に新たに別の国家を建設することでもなく、国家の中に自治権を持った別の組織と地域を生み出すことで終結しました。

通常私たちが意識している国境は政治国境です。
しかし他にも民族国境、宗教国境など、単一民族国家である日本には理解が難しい国境が複数存在します。
実はこれらの複数の国境が重なり合うところに紛争や問題が多く発生しており、まさにアジアはこの複数の国境がクロスオーバーする地域でもあるわけです。
上述のフィリピンの『自治』による政治国境と宗教国境、そして民族国境の折り合いは大変に意義深いものであると思います。

それでは、本日の本題に入ります。

今回も弊社「アジア・クロスボーダー戦略コンサルティング・チーム」が
まとめます情報を、以下の通り発信させていただきます。

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日系商社が運営・管理する工業団地

(1)First Philippine
バタンガスに所在し、マニラからの距離は高速道利用で約52キロのところに位置している。
住友商事が出資しており、敷地面積は約315ヘクタールある。
施設は、貸し工場、ホテル、和食レストラン、屋内スポーツ施設、物流センターなどがある。
入居企業は、Philip Morris、富士通、本多技研(二輪)、イビデン、住友重機械工業、住友ベークライトなどである。

(2)Tecno Park
ラグーナに所在し、マニラからの距離は高速道利用で約44キロのところに位置している。
三菱商事、JFEスチールが出資しており、
敷地面積は約410ヘクタール(PEZA地区は約297ヘクタール)ある。
施設は、住宅や商業用施設などがある。
入居企業は、ホンダ、いすゞ、日立、東芝、TDK、NEC、フタバ工業、テルモ、HOYA、タカタなどである。

(3)First Cavite
カビテに所在し、マニラからの距離は約30キロのところに位置している。
丸紅が出資しており、敷地面積は約155ヘクタールある。
インフラ・施設は、無洪水設計である。
入居企業は、日立製作所、ミツバ、日清食品、不二サッシ、三和電機、昭和アルミなどである。

文責)
ホープウィル・グループ
アジア・クロスボーダー戦略コンサルティング・チーム
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次回のフィリピンの各経済特区の情報もお楽しみに。

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堀 明則ほり あきのり

(Hopewill Group)

幅広い事業範囲を武器に

日本企業、個人に対し、香港・シンガポールをハブとした、『日本からア

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