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市場動向 2013年10月28日

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更なる成長が期待されるフィリピンのIT/BPM産業とは?

安部 妙(SPICEWORX CONSULTANCY, INC.)

ご存知の方も少なくないと思いますが、東南アジア最大の英語圏、世界でも3番目に英語人口の多いフィリピンは、ボイスサービス(コールセンター)のグローバル拠点として2010年にインドを抜いて世界第1位になり、ノンボイスのBPO(業務委託)サービス(主に財務会計、給与計算、人事関連業務等) でも世界第2位の重要なグローバルサービスデリバリー拠点となっています。

豊富で安価な英語人材を欧米企業が活用し始めて業界の成長を牽引してきましたが、近年日本企業からの関心も高まっているようです。フィリピンのIT/BPM (Information Technology and Business Process Management)業界の現状と課題、日本企業の進出状況や進出の際に認識しておくべき事などについて連載でお伝えします。

フィリピン、IT/BPM産業の全体概要とは?

英語が堪能で、高い教育を受け、サービス精神旺盛で明るく勤勉な若年労働力が豊富、かつ人件費その他のビジネスコストも低いといった優位性を持つフィリピンでは、2000年前後から欧米大手企業によるコールセンター/コンタクトセンター事業が急拡大しました。その後2005年頃からはノンボイスBPOや、より高い専門性や判断力を必要とするKPO(Knowledge Process Outsourcing)とよばれる、より付加価値の高いサービス(法務や財務分析、調査、その他の業務)も提供できるようになって来ています。

コールセンター/コンタクトセンター、ノンボイスBPO、ソフトウェア開発及びITアウトソーシング、医療情報管理、エンジニアリングサービス、クリエイティブアウトソーシング(アニメーションやCGなど)、ゲーム開発という7つのセグメントからなる産業を、フィリピンではIT/BPM(Information Technology and Business Process Management)産業と呼んでいます。(*1)

フィリピンのIT/BPM産業は、2005年から2012年にかけて年平均29%で売上高を拡大し、2012年の売上高は130億ドルで、フィリピンのGDPの5%強を占める重要産業に成長しました。売上高の9割以上が輸出であること、圧倒的に米国向けのボイスサービス輸出が多い事などが特徴として挙げられます。2012年、この産業で働くフィリピン人の数は76万人を超えており、業界団体のIBPAP (Information Technology and Business Processing Association of the Philippines) のロードマップでは、2016年には130万人の雇用と、250億ドルの売上高を目指しています。

表:フィリピンのIT/BPM産業のセグメント別雇用数、売上高、対前年比成長率、売上高シェア

出所 : Information Technology and Business Processing Association of the Philippines (IBPAP)のデータをもとに筆者作成

 

セグメントごとに業界団体が組織されている

フィリピンのIT/BPM業界は7つのセグメントから構成されているということを前述しましたが、これらのセグメントの多くが個別の業界団体を組織しています。セグメント別の業界団体は、IBPAPの会員となっており、IBPAPが全てのセグメントを取り纏める上位団体のような役割を果たしています。セグメント毎の業界団体は以下の通りです。

l   ボイスBPO – Contact Center Association of the Philippines (CCAP)
l   ノンボイスBPO/KPO – IT and Business Processing Association Philippines (IBPAP)
l   ITO(含ソフトウェア開発) – Philippine Software Industry Association (PSIA)
l   医療情報管理 – Healthcare Information Management Outsourcing Association of the Philippines (HIMOAP)
l   エンジニアリングサービス – 業界団体無し
l   クリエイティブプロセス – Animation Council of the Philippines (ACPI)
l   ゲーム開発 – Game Developers Association of the Philippines (GDAP)

IBPAPは、上記のセグメント別団体ならびにフィリピンのICT政策を担当する政府機関、科学技術省(DOST)情報通信技術局(ICTO)と緊密に連携しながら、IT/BPM産業振興に取組んでいます。フィリピンのIT/BPM業界への進出、あるいはこの業界の企業への業務委託を検討する日本企業は、現地視察をする際には必ずIBPAPにコンタクトすることをお勧めします。(ただし、残念ながら日本語で対応できる人はいないのでご注意下さい。)

連載2回目の次回は、フィリピンIT/BPM業界への日本企業の進出状況についてお伝えします。
(*1) 産業からIT/BPM産業に呼び方を変更
2011年頃までは、同じく7つのセグメントからなる産業をIT/BPO (Information Technology and Business Process Outsourcing)産業と呼んでいました。しかしこの業界では、厳密にはOutsourcing (外部委託)ではなく、自社向けのオフショア・シェアド・サービスセンター (SSC)をフィリピンで運営している企業も多いのが実状です。こうした企業はいずれも欧米大手で業界全体に占める売上や雇用の割合、業界への影響力も大きい事から、2012年からこれらの企業に配慮して、Business Process OutsourcingをBusiness Process Managementに変えたという経緯があります。

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