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市場動向 2012年07月20日

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知っておきたいミャンマーをめぐる世界各国の動向と日本

池田 尚功(株式会社セールスモンスター)

昨年2011年末12月の、米国・クリントン国務長官のミャンマー連邦共和国訪問、日本の玄葉外務大臣、ASEAN議長国インドネシアのマルティ外相の訪問、2012年に入り、イギリスの ヘイグ外相、アメリカのデレク・ミッチェル・ミャンマー特別代表・政策調整官(2012年5月に駐ミャンマー大使に指名)、枝野経済産業大臣、フランスのジュペ外相、ASEANスリン事務局長、5月には、国賓として韓国の李明博大統領(1983年10月9日のラングーン事件(ラングーン爆弾テロ事件)以来、韓国大統領としては29年ぶり)、インドのシン首相(25年ぶり)の訪問など、各国の要人が相次いで、ミャンマーを訪問されています。

また、ミャンマーのテイン・セイン大統領による、2012年3月のベトナム公式訪問や、2012年4月の来日(ミャンマーの国家元首の来日は、1984年以来28年ぶり)、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏の外遊としてのタイ、スイス(6月14日ジュネーブで国際労働機関(ILO)総会に出席)やノルウェー、英国などへの訪問、また、つい先日7月13日には、カンボジア・シエムレアプにて、ミャンマーのテインセイン大統領と米国・クリントン国務長官との会談も行われました。
国際的な活動が、ミャンマー発および対ミャンマーの双方向で、活発に展開されています。

ちなみに、昨年2011年夏~秋頃以降の、一連のミャンマー民主化に関する、各種報道取り扱い頻度増加以前は、2010年11月7日のミャンマーでの総選挙、同月13日の民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏の自宅軟禁解除、2011年3月30日の新政権誕生などは、ミャンマー国内の動向として取り扱われる事はございましたが、上記のような国際的な活動や取組みは、あまり報道されることもなかったと記憶しています。
ミャンマーが、欧米等から経済制裁を受けていたが故か、国際的な活動は限られていたのも事実ですし、当時、現地での様々な商談の際も、容易に感じる事ができる程でした。
もちろん、欧米等による経済制裁中でも、関係の深かったミャンマー隣国各国は、継続的に関係を維持していました。
つまり、最近のミャンマーに関する報道や各種情報の増加は、それだけ、現在のミャンマー取組みや動向が、世界から注目されている証しに違いありません。

更に、各国の個々の取組みとしては、以下の状況(一例)です。

●中国:欧米による経済制裁中も、インフラなど多数の支援を実施(現在も進行中)。
農作物や、縫製関係の材料、各種機械などの提供も、ミャンマーでの加工事業も多数対応・展開中。

 

●ベトナム: 2010年12月頃、経済界および政府関係者が団体視察訪問しミャンマー政府と交流。
2011年11月17日~20日の間、Vietnam Trade Fair in Myanmar 2011をYangonの Myanmar Convention Centreで開催(大盛況)。
2012年3月の、テイン・セイン大統領によるベトナム公式訪問の際、ベトナムのチュオン・タン・サン国家主席との会合で、今後、両国間の経済・貿易関係を強化させる方針合意済。
ベトナムはミャンマーへの外国直接投資(FDI)を、2011年末時点の累計5億ドル(約414億円)から 2015年には累計20億ドル(約1,655億円)に、また両国の年間貿易額も2011年の1億6,700万ドル(約138億ドル)から5億ドル(約414億 円)に拡大する見通し。
・  ベトナム不動産企業・ホアン・アイン・ザーライ<HAG>
2011年12月、ミャンマーの最大都市ヤンゴンで、総額3億ドル(約248億円)の不動産建設案件へ投資。
・  ベトナム投資開発銀行(BIDV)は2011年、ヤンゴンに代表事務所設立。
・  ベトナム郵便通信グループ (VNPT)とべトテルテレコムはミャンマーの携帯電話体系の開発案件を推進中。
・  ビナキャピタルグループとアンザン植物保護株式会社がミャンマーの企業グループと、投資総額1億ドル(約83億円)の農産物加工工場の建設に関する協定書を締結済。

 

●タイ  : 国境貿易などにより、以前から中古車貿易事業が盛ん。ミャンマーでの農作物栽培、加工事業も着手中。

 

●韓国  : ミャンマーと北朝鮮との軍事協力遮断問題、ミャンマーの民主化と経済発展への支援、経済協力、ミャンマーの資源・エネルギー開発およびインフラ整備に向けた両国の協力関係拡大などについて意見を交換したとの事。この両国の会談をきっかけに、ミャンマーは、北朝鮮との武器取引を停止する意向を表明。

 

●インド  : 2016年までにインド~ミャンマー~タイの高速道路建設を目指すことで一致し、インドが橋りょう71カ所の改修を手掛ける事で合意済。

 

●欧米   : 2012年2月頃から経済制裁緩和に向け取組み中。
アメリカは、クリントン米国務長官が5月17日、ミャンマーへの新規投資と金融取引を禁ずる経済制裁措置の停止を発表。22年ぶりに駐ミャンマー大使も派遣。

 

日本も、100円SHOPの大創産業の現地出店(2012年3月)、ローソンやミニストップ、ユニクロや伊藤園などの相次ぐ、ミャンマーへの進出・事業展開発表。また、全日本空輸(ANA)が、2012年10月から、12年ぶりに、ミャンマー/ヤンゴンへ、成田空港から直行便を開設するなど、各産業や分野でも、ミャンマー進出や事業展開、活用が進んでいます。日系IT関連企業の現地進出(法人設立)も、増加傾向にあります。

ミャンマー陸上運送局と日本企業が合同で行なうプロジェクトとして、日本企業の投資により、乗客輸送、貨物輸送、タクシー事業、自動車整備事業、自動車運転免許学校を開設することも現地で報道されました。

三井住友銀行も、2012年5月22日に、ミャンマーの民間最大手商業銀行であるカンボーザ銀行(Kanbawza Bank/KBZ)との間で、人材育成や経営面での支援のための覚書を締結しました。ミャンマーの民主化進展以降、邦銀が同国の民間銀行と覚書を締結するのは初めてで、欧米各国による経済制裁の解除や経済開放をにらみ、将来の業務提携も視野に入れたうえでの展開との事です。

日本政府も円借款(有償資金協力)の25年ぶりの再開や延滞債権のうち約3,000億円を放棄するなど、市場参入をにらんだ動きが加速しています。

また、ビジネス面だけではなく、ミャンマー文化・スポーツ交流ミッション(6月27日~30日)も派遣されました。
日本政府として,独立行政法人国際交流基金との協力の下、外務省関係者も同行のうえ、各専門分野の方による文化・スポーツ面でのアプローチを実施。柔道家の山下泰裕氏も参加されて、ヤンゴンで柔道の実技指導も行われました。

日本政府は今秋のミャンマーとの投資協定締結を目指して交渉を本格化する方針で、日本企業による投資拡大が見込まれています。

もちろん、日本に限らず各国から、これだけ「ミャンマー」が注目されて、様々な展開を図れば、進出側にも、現地側にもメリットだけではなく、デメリットも生じてくると思いますし、現に現地では懸念も耳にします。外国投資法の改定や税制度など、法的な整備面も懸念点の一つです。
それらの点を如何に回避するか、現地と共存共栄となるよう、上手い活用・協業の仕方、事業展開や商談の仕方が重要です。

私達、日系企業や日本人にとって、ミャンマー進出や事業展開の際、競合相手は、上記各国以外にも多数存在していることを念頭に、「差別化」を意識されることをお勧めします。

いずれにしても、「ミャンマー」は、大いなる可能性と魅力を秘めた国であることは、間違いないと感じています。
今からでも、この機会に、ビジネス面や文化面など、様々な形態で、ミャンマーに携わってみませんか?

 

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