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海外ビジネス コラム

法律・制度 2014年12月02日

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日本のハラル認証制度に潜むリスクと日本が進むべき方向(1)

堀 明則(Hopewill Group)

どこのハラル認証を取得すれば良いのか分からない

少し前になりますが、2014年7月22日、衝撃的な記事が東洋経済ONLINEにて掲載されました。タイトルは次の通りです。

『偽物ハラルが蔓延する「観光立国」の瀬戸際』
(出展:東洋経済ONLINE: http://toyokeizai.net/articles/-/4317)

業界関係者はもちろん、一般の方々にも波紋を起こす記事となりました。こちらの記事を短くまとめると以下の通りです。

数々の認証団体がそれぞれ独自の基準でもって認証活動を行っていることから、万が一、数ある認証の中に、世界的に受入れられない認証があったとするならば、これは非常に大きな問題を引き起こす事となるだろう。

当該記事内の言葉を引用するならば「ニセモノが氾濫する国ニッポン。対応を誤れば、イスラム世界からそういう目で見られかねない瀬戸際にたっているかも」と、非常に強いメッセージを伝えています。

現在、日本には十数箇所のハラル認証組織があり、その多くが独自基準を策定し、ハラル認証を企業や製品に対して付与している現実があります。
これまで弊社に寄せられたお問い合わせの中で最も多いご相談が実は、「どこのハラル認証を取得すれば良いのか分からない」、「ハラル認証団体ごとに言う事が違い、何をしたら良いのか分からない」というご相談です。

そもそもハラル認証自体に世界標準規格・基準等は存在せず、国や地域によっても「一定の幅で」その基準は異なっています。しかし、「ローカルハラル認証」や「ムスリムフレンドリー認証」といった物が「開発」され、次第に「ハラル」という言葉と混同して使用されるようになって来ており、業界がひどく混乱している、というのが現在の日本におけるイスラム市場の実態です。

記事内にて指摘されているように、これまでメディア等において、「どこどこの企業が、ハラル認証を取得した」というニュース等がしきりに叫ばれるようになり、現状の裏に潜むリスクに対する分析や指摘が無いまま、焚きつけられてきました。

今後どのようにコントロールしていくか

そのような状況下での今回の記事の公表に、業界関係者の中ではどこか安堵に似た雰囲気が漂った、というのが実際のところではないかと感じています。
前述の通り、世界基準が無いハラル認証は、消費者と認証団体との信頼関係を担保にその役割を果たしています。故に、もし「日本のハラル認証は信用できない」という事が、イスラム教徒の人々の中で共通認識となってしまった場合には、日本は大きな損失を被る事が容易に想像がつく、というのは以前より弊社メールマガジンや、『週刊イスラム市場』でも提起をさせて頂いて参りました通りです。
こういった懸念に対して、一般企業の方々や、取り組みを検討されておられる方々が気が付き、問題提起をする様になり、さらには、今回の様な記事の公表に繋がったというようなことは、言い換えると、日本のイスラム市場産業も、急速に成長(拡大)しているということなのでしょうね。

それではこのような「乱立するハラル認証及びそれに類似する認証」をどのようにコントロールして行くのがよいのか。この辺りに関しては世界で最も信頼性が高いと言われているマレーシアの認証や、シンガポール、インドネシアにおける取り組みは非常に参考になると考えます。

現在の日本の状況に対して、日本政府はどのような活動に取り組もうとしているのか。
次回はこの点について考察をしていきたいと考えています。

このコラムの著者

堀 明則

堀 明則ほり あきのり

(Hopewill Group)

幅広い事業範囲を武器に

日本企業、個人に対し、香港・シンガポールをハブとした、『日本からア

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