自動車製造サプライチェーンを構成するメキシコにおける自動車部品産業の概要について発信します。自動車部品の部門別取引状況、輸入と輸出の状況、自動車部品の参入状況、雇用者数、地域別の拠点一覧を俯瞰します。
※ データの出所：PROMEXICO 自動車部品産業レポート2012年版

2011年のメキシコ自動車部品産業の主な指標
生産…………………………… US$67,989百万
消費 …………………………… US$54,734百万
外国直接投資（2006-2011）… US$7,648百万
雇用…………………………… 602,816人
輸出……………………………… US$45,587百万
輸入……………………………… US$32,332百万

メキシコにおける自動車部品生産は発展途上で、更なる進出余地が見込まれる

2011年のメキシコの自動車生産台数は、対2010年比13.1%増、過去最大の250万台で、2015年には300万台に達する見込みです。一方2011年の自動車部品の生産は680億米ドル、消費は547億米ドルで、内訳は以下の通りとなっています。

自動車部品の調達は輸入に頼っており、日系自動車部品メーカーにとって更なる進出余地がある

輸出先の統計では、米国向けが８９％と圧倒的に大きく、カナダとブラジルを含む北・中・南米全体が９４％を占めるに至たっています。北米向け輸出の戦略拠点としての位置付けが理解できます。

輸入元も米国が５７％を占めていますが、次いで中国（１０％）と日本（7％）、ドイツ（５％）が続いています。米国自動車メーカー向けの部品供給が多いと考えられますが、今後日系自動車メーカーの生産増強に伴い日系サプライチェーンからの供給余地が増加するものと期待されます。

小分類は多岐にわたり、製品種別の分析においては差異が発生する可能性がありますが、ブラジルとの比較における傾向として、以下の数値となります。

メキシコの輸入合計：US$15,338百万
ブラジルの輸入合計：US$4,356百万

メキシコの輸出合計：US$14,665百万
ブラジルの輸出合計：US$1,514百万

メキシコの輸入はブラジルの約3.5倍。
メキシコは輸入と輸出がほぼ同じですが、ブラジルは輸出が少ないです。

メキシコの輸入相手国：64%が米国からで、その他日本8%、中国6%、ドイツ5%。
ブラジルの輸入相手国：韓国12%、ドイツ11%、アルゼンチン10%、日本8%と比較的バランスが良い。

ブラジルにおいては大幅な輸入超過の状況にも関わらずメキシコでは輸出額と輸入額がほぼ拮抗しています。メキシコが内国向け生産拠点としての位置付けであることに加えて、輸出拠点としての役割を果たしていると言えます。一方、メキシコ国内の新車販売台数は先述の通り２０１３年に１００万台を超過し、消費市場としての存在感も高まっています。

一例として、ねじ類の輸出入額の統計を調査します。ボルト、ナット、スクリュー等小分類で分析すると違った結果が出る可能性がありますが、以下の数値となります。

メキシコの輸入合計：US$1,225百万
ブラジルの輸入合計：US$467百万

メキシコの輸出合計：US$80百万
ブラジルの輸出合計：US$60百万

両国共に大幅な輸入超過ですが、メキシコの輸入はブラジルの約2.5倍です。大きく輸入に頼っていると言えると同時に、現地生産を進めることにより需要を取り込むニーズがあることを示唆しています。一方でブラジルでは、国内調達が進んでいる可能性もあります。

メキシコの輸入相手国：
半分以上の53%が米国からで、その他中国と台湾が約12％、日本が7％と偏っています。地域的な産業発展の観点では、例えばタイ等の東南アジアに進出した日本企業が、低コストを武器にメキシコに輸出を目指すといった海外進出の横展開の余地も想定されます。

ブラジルの輸入相手国：
比較的バランスがよく、米国21％、中国17％、ドイツ12％、日本10％となっています。

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