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海外ビジネス コラム

市場動向 2015年06月23日

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【円安特集】タイで、着実に魅力的になる消費マーケット

但野 和博(Accounting Porter Co., Ltd.)

円安は既に織り込み済みのリスクだった?

今回のテーマ、円安が海外ビジネスに与える影響についてですが、もはや円安を折込んでのビジネス活動は定着しています。以前2015年度の展望でも触れたとおり本当に進出するつもりの企業はタイでの内部留保や再投資を見据えているようでほとんど影響は見られませんでした。

また、既に進出している企業についても、一部サービスを含めた輸出について、は円建決済でリスクを負っており、収益・利益は目減りしましたが、だからといってそれが理由での撤退という話はほとんど見られませんでした。

円安で大きく影響があるとしたら、タイでの労働対価の価格優位性を見越したビジネスモデルになるかと思いますが、今やそのようなモデルはタイ国内でも周辺諸国に生産拠点を移しつつある状況です。現在は、タイにおいて拡大している中間層の消費マーケットの取り込みが、進出企業にとっても主な目的であることがほとんどです。

このように初めからタイのマーケットで勝負するつもりであれば、将来的な日本への配当を考えても当面の円安は所与のものとして捉え、長期的な視点で考えるとそのリスクはニュートラルなものとしてある程度コントロール可能な範囲に収まってくるものと思われます。

日本市場、タイ市場への影響が大きい

一方で円安は海外からの日本国内の消費増を間違いなく呼び込みます。昨年度後半より日本国内における外国人旅行者数の増加は既によく知られているところですが、タイからの旅行客も例外ではありません。タイからのVISA要件の緩和も手伝って、日本政府観光局調べによると、今年の1〜4月累計で既に29万9100人(前年比28.9%増)となっており、タイでの4月の旧正月休暇を考慮しても2014年度の約65万人を超える年間70~80万人超のペースで推移してきてます。

また、タイ人旅行者に限った話ではないかもしれませんが、日本における化粧品はタイ人女性の間でも美白信仰が素地としてあるせいかクオリティとしても高く評価されており、タイ国内でも日本製品がよく浸透しています。そのため、彼らが日本に観光したときにドラッグストアなどでまとめ買いすることが大きな楽しみとなっています。

これは実際つい先日当社の話で恐縮ながら北海道に社員旅行に連れて行ったのですが、タイ人スタッフ達が一番目の色を変えていた時間は、ドンキホーテでのお土産まとめ買いです。スマホの電卓を叩きバーツ換算しながらこれは安いといちいち驚きながら買い物カゴに次々とほうりこんでいく場面を目の当たりにしたことで図らずも実感してきたばかりです。

最も円安は良いことばかりではありません。かなりミクロ的な視点ですが、円建てで給与支給の一部が固定されている駐在員の方も少なくなく、ここ1年ばかりで実質給与が目減りした人も周りに結構いらっしゃいます。むしろこちらの問題のほうが当事者の方にとっては深刻かもしれません。このように相対的にタイでの生活コストが上がってきているということは、逆にタイが着実に消費マーケットとして魅力のあるものになってきているとも言えるでしょう。
 
もはや円安というのは特別なテーマではないくらいに常体化及び平常化しているというのが、ここタイで日系企業の皆様をサポートして実感しているところです。

このコラムの著者

但野 和博

但野 和博

(Accounting Porter Co., Ltd.)

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