市場動向 2015年08月18日
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【食ビジネス特集】マレーシアのスーパーマーケット事情
マレーシアは、1981年にマハティール首相の「ルックイースト政策」によって市場が開放され、日本・韓国の製造業・小売業が次々に進出するようになりました。
小売業では一定の売場面積以上で外資参入が認められるため、先進国の企業が積極的に参入しています。特にスーパーマーケット(売場面積3,000平方メートル以上5,000平方メートル未満)、ハイパーマーケット(売場面積5000平方メートル以上)については、外資出資比率が最高70%と高い比率での参入が可能なため、外国企業による大型小売店の展開が盛んです。
今回は、マレーシアにおけるショッピングモール、コンビニエンスストア、スーパーマーケットの特徴についてまとめ、特に外資企業の参入が活発であるスーパーマーケット、ハイパーマーケット市場について具体例を紹介します。
■ショッピングモール
ショッピングモールには様々な国際的ブランドが出店していて、ブランドバッグや時計、ファッションから電化製品まで多様な商品を提供しています。 マレーシアには現在50店以上のショッピングモールがあり、そのうち20店以上がクアラルンプール市内に位置しています。市内ではブキッ・ビンタン近辺のゴールデン・トライアングルと呼ばれる地域にショッピングモールが集中しており、人気のあるショッピングモールでは1ヶ月で300万人もの人が訪れます。
マレーシア人はショッピングを好む傾向があり、週末や祝日、大型連休は特に賑わっています。
■コンビニエンスストア
コンビニエンスストア業界では、2015年現在、セブンイレブンが最も多い1855店舗 を有し、業界最大手です 。その他、KKスーパーマート(KK Super Mart)、 クイック&イージー(Quick and Easy)、マイマート(MyMart) などのローカル資本系がマレーシアで展開しています。カルフール・エクスプレス (Carrefour Express)もフランスからマレーシアに進出したコンビニエンスストアの一つでしたが、現在はイオンコーポレーションの傘下となっています。
■スーパーマーケット
マレーシアでは現在、スーパーマーケットやハイパーマーケットといった近代的店舗の数が増加してきており、小売業の売上割合の半分以上が近代的店舗によって占められています。また、伊勢丹、イオンといった日系の大型スーパーマーケットも進出しており、マレーシア人の日本食への関心の高さが伺えます。
<マレーシアにおける主要な大型スーパーマーケット>
・イオンビッグマレーシア(AEON Big)
イオングループが2012年11月1日に、カルフールのマレーシア事業を買収してイオンビッグマレーシア(AEON BIG)としました。マレーシアにおけるハイパーマーケットの先駆者であるカルフールのノウハウを受け継ぎ、強みとしています。現在、計28店舗のハイパーマーケットとスーパーマーケットを運営しています。
イオンビッグマレーシアが提供するハイパーマーケットのコンセプトは、一カ所で何でも揃い、お客様が使いやすい設備が整っていること。そして、駐車料金がかからず(一部店舗を除く)、高品質な商品を低価格で提供する大型スーパーマーケットです。消費者の権利を守るため、不良品に対して100%の返金を保証していることもイオンビックマレーシアの特徴です。
・イオン(AEON)〔旧ジャスコ(JUSCO)〕
ジャスコはJapan United Stores Company の略称であり、日本の総合スーパー最大手の一つです。1985年、コールドストレージ(Cold Storage)を含めた現地企業4社と共同で、日本国外で初のジャスコであるジャヤ・ジャスコ(Jaya Jusco)がクアラルンプールにオープンしました。これは日本企業がマレーシアの小売業界に進出した初のジョイントベンチャーでしたが、1998年にはジャスコ単体で運営するようになりました。
日本のジャスコのイオンへの名称変更に伴い、マレーシアでも2012年からイオンブランドへと移行しました。現在、20店舗の小売店とショッピングセンターを展開しています。イオンでは、イオンビッグマレーシアと合わせて「2020年までに100店舗体制を構築」することを目標としています。
・ジャイアント(Giant)
ジャイアントはマレーシアの小売業界における最大手の一つです。マレーシアをはじめ、東南アジアやアラブ首長国連邦、中国でも展開しており、マレーシア国外への進出も活発に行っています。
2003年にはデイリーファーム・ジャイアント・リテールと名称を変更し、現在ジャイアントハイパーマーケット (Giant Hypermarket) やジャイアントスーパーマーケット (Giant Supermarket) を含め、200店舗以上を展開しています。
・マイディン(MYDIN)
地元資本の小売チェーン。ハイパーマーケット18店舗、大規模小売店16店舗、ミニマート47店舗、その他食料品店など合わせて、2015年1月時点で、マイディンは計267店舗の小売店を展開しています。 食料品や日曜大工商品、電化製品、スポーツ用品、ゲーム機、アパレル製品など、多様な商品を取り扱っています。
・テスコ(TESCO)
テスコは、イギリスの多国籍小売販売店です。マレーシアのテスコストアは、イギリスのテスコの子会社で、ハイパーマーケットの運営を行っており、生鮮食品から食料品、家事用品、アパレル製品、オリジナルブランド商品など幅広く取り扱っています。
マレーシアでは近年中間層による購買力が急速に伸びてきています。外資参入がしやすい環境も相まって、日系企業をはじめとした外資系の小売業がマレーシアへの参入を強化しています。マレーシアでは日本文化をはじめとして、日本食や日本製品の人気が高く、マレーシアの中高所得者層をターゲットとした日本企業の展開も目立ちます。マレーシアは消費の落ち込む日本国内市場に代わる、日系小売業の新たなターゲットとして今後も成長していくでしょう。
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