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海外ビジネス コラム

市場動向 2015年11月20日

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アセアンの中心地・タイにおける和食ビジネス その6

水野 聡子(Infinitie Wings BP(Thailand)Co., Ltd)

もともと親日国であるタイには以前から和食店はいくつかあった。ただほとんどが在住日本人向けの価格高め設定店、またはローカル向けのいわゆる「なんちゃって和食店」の二極化した状態であった。

しかし、10年ほど前からの政府間経済協定によって、関税をはじめとする様々な規制緩和が行われた。そして、2013年からの短期訪日ビザ免除により日本を訪れ和食の良い点に接し、タイ人も「本物の和食を食べたい、和食の良い点を日常生活に取り入れたい」という要望が高まったこと、また、日本企業としては国内の少子高齢化で海外へ市場を求めようとする潮流、このほか複数の要因を背景にして現在バンコクには様々な工夫を凝らした多様な和食店が豊富にできている。そこで、そうした事例をいくつか取り上げ、バンコクにおける飲食ビジネスおよび食材ビジネスのチャンスを探りたい。

和食店経営者に聞く、飲食ビジネスおよび食材ビジネスのチャンス

多様な和食店があるということは、言ってみれば競合が非常に多いともいえる。和食店経営者は常に「いつ使ってもらう、誰に使ってもらう、何を楽しんでもらう、どういう風に維持運営する」を意識している。2015年現在の人気店を訪問し長年の人気の秘訣、進出する際に考えておきたいこと、そして店舗運営上重要事項の一つである食材の調達についても聞いてみた。

第6回は「BB&B」

今回は、実際に日本から酒類を輸入販売している会社へ取材。過去の取材の中で飲食店側から食材業者について様々な意見が聞かれたが、今回登場するBB&B社は第三回で紹介したしゃかりき432″の清水社長にインタビュー中「BB&Bはいい」とお墨付きを頂いた会社。競争の激しいバンコクで評価を受けるとはどのようなサービスを展開しているのか。

「酒を売る、ではなくきめ細かいコンサルティングを施し、日本酒の良さや和食以外とのマッチングの可能性を提案している」と美味しい、薫り高い、の一辺倒になりがちな日本酒の営業では聞いたことのない切り口で活動している鈴木氏。日本酒=和食オンリーではない可能性について語っていただいた。

(「酒が好きで酒類販売会社へ入社した」というほど日本酒が好きでその可能性を追求している鈴木氏)

取り扱い製品について

当社は元々ワイン、コーヒー、スピリッツなどを扱う会社だった。昨今のバンコクにおける和食ビジネスの広がりで顧客からも日本酒を取り扱ってほしいという要望が急増。小職の本来の所属である池袋の株式会社折原が関わることになり、2年前からバンコクへ出向している。日本酒では真澄、美丈夫、獺祭ほか多くの銘酒を取り扱っている。


( 店舗で料理とともに提供される真澄や獺祭。海外の和食レベルは日本酒の世界伝搬に伴い急速に向上している)

主たる顧客について

現在の顧客は和食店が多い。ただ、そこに凝り固まらなくてもいいと思っている。日本酒は地方毎に星の数ほど地酒がありそれぞれの特徴を知ることで和食以外にもアプローチできる可能性は高い。

イタリアンやフレンチなどは日本酒と同じようなきめ細かいワイン文化を抱えていること、タイ料理ほど刺激的な味はない、という視点で日本酒となじみやすい。

かといってタイ料理に合わないかというとそうでもないところが日本酒の奥深さ。小職は酒が好きで折原に入社したというほど日本酒の奥深さに感銘を受けている。酒を飲んでそれに合う料理を勘案するのも非常に好き。和食以外の飲食店へ行くと「サケは和食店でしょ?」といわれることもあるがそういう固定概念を取り払い「日本酒なのに○○料理に合うなんて!」と驚きや新しい発見を提示、今までにない飲み方、として届けたい。

タイ料理と日本酒の相性について

例えば純米酒、生もと、山廃系はタイ料理にとてもマッチする。特に鍋物。タイスキ店などに行くとお茶やビールで食事をしているタイ人も多いが純米酒を合わせることをもっと推していきたい。タイ人にこの組み合わせがとても合うという事をもっと認知してもらいたい。

他にもタイ料理は油っぽい、辛い、甘い、など和食にはない点も多いが、それぞれに「口の中をさっぱりと洗い流す」、「辛味をまろやかに包み込んで味覚を整える」、「すっきりとした味わいで薫りを楽しむ」などを提案したい。和食以外と合わせた時の他の料理の特徴に合わせて日本酒にどういう機能があるか、なぜ日本酒を選ぶべきなのか、という面をどんどん紹介し、魅力的な組み合わせで、料理としては世界有数の奥深さがあるタイ料理を一層楽しんでもらえるようになれば本望だ。

タイで日本酒を広めるうえでの課題について

規制緩和はされてきているがまだまだ関税が非常に高い。国内産業の保護という面で仕方ないとも思うが、その政策によって市場動向に対する敏感な行動や内需向上、またはタイ人が新しい世界に触れる機会が抑えられているので、何とかならないかと切に願う。そういう中で、酒類取扱専門の当社としては様々な緩和や恩典の情報取得に努め、通関業者と二人三脚で申請手続きをし関税0%としているものもある。当社として現状出来る最善を尽くしてタイ人に日本酒の良さを伝えている。

和食ブームのバンコクで店舗数は増加傾向だが今後は精査されてくるだろう。日本を訪問するタイ人も増えており昔と違って本当の和食を実際に日本で食べている人も多くなってきている。一昔前は「和食は高くても仕方ない」という雰囲気だったと聞いているが、あらゆる種類の和食が進出し「安くても美味しい」「高いけど美味しいからいい」「安いけど再訪問はしない」「高いだけじゃないか」など、タイ人の価格精査も非常に研ぎ澄まされてきているようだ。消費者側の研磨は業者に対して価格相応もしくは価格よりもずっと価値のある品質、サービスといったものを求めてくるだろう。

日本酒をビジネスにする当社としては「美味しい」「有名」「希少価値」以外の付加価値の提供をしたい。先にも挙げた和食以外との組み合わせの勘案や、日常的に気軽にそして当たり前のように日本酒を選べる環境やヒントを提供していきたい。

このコラムの著者

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水野 聡子

(Infinitie Wings BP(Thailand)Co., Ltd)

<タイ産業調査の専門家>

IWBPではタイの一般市場調査および産業調査、コーディネート業務、メディア対応業務などを承っております。

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