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海外ビジネス コラム

市場動向 2016年01月08日

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【特集2015年総括・2016年展望】資源国マレーシアの課題と対策

鵜子 幸久(桜リクルート社(マレーシア))

マレーシア2016年経済展望

2015年の後半に入り通貨リンギット(以下リンギと省略)の下落が止まりませんでした。8月には米ドルに対して4リンギの大台に乗り17年ぶりの安値に突入、また日本円に対しても2015年前半は1リンギ=34~35円の水準から、現在の12月時点では28円前後と大きく下げています。さらにはそれが株式や債券などの市場にも飛び火し、いわゆるトリプル安の兆候を示しています。

通貨下落の原因としては、経済的に密接な中国人民元のレート切り下げ、米ドルの利上げが迫っていることによる新興国からの資金流出、また国内においては政府系ファンド1MDBにまつわるスキャンダルなど一気に悪要因が降りかかったことにありますが、見過ごしてはならないのが世界的な原油価格の暴落による大きな余波を受けていることがあります。

報道されているとおり、米原油先物価格は現在のところ37ドルを割り込み、さらに下げ圧力にさらされていますが、この原油と表裏一体で連動しているのがマレーシアのパーム油価格(CPI)です。資源国であるマレーシアはとりわけこの年間通じて豊富に産出されるパーム油の輸出で国力を維持してきたと言っても過言ではありません。そしてパーム油の国際価格が、マレーシアを取り巻く様々な産業に影響を与えていることは周知の事実です。細かく見ていくと2011年初頭には1トンあたり1200米ドルを超えていた価格が、現在は500米ドル水準まで値を下げており、この先も展開が見えない状況ですが、このパーム油価格は先述した原油先物価格の動きとほぼ一致しているのがわかります。

そしてさらには、これらの油価格が上がれば通貨リンギも上がり、油価格が下がればリンギも下がるという明確な相関関係が生じるわけです。通貨の強さはイコール国力の強さとも言えます。もちろん昨今のリンギ安で一部恩恵を被っている輸出関連産業もあるのも事実ですが、輸入品目も多いマレーシアでは現在じりじりと生活物価があがってきており、このままこの状況を放置するとインフレ不況にもなりかねないため、マレーシア中央銀行は現在下落を食い止めようと懸命に介入を繰り返している模様です。

経済グローバル化の加速により、世界のどこで何があってもその余波は自国に降りかかってくる時代になっています。それは「対岸の火事」でもなければ「風が吹けば桶屋が儲かる」という類の話でもありませんし、上記の記事はマレーシアだけに限った話でもないと思います。来年どのような様相になっていくか経済の専門家ではない私には読めませんが、ますます世界で起こっていることに敏感になり、先を読んでいく能力と視点がますます必要になってくる時代になっていると感じます。

このコラムの著者

鵜子 幸久

鵜子 幸久

(桜リクルート社(マレーシア))

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