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海外ビジネス コラム

市場動向 2016年01月19日

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【特集2015年総括・2016年展望】世界最速の経済成長国「インド」

西山 感謝(マーケット・リサーチ社)

2015年度、最も魅力的な国だったインド

政府の改訂後によると、目下のところインド経済は2016年3月期の成長率が7-7.5%になると予想される。これにより政府の成長予想は、すでに9月に2015年度の成長見通しを7.4%に改訂していたインド準備銀行(Reserve Bank of India)と軌を一にするものとなった。

2015年度の第2四半期のインドのGDPの増加率は、前年同期比で前四半期の7%から7.4%に上昇した。景気拡大の要因は製造業の産出量、消費、政府のインフラ支出の増大である。海外からの直接投資もまた、いくつかの州に集中しているものの増加している。

成長要因となっている製造業部門では、輸入材の価格低迷により企業の粗付加価値が拡大し、経済活動が前年対比9.3%上昇した。専門的サービスと運輸もまた素早く成長した。

インド政府の統計によると、海外からのインド向け直接投資は2015年1月から6月までで総額194億ドル、2014年は年間で288億ドルだった。ところがフィナンシャル・タイムズ(FT)は1月から6月までで、対中投資が280億ドル、対米投資が270億ドルなのに対して、対印投資は310億ドルを獲得し米中を追い越した。そのことからインドは最大の海外直接投資(FDI)受け入れ国となったと報じられている。この差異はおそらくFTの数字にはインド国内で既に操業している外国企業の投資額も含んでいるためと思われる。いずれにしてもインドはFDIの観点からも最も魅力的な国になっている。

当2016年3月期の見通しは、第二次産業部門は6.5%、サービス産業部門は10.3%成長する。しかしながら農業部門は厳しい結果となる恐れがある。

2016年度は、堅調な成長へ本腰の年に。2年連続の世界最速の経済成長国

政府の主席経済諮問委員(Chief Economic Advisor)が執筆した強気の「経済調査(Economic Survey)」において、インドは来年8%台の成長に向かっており、近い将来10%の景気拡大路線をたどるとしている。とはいうもののIMFの経済見通しはインド財務省(Finance Ministry)とインド準備銀行の推定値よりも低くなっている。

IMFは、現在の世界経済の成長予想を3.3%に引き下げたが、それでもインドの2016年の成長率は7.5 %で2年連続で世界最速の経済成長国になるとしている。

日本の金融グループである野村の見通しでは「インドのGDP成長率は今年の7.3%の推定値から予想で、2016年が7.8%、2017年が8%へと上昇し、景気循環の回復段階の初期にある」とする。

製造業、消費支出、サービス業、インフラ投資が来年度も成長を牽引し続けるであろう。

2017年から2020年までの中期にわたり、ディーゼル価格の規制緩和、提唱中の物品・サービス税、直接便益移転(direct benefit transfer (DBT))などの施策がテコとなって、経済成長率を10-12%に持ち上げるであろう。

このように堅調な経済見通しは日本企業(とりわけ中堅・中小企業)に様々な分野で格好のビジネス・チャンスを生み出すと思われる。日本企業にとって最大のビジネス・チャンスをもたらす部門としては、自動車部品・電子部品、産業用機械類(ロボットを含む)、産業用繊維類、食品加工、廃棄物処理、消費財、フランチャイズ、小売業(Eコマースを含む)、ヘルスケア、教育などである。

このコラムの著者

西山 感謝

西山 感謝インド名: Shashi Somalwar

(マーケット・リサーチ社)

<インド市場調査の専門家>

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