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市場動向 2018年04月27日

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オーストラリアのクレーン業界

永井 政光(NM AUSTRALIA PTY LTD)

オーストラリアは他の大陸から大きく離れ、海を隔てた場所にある国なので、物品を運び込むには陸路を使えず、空路か海路を使う事になります。国土の周囲は太平洋、インド海、そして荒れ狂う海で有名な南極海の大きな3つの海に囲まれています。そのため、オーストラリア領海は世界で3番目に広く、約1,200万平方キロメートルにも及びます。

航空機を利用した航路での運輸もありますが、軽くて、高価な物でない限り、採算がとれませんので、通常オーストラリアでは大型タンカーなどを利用した海路運送で物品出入が行われております。

タンカー等で海外から運び込まれた物資は、陸揚げをする際に、大型クレーンが必要不可欠な存在となります。またどの国々でも物品の搬入、倉庫に保管、搬送時には、一連の作業を時間短縮し円滑に行う上で、大小さまざまな機械が使用されます。 

特に人件費が高騰し続けるオーストラリアでは、他国よりも人件費が経費に対する割合が非常に高いため、出来るだけ人の手を外し、機械によって効率化を図る必要性が高いと言えます。機械化を進めるには設備投資の費用がかさみますが、恐らくオーストラリアの人件費は、今後も年々右肩上がりで成長すると予想されているので、それを考えますと、数年でブロークイーブンに持ち込めると言えます。

また地下資源が豊富なオーストラリアでは採掘所でも、鉱物の移動や引き上げにクレーンが必要となります。

ただオーストラリアで一番クレーンが活躍している業界はと言えば、圧倒的に建設業界になります。その背景として住宅難が社会問題として取り上げられており、市内中心部への交通のアクセス、生活環境が良いエリアは、住宅費が高騰し一般市民の手が届く範囲ではなくなってしまいました。地価の安価な郊外に住居を求めるのは、何処の国でも同じですが、郊外には十分な住宅がなく、また交通のアクセスも含めたインフラを整えるのが急務となっています。

経済を大きくアジア諸国に依存するオーストラリアは、高度経済成長を遂げるアジア諸国の恩恵を受け、それに連動する形で、住宅建設数も年々右肩上がりのとどまる事のない高レベルでの成長続いております。     

その経済成長に便乗する形で、アジア人富裕層が投資目的で住宅買いあさり、住宅費が高騰。現地の人間が安全で手ごろな住居に手が届かない。それが政府への不満となる。政府は国民の不満解消の為に住宅提供を約束する。この一連の流れも、建設ラッシュに拍車をかけている理由の一つと考えられます。

クレーンは、港湾施設やファクトリーに設置されている天井型クレーンや、橋形クレーンなども需要がありますが、上記の建設ラッシュの背景から、現段階で一番需要が多いのは、ラッフィング、ハンマーヘッド、クライミング式のタワークレーンとなっており、タワークレーンが総クレーン数の半分以上を占めている状況です。

現在活動中のタワークレーンのおよそ50%以上がシドニーに集中し、次にメルボルンが22%、QLD州の州都であるブリスベンが12%となっており、クレーンのほとんどがオーストラリアの大都市に集結している状態です。

タワークレーンはそのほとんどが現地大手専門メーカーがシェアを押さえており、新規参入は既存のクレーンを凌駕する性能や耐久性、又はコストパフォーマンスがないと、難しい分野になります。

ただタワークレーンは、その建設現場の状況や使用目的に応じてに組み立て、パーツの取り外し等が行われるので、固定式よりもパーツの劣化が激しく、耐久性が高いパーツが求められます。機械全般的に屋外に設置されているケースが多く、また直射日光や、粉塵、砂などの屋内に比べて劣悪な環境に直面するので、安全やパフォーマンスを維持する上で、定期的なパーツ交換等、確かな需要は見込めます。

特に各企業から細かなアタッチメント等のリクエストを受けた場合に、少数のロットに対するカスタマーサービスが現地企業では十分だと言えませんので、機械の性能だけではなく、日本企業特有の高度なカスタマーサービスをパッケージとすれば、シェアに食い込める可能性は大です。

比較的入り易い分野から販路開拓を行う事が現実的だと言えます。大手では企業の細かなリクエストに応じたカスタマイズ対応が不可なので、ニーズに合わせたカスタマイズ対応の有無がキーポイントになります。また完成品ではなくパーツなどの部品供給であったとしても、安全性が高く求められる分野ですので、オーストラリア独自の安全基準を満たす必要性や、その後のサービス&メンテナンスや保証をどうするかの問題も視野に入れ考慮する必要がございます。

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永井 政光

(NM AUSTRALIA PTY LTD)

<オーストラリアビジネスの専門家

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